8 こっちのブラウニー
「これで手続きは完了しました。ご苦労様でした。」
この一言でカンタとケンタはポイされた。どうやって帰ったらいいんだ。所在なく座っていたら、ギルマスから声を掛けられた。
「ケンタ殿は、これからどうしますか。私はこのまま帰ります。」
「ぜひぜひご一緒したいです。」
王都と聞いて観光しようかと思ったが、あの魔法陣を使えるのかわからない。それに、お金の単価も解らないんだ。無理はしないことにした。
ギルマスとボーダーの街に帰ってきた。ホッとする。このまま冒険者カードを仮から卒業することにした。
ギルマスの案内で冒険者ギルドの3階にいる。出されたお茶を思わず飲んでいた。美味しい。かなりいっぱいいっぱいだったらしいカンタだ。ケンタにも水をいただいた。ケンタも美味しそうに飲んでいる。
お茶をいただいている間にギルマス自ら、本カードを作ってくれた。
「カイジン様の後継者が現れたことは既に広がっています。カイジン様の遺産を狙う輩が出てくるでしょう。気を付けてください。」
「それなら、しばらくカイジンの家にこもります。姿を見かけなくても心配しないでください。それから、オレ、私は、この国のことを何も知りません。わかる本とかありますか。」
ギルマスに冒険者の初心者用のガイドブックを貰った。貧しい冒険者は、読み書きができない者もいるらしく、絵付きで分かりやすく説明してあった。お金の単位も絵付きである。助かる。魔法省はなんだか見下されているようで感じが悪かった。
後でわかったんだが、魔法使いって貴族に多いそうだ。冒険者ギルドが平民の魔法使いを育てても、強引に魔法省が引き抜いていってしまうらしい。そして使いつぶすんだと。仲も良くないらしいが、魔法省の方が力を持っていて強く言えない。最後に、ギルマスが
「1000年は長いです。どうするか考えてください。」
「???」
どういうことだろう?
「ケンタ、行きに街を歩いたし、今日は、寄り道しないでカイジンの家に行こう。俺、疲れたよ。」
「ワンワン。」
カイジンの家のドアを開けたら、驚いた。埃とか積もってないんだ。黴臭くもないし、誰か住んでいるみたいだ。
「ケンタ、俺たちの家だよな。」
「ワン。」
靴は脱がないらしいから、靴の底をきれいにして、そろり、そろり玄関を入る。何か、見慣れた光景があった。ケンタが、
「ワン。ワン。」
挨拶している。思わず、
「俺は、日吉 勘太だ。よろしく。」
すると、
「パタパタ。」「ぱたぱた。」と挨拶を返してくれるブラウニーが居た。でも、ここに居るブラウニーがおかしい。みんな小さいんだ。そういえば、ラーちゃんもブーちゃんに比べると小さかった。どうしてだ?
ケンタがお腹が空いたらしく、俺のリュックを漁っている。朝出る時に、ブーちゃんとラーちゃん、ケンタにまでお菓子をいっぱいリュックに詰め込まれたんだ。
俺も小腹が減ったからリビングらしい部屋でいただくことにした。リビングは、あっちと同じく、庭や裏山が良く見えるようになっている。
「こっちも、山が良く見えるよなあ。落ち着くなあ。なあ、ケンタ。」
ケンタの返事が無い。見るとお菓子を口に咥えて、早く開けろと目で催促している。
「食いしん坊メ。」
こんなケンタもいいなあなんて思い、袋を開けてやる。携帯用のお皿に湧水も入れたやった。ケンタの目の前には、おやつと湧水のお皿が並んでいる。でも、ケンタは食べない。それどころか、ケンタは俺のそばに来て足元に寝ころびだした。
「ケンタ、食べないのか。」
「ワンワン。」
食べないなら、ブラウニーたちにあげちゃうぞ。」
「ワン。」
ケンタの返事は、理解できないが、食べないケンタにちょっと腹を立てた。
「ブラウニー、食べて良いぞー。」
カンタは、持っていたおやつを落としてしまった。落としたおやつにまでブラウニーがかぶりつく。一生懸命に食べているブラウニーたちに、
「もしかして、腹が減ってた?ラーちゃんもそうだったのか?」
「ワンワン。」
ケンタは思い出す。異世界小説に出てくるブラウニーは、甘いものが好きだったはず。ブーちゃんもあんこが大好きだ。リュックに詰め込まれたのは、甘いお菓子が多かった。
「いっぱい食べて良いぞ。」
「ワンワン。」
お腹いっぱいになったブラウニーだ。お腹を抱えてげっぷしているのもいる。
「ケンタ、今日は、どうする。あっちに帰るか?」
「ワンワンワン。」
今日は、ここにお泊りが決定した。
読んでいただいて、ありがとうございます。




