6 大賢者カイジン
勘太とケン太は、異世界に向かっていた。初代カイジンの遺産の受け渡しの為だ。霊廟で、
「受け取ってきます。今日は、突飛なことが無いようにお願いします。」
「ワン。」
ケン太も同意見らしい。
2回目の異世界だ。前回とは違いすんなり足が出た。それに、山は誰の物かわからないが、山を下りればカイジンの家がある。今日から、正式にカンタの家になるのだ。どんな家なのか、ちょっと楽しみだ。
温泉を抜け、家を通り抜け、門を出て、街まで歩く。街の門前で声を掛ける。
「本日、魔法省の方と約束をしているカンタです。」
「お待ちしておりました。ご案内いたします。」
前回の対応とは雲泥の差だ。ケンタも当然のようについてくる。
「この魔物は……。」
「駄目ですか。それなら帰ります。」
「イエ、失礼いたしました。しかし、綱などで繋いでいただきたいのです。それが、魔物を街に入れる規則になっております。」
なるほど、正論だ。だが、リールを持ってきていない。仕方なく代わりの綱をかりる。ケンタはおとなしく綱をつけさせてくれた。
「偉いぞ。ケンタ。しばらく我慢してくれ。」
「ワンワン。」
「賢い魔物ですね。」
「ええ、自慢です。」
会話をしながら街を眺める。石造りの中世ヨーロッパみたいな街並みだ。カードを調べた機械らしき物から、もう少し文明が発達しているかと思ったが、そうでもないらしい。だって、馬車みたいな乗り物が走っている。けど、よく見ると馬がいない。
「あれは、何の動力で動いているのですか。」
カンタの質問に驚いている。誰もが知っている常識のようだ。咄嗟に、
「すっごい山奥から初めて街に来たので、見るもの全て初めてなんです。無知ですみません。」
「なら、少し歩きますから、ご説明しますね。」
彼の名はトーマス。トーマスはいろいろ教えてくれた。馬車のような乗り物は馬車だった。動力は、魔石だ。馬車以外の物も魔石を使っているそうだ。
建物の中には、昇降機、つまりエレベーターもあり、これも魔石だ。
「運転者が居ませんが?」
「魔石に覚えさせるんです。魔石に、行き先を付与してるんです。」
なるほど、自動運転みたみたいなものか。
「建物には、劣化防止の魔法が付与してあります。だから、ほとんどの建物はかなり古くから建っています。」
「すごい。俺のせか、イヤ村は、こんな魔法なんてありませんでした。」
「そうなんですか。これらの魔石を利用した魔法は、大賢者カイジン様が発明した物なんです。」
「カイジン様って、すごいんですね。」
トーマスは、俺とカイジンとの関係は知らないらしい。
「1000年前の賢者様ですが、今日があるのは賢者様のおかげなんです。」
「1000年前の人ですよね。それ以降の賢者様は、いなかったのですか。」
「いらっしゃいません。賢者様があまりにすごかったので、恐れ多くって、名乗れなかったようです。それに、賢者と名乗ると実力によっては罪になるんです。あまりにしょぼい者が名乗ると不敬罪ですね。」
初代様って、すごかったんだ。
『俺は、その賢者の子孫だー。』
言いそうになってしまった。
カイジンが偉大だってわかったところで、目的地に着いたみたいだ。
「では、私はここで失礼致します。」
「ありがとうございました。」
ここは、役所みたいなところみたいだ。
俺は、ここからどうすればいいんだ?
迎えは来るんだよな?来るよな?
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