5 ブーちゃん、ラーちゃん。イーロボ、ニーロボ。
カンタとケンタは来た道を戻り、カイジンの家に着いた。
「ケンタ、この家は初代様の家だそうだ。で、カードと鍵を持っていたから、今は俺の家なんだって。」
「ワン。」
「ちょっと中を見てみたいけど、もう疲れたよ。あっちの家に帰ろう。」
「ワンワン。」
温泉を抜ける時、入りたい衝動を抑え、ブラウニーとロボの待つ家に急ぐ。
扉をくぐるとホッとした。かなり緊張してしていたらしい。そして、初代様に文句を一言。
「いろいろと教えておいてくださいよ。助かりましたけど。」
「ワンワン。」
ケン太、も同じ意見のようだ。どっかから、笑い声が聞こえたような気がした。
「ただいま。」
「ワンワン。」
「パタパタ。」
「ブーン。」
ブラウニーだけでなくお掃除ロボまでお帰りを言ってくれる。家って良いな。
久しぶりに、おフロ上がりのビールをいただいた。我が家の居心地の良さに結構飲んでしまった。俺がいい気分でいた時に、ケン太とブラウニーとロボで集まって、何かしていたような気がする。が、俺は2階に上がった記憶が無い。気のせいだろう。反省だ。
「おはよう。」
2階のお掃除ロボが動き出していた。その音で目が覚めたようだ。ケン太は既にいない。お掃除ロボに挨拶したら、ブラウニーが居た。
「ブラウニーもおはよう。」
「ぱ…た。ぱ…た。」
元気がなさそうだ。
「ブラウニー、体調が悪かったら、ちゃんと休めよ。」
「パタ。…パタ。」
一階で珈琲を飲む。前に県庁所在地のモールをさまよっていた時に、タイマー付きのコーヒーマシーンを見つけて買ってしまってたんだ。
珈琲を飲んででいると、1階のお掃除ロボがブラウニーを乗せて働いている。
「ブラウニー、体調はもういいのか?おまえも忙しいな。2階のロボにも乗ってるんだろう。」
「パタパタパタ。」
違うらしい。でも、さっき2階にいたよな。
ブラウニーもケンタ太を見習って、違うときは、パタパタを3回するようになったんだ。ちょっとだけ意思の疎通ができるようになったんだ。
でも、2階にいたのは?絶対ブラウニーだったはず。
そーと2階に上がる。お掃除ロボの音が聞こえる。音のする方を確認すれば、ロボの上にブラウニーが乗っている。俺の見間違いじゃあない。でも、ブラウニーは俺のそばを飛んでいる。
・・・・。
「ブラウニーが、ふえたーーー。」
「ワンワン。」
「パタパタ。」
「ブーン。」
「パタ。パタ。」
知らないブラウニーに挨拶されたらしい。恥ずかしそうだ。一応、
「日吉 勘太だ。よろしく。」
よろしくでいいんだよな。ケン太も古株のブラウニーも違和感はなさそうだ。何より、2階のお掃除ロボが嬉しそうにくるくる回っている。
「お掃除ロボってAI搭載なのか?成長しているように見えるぞ。考えれば、1階のロボはブラウニーが来てから楽しそうだったよな。2階のロボだって相棒が欲しいよな。俺にはケン太だろう。1階のロボは古参のブラウニーだろ。2階のロボは新米のブラウニーか。家もにぎやかになったな。」
「ワンワン。」
そうなると、呼ぶときに不便が無いように、名前を付けることにした。古参のブラウニーはブーちゃん。新米はラーちゃん。1階のロボはイーロボ。2階のロボはニーロボだ。批判は受け付けない。仕方ないだろう、喋れるの俺だけだし。
「なあ、ケン太。ラーちゃんはどこから来たのかなあ?やっぱり異世界からか?俺たちについて来たのかなあ?どうして、湧水を抜けれたんだ。でも、初代様もブーちゃんはいつの間にか居ついたって言ってたしなあ。」
「ワン。ワンワン。ワン。」
ケン太は言う。
「ブラウニーは妖精であって魔物ではない。カイジンは、魔物は通れないと言った。そして、ラーちゃんは、カイジンの家にいたブラウニーだ。勘太が開けた時に外に出てきたのだ。元々、ブーちゃんもあそこの家にいたブラウニーだった。勘太とケン太に仲間の匂いがしてついてきてしまった。ついでに言うと、すごくお腹が空いていたのだ。勘太の持っていたおやつの匂いに惹かれたのもある。今日一日ずっと後をつけていたのだ。」
ラーちゃんのお腹はブーちゃんのお裾分けで満たされている。
もう一つ、ついでに言えば、ケン太の祖先が、湧水を抜けれたのは、まだここが女神さまの恩恵を受ける前でカイジンの土地ではなかったから。
悲しいかな、カンタにケンタの言葉は通じない。
「ケン太、このことが末っ子にばれたら、大変だ。黙っていような。」
「ワンワン。」
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