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見えざる地、勘太とケン太の覗き見冒険録  作者: 田舎娘


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4/10

  4 一件落着?

異世界では、カンタとケンタにしています。ご理解ください。

 勘太が連行されたのは、街へ出入りするための門の一部である建物の一室だ。その部屋には、窓が無い。ドアが一つあるだけだ。

『ここって、取り調べ室か?』

 不安を抑え、もしもの時の設定を作り出し繰り返す。


 俺は、カンタ。ケンタと生まれた村を出てきた。出てきた理由は、村に誰もいなくなったから。小さい村で、じいちゃんと住んでいたが、とうとうじいちゃんも亡くなりカンタ一人になってしまった。生前じいちゃんが、一人になったらケンタと村を出ろと言っていた。村は山奥にあり、村の人以外とあったのは今日が初めてだ。途中道に迷ったが、あの道に出てやっとここにたどり着いた。村は、山の向こうだが、迷ったので場所がどこだかわからない。


 ブツブツ設定を繰り返し、覚えた。それでも誰も来ない。いい加減飽きてきた。ドアを開けようとしたら開かなかった。

『俺って、なんか悪いことやったか?」

 自問自答だ。

『あっ、よその家を鍵で開けたわ。あー、あれは良くないよな。素直に謝ろう。でも、そうすると、この鍵は没収かも。それは困る。ウーン。』

 くよくよ悩んでいると、”ガチャ”音がして、ドアが開いた。


 カンタを連行した人より立派な服の人が入ってきた。

「お待たせした。私は、街を守る衛生兵の団長をしている。少し話を聞きたい。」

「はい。私はカンタと申します。」

「ホー。では、カンタとやら、どうしてあの道からやってきた?」

 カンタは設定を述べる。

「あの道の先には村はなかったはずだが。」

「一族で住んでいました。かなり前から他との接触をしていませんでした。」

「それを証明する物はあるか?」

「それは…。そうだ、初代から伝わるカードがあります。」

「見せてくれるか。」

 勘太は、初代様の台座のあったカードを差し出す。カードを手に取った団長は、

「まさか!!!このカードの持ち主の名は?」

「カイジンと聞いています。」

「カンタ。このカードを預かっても良いか。」

「それは困ります。そのカードは一族の唯一の物です。お返しください。」

 カードは帰ってきたが、団長は出て行ってしまった。


 代わりにお茶を持った人が入ってきた。結構年配の人だ。

 出されたお茶を飲むのは躊躇する。だって、腹を壊したら大変だ。でも、飲まないのも失礼だ。飲んだふりをする。


 年配の人は、カンタから情報を聞き出そうとしている。

「門の外の魔物はおとなしいの。よくしつけておるな。」

「ケンタと言います。ケンタは、初代の相棒だった魔物で、村の周辺の動物との子孫です。」

「混じり物か。もったいない。」

「ケンタは、混じり物ではありません。俺の相棒です。」

 それからは、会話を拒否した。はい、いいえ、そうですか、を繰り返すだけにした。あきらめたのか、無言で出て行った。


 今度は、女性がお茶を入れ替えに入ってきた。もう、遠慮しないで聞くことにした。

「いつまで、ここにいないといけないんですか。」

「もうすぐ、魔法省の方と冒険者ギルドの方がお見えになります。」

「俺は、何の為にここで束縛されているのですか。」

「それは、立ち入り禁止エリアからいらっしゃったからです。」

「でも、家がありましたよ。」

「あの家は、長く人が住んでいません。では、私は、失礼します。」

 逃げられてしまった。


 新しい情報が聞けたのは嬉しい。冒険者ギルド、まさしく異世界だ。魔法省、これまた異世界だ。あの家は空き家だった。ちょっとホッとした。

 でも、相変わらず、この部屋には鍵がかかっている。

『ケンタは大丈夫かなあ。』


 ケンタは、大丈夫だった。ケンタは、繋がれた木に登り、午睡を貪っていた。

 カンタは眠気と戦っていた。


 コックリ、船をこぎそうになった時、やっとドアが開いた。さっきの女性だ。

「魔法省と冒険者ギルドの方がお見えになりました。ご案内します。」

 ここではないらしい。気分転換に丁度いい。素直についていく。


 案内されたのは、窓がある子綺麗な部屋だ。さっきの部屋との格差に驚いた。椅子だって、硬い椅子からソファーだ。そのソファーに促され座る。

「私は、魔法省の者だ。」

「私は、冒険者ギルドのギルドマスターだ。」

「カンタです。」

 軽く挨拶したら、カードを見せてくれと言う。イヤだけど、見せたよ。そしたら、変な機械を取り出してカードを乗せた。ピーと音がして終わったようだ。


「魔法省として、このカードが【賢者カイジン】殿の物と認証しました。この結果において、今まで凍結していた【賢者カイジン】殿の全ての財産と権利をカンタ殿に移譲いたします。」

「冒険者ギルドとしても、魔法省の判断を信じ【賢者カイジン】殿の全ての財産と権利をカンタ殿に移譲します。」

「待ってください。どういうことですか。」


 説明された。

 カイジンは、1000年前の歴史上の賢者様。その頃から魔法省も冒険者ギルドも存在した。ある時、

「我は今から姿を消す。しかし、いつの日か我のカードを持つ者が現れよう。その者に、我の全ての財産と権利を譲るものである。」

 そう言い残して姿をくらました。個人の権利だ。無効期限とかないらしい。特に明確な指示があった場合、国でも差し押さえはできない法律なんだと。

それより、そんな昔から法律があったことに驚いた。1000年前の財産だろう。期待しない方がいいよな。


 詳しいことと手続きは後日にしてもらった。頭が追い付かないからね。すると、ギルマスから、

「途中にあった家もカイジン様の家です。ただ、鍵は預かっておりません。どう致しますか。あの家は、特殊な魔法がかかっていまして無理に開けたり壊したりしましたらとんでもないことが起こると言われています。」

「あのー。鍵も伝わっていまして。」

 鍵を見せると、

「やっぱり、カイジン様のご子孫なのですね。」

 魔法省の人もギルマスもさっぱりした顔で帰って行った。


「俺も帰っていいですよね。」

「は、はい。ご苦労様でした。」

 着た時とは雲泥の差だ。速足でケンタと合流する。ケンタは、ちょこんとお座りして俺を待っててくれた。


「ケンタ、帰ろう。疲れたよ。」

「ワンワン。」


 カンタとケンタは来た道を戻って行った。

 そのあとをある者がついていった。カンタとケンタは気が付かない。





読んでいただいて、ありがとうございます。

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