↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見えざる地、勘太とケン太の覗き見冒険録  作者: 田舎娘


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/9

  2 異世界への第一歩

 湧水でケン太が水を飲み一声。洞窟では、手水舎の間でお清めして、霊廟へ。相変わらず、ヒカリ苔が洞窟を照らしてくれる。

 この洞窟は、手前は暗いんだが、奥はヒカリ苔が生育していて明るい。手水舎の間は、苔からの水が溜まっているところがあり、神社にある手水舎に似ているから勝手に手水舎の間となずけた。手水舎は腰高のと低いのがあり、ケン太もお清めできるんだ。ケン太は足まで清めている。だから、俺も長靴ごと入って、お清めしている。その奥にお墓があり、異世界の扉がある。


 霊廟では、ご先祖様にご挨拶。初代様のカイジンに、

「これから初代様の世界に行ってきます。ご報告を楽しみにしていて下さい。」

「ワンワン。」

 すると、初代様の台座にカードと鍵が置かれてあった。

「太ンタ、また鍵だ。今度はどこの鍵だろうな。カードは何だろう。でも、持って行けってことだよな。」

「ワン。」


 扉は、鍵を差し込むと開いた。でも、俺のビビりが発動して、鍵を閉めてしまったんだ。もう一度深呼吸して鍵を開けようとしたら、鍵を使うことなく開いた。二度目は持っているだけで良いみたいだ。俺は、またもや躊躇しちゃたんだよ。この期に及んでね。情けない。


 けん太が不思議そうに俺を見ている。扉を少し開けたまま動かない俺に呆れたのか、ケン太が見えざる地に一番乗りしっちゃったんだ。

「ケン太、俺を置いていかないで。」

 思わず、叫んでしまった。

「ワン。ワン。」

 早く来いとばかりに吠えている。向こうに行ってもケン太には変化がない。大丈夫そうだ。でも……。俺は、未知の世界に足を片方だけ踏み入れる。二歩目が続かない。そんな俺を見かねてか、ケン太が飛びついてきた。俺とケン太は、現実世界に尻餅だ。戻ってしまった。


「ワ~ン。ワン。」

 ケン太が、情けなさそうだ。俺も情けない。意を決して再度挑戦だ。一歩、二歩と足は出た。俺は、見えざる地に立っている。



 立っているんだが、薄暗い。よく見ると洞窟だ。ヒカリ苔だろう苔が光源になっている。肩透かしを食らったようで、緊張がなくなった。

「ケン太、ここを通って行くのかなあ。」

「ワン。」


 異世界の扉を開けると、広い洞窟だった。その洞窟を抜けると小さな洞窟がある。まるで、裏山の洞窟みたいだ。ただ、お地蔵さまはいない。手水舎はあった。ケン太が水を飲もうとしたから止めた。用心には越したことは無いからね。その先は、暗い。でも、何となくわかる。きっと、裏山と同じだ。ケン太の案内で先に光が見えた。そこを目標に静かに歩く。用心、用心だよ。


 洞窟の外は、裏山そっくりだった。やはりと言うか予想通りだった。

 勘太は、既に疲れていた。精神疲労が半端なかった。

「ケン太、ちょっと休ませてくれ。」

「ワ~ン。ワ~ン。」

 しょうがないなあとでも言っているようだ。勘太の隣におそわりして、勘太の手をなめている。

 水筒の水を飲んで、ケン太にも飲ませる。一瞬、このまま戻ろうかと頭をよぎる。また、くればいいのだ。今日はここまで。


 俺は、こんなに臆病だったのか?己の小ささに驚愕する。反対に、ケン太は期待で目が輝いている。

「そうだな。お前がいるんだ。」

「ワンワン。」

「行こうか。」

「ワン。」



「引き返せばよかった。」

「ワ~~ン。」

 切実にそう思ってしまった。






読んでいただいて、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。