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王子と私とデパコスと  作者: えるぜ


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20/35

パーリーナイト!不穏です!

やがて、夜会当日がやって来た。

開始時間ぴったりにデパコスが私の部屋を訪う。


「爵位の低い者から入場しますからね、俺達はしばらくここでゆっくり出来ます」


デパコスは、着飾った私を上から下まで眺めて、良く似合ってらっしゃる、と呟いた。

デパコスの衣装は私と同じ白銀のシルクタフタで誂えられていた。そして、耳元とカフスには前回と同じアメジストを身に付けている。相変わらず恐ろしい程のお揃いっぷりだが、私も学習した。ここはそういう世界なのだ、と。


「婚約者同士は、2回続けて踊れるんです」


へえ、そういう物なのか、と私はふんふんと頷いた。


「ですから、今日は2度続けて俺と踊って下さい。さすがの王太子殿下も、3曲目まで誰とも踊らず、2曲踊り終えた貴女を誘うような恥は晒さないと思いますよ」


うーん、そうだろうか。

デパコスは、王子の恥の知らなさを買い被っている。でもまあ、成るようにしかならんわな、と私は嘆息した。


「…………そろそろ向かいましょうか」


デパコスが腕を差し出す。

私は今ではごく親しんだ所作でその腕に自分の腕を絡ませた。


「エインズワース公爵、並びにご婚約者ファーレンハイト侯爵令嬢のご入場です」


高々と名を呼び上げられ、私達はボールルームへと足を踏み入れた。

先ずは国王陛下、並びに妃殿下へのご挨拶を済ませる。それから、大物貴族同士はそれぞれの話を確認し合い、そして舞踏の時間がやって来た。


「アルティ、ファーストダンスを賜りたい」


最近デパコスは、私の事を「アルティ」と呼ぶようになっていた。けれど、アルテミシア嬢と呼ばれるよりは私はそれを断然気に入っていたので不問である。

やがて楽団がワルツを奏で始めた。

練習は自分を裏切らない!

例え最初は挙げた腕が佐渡おけさであっても、例え最初は足の運びが木曽節であろうとも、私はやり切る。でなければあの泣くような特訓の日々はなんだったと言うのだ。


「…………随分お上手になられた」


耳元でデパコスが囁く。


「貴女の努力には頭が下がります」


褒められて私はふわわんと舞い上がったけれど、その時視界の隅に誰とも踊らずお酒を飲んでいる王子が目に入った。

え、踊れよ。

周囲に王子のお声がけを待っている令嬢が山ほど屯しているじゃん。悪いけど、私、2曲目もデパコスと踊る約束しちゃってるよ?王子として、いや、王太子としてそれはどうなのよ。

やがて、2曲目が始まった。

デパコスは私の手を離さない。

気になってちらりと王子を見ると、やはり踊っていない。


「…………王太子殿下が、気になりますか?」


デパコスが嫌な笑顔で尋ねた。


「うん、だって、踊らないのはなんと言うか、色々差し障りがありそうで」


「俺と踊っている時は、他の男の事を考えないで下さい」


ああ、そりゃそうだ、失礼致しました、と私は思った。

やがて2曲目のワルツが終わり、デパコスが飲み物を取りに行ってくれた隙に、いきなり王子が近くに来た。


「アルテ、踊って」


それは恥だとデパコスは言っていた。

婚約者がいる相手が、2曲踊って、その後に誘うような真似はしないだろう、と。

けれど王子はさっさと私の手を取ってボールルームの中心に位置取った。

………ダンスが始まった。


驚いた事に、王子のリードは巧みだった。

押すところは押し、引く所は引っ張る。まるで遠慮がないからだろうけれど、あ、踊りやすいわ、と私は思った。


「なあ、アルテ」


踊りながらの小さい声なら私達の会話は誰にも聞こえない。


「アイツの事………そんなに好き?」


いきなりの直球である。


「え?デパコスの事?まあ、好きか嫌いかといわれれば、そうだね、好きだね」


「どこが?」


「顔が」


何それ、と王子がくしゃりと笑った。


「顔だったらオレの顔も十分綺麗だと思うけど」


確かにそうだ。きんきらりんの王太子様も、かつての日本の王子も偏差値80超えるくらい綺麗な顔だ。


「んーー、好みの問題としか。好みどストライクから好きだって言われたら、そらよろめくでしょうよ」


「…………好きだ、って言われたんだ」


それで、どう思った?


王子の目が冷たい、事に私は気づかなかった。


「え、馬車の中だったし、時間もなかったから。でも、そうだね、嬉しかったよ」


「……………デブノートに名前を書いてやる」


「デブノート?何さ、それ」


「名前を書かれたやつがデブになる呪いのノートだ」


ちょっと面白い。私はくすりと笑った。

そして、太ったデパコスを想像した。いつも汗ひとつかかないような涼しげなデパコスがデブ。でもきっと綺麗な顔で綺麗な所作で私を丁寧に扱ってくれるだろう。

デブだから少し汗っかきかもしれない。額に浮かんだ汗をハンカチで拭いながら

「今の貴女が好きです」

と言ってくれるデパコスを想像して私は微笑んだ。


「王子の考えは分かんないんだけどさ、私、多分デパコスがデブになったからと言って嫌いにはならないと思う」


「ふーん、そうなんだ」


王子が不機嫌に呟いた時に、3曲目の演奏が終わった。


「アルテをお借りした」


王子は私をデパコスの元へとエスコートする。

2人は目も合わせない。

やがて背を向けた王子に向かってデパコスが冷たい声で問いかけた。


「………エインズワースを、敵に回すおつもりですか」


王子が振り向いた。

その流れを国王陛下がじっと見つめていた事に私達はまだ気づかない。

無駄に自制心のあるデパコス描写をしたために

ヤンデレ化難しいです。もっと病んで欲しいです

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