~91話~骸骨無双3【最強】と【無双】
「将君?彼らですか?」
「そうです!」
「ふむ・・・確かに風格がそこらのスケルトンとは違いますね・・・」
学生服を着た青年が顎に手をやり、こちらを観察しているので、立ち上がり声をかける
「どうもお久しぶりです、お初の方もいらっしゃいますね?」
「どうも始めまして、Sランク冒険者【最強】ジュンキと申します。」
「これは御丁寧に、私ダンジョンの守護を任せれているスケルトンキングと、隣が妻のスケルトンクイーンです。」
「早速ですが、話が出来るようですが、我々は争いを回避出来そうではないですか?」
「ほほぅ?では魔族を殺すのは諦めると?」
「それは無理ですね。」
「では不本意ですが争わざるを得ないですね?」
「私を【最強】ジュンキと知って言うのでしょうか?」
「ジュンキとはどういう漢字でしょうか?」
「純粋に貴いと書いて純貴ですよ?あなたは召喚人ですか?」
「いい名前ですね。神ヨハンの召喚人ですよ?」
「神ヨハンですか・・・最近その名前を広めながら暴れている冒険者がいますね。」
「ほほぅ?私以外の召喚人もそれぞれに役目をこなしているのですね。」
「役目?」
「はぁ・・・後ろの3人から何も聞いていないのですね・・・」
純貴が何も知らなさすぎて、思わず溜息が漏れてしまう。
「どういう事でしょうか?」
「あの・・・純貴さんの目で確かめてもらおうと思って・・・」
「そうなんすよ!あえて何も言わなかったんすよ!骸骨さっさと言えって!」
「骸骨!?さっさと説明して差し上げて!」
「ハッハッハッ!相変わらず聖騎士と魔法使いは生意気ですな!」
思わずカチンと来た叡斗がかろうじて口調を保ったままカタカタと笑いながら言う。
「元太君?穂乃香さん?まずは話したいのですから、喧嘩を売るのは後にしてもらえるかな?」
「すみません・・・」
「はい・・・」
「我々の目的は迫害される獣人と魔族が人族と仲良く暮らせる世界を目指します。」
「では女神教の教義を違えるという事でしょうか?」
「女神教と敵対したくはないのですが・・・立ち塞がるならしょうがありませんね・・・」
「ヨハンの召喚人はそれほどまでに強いのですね?」
「ヨハン組新参者の私で試して見ますか?」
「では行かせて頂きます!トルネードカッター!」
純貴が右手を差し出して、魔法を唱えると、手の平からスケルトンキングに向かって真空刃を纏った竜巻が迫ってくる。
「はぁ・・・憂鬱ですわ・・・」
スケルトンクイーンが玉座に鎮座したまま右手を一振りすると竜巻が掻き消える。
「クイーン、ありがとうございます。」
「ふむ・・・やはり魔法では魔族には勝てませんね・・・」
「ではどうしますか?」
「剣はどうでしょうか?」
純貴がすぐに切り替えて、剣を抜いて斬りかかって来るので、即座にホームランバットを空納から取り出して応戦する。
「ほほぅ?クイーンは魔法、キングは剣ですか?」
「どうでしょうか?」
「教えてくれてもいいじゃないですっかっ!」
「クイーン程ではないですが私も魔法を使えますよ?」
「さすがは魔族ですねっ!!」
「中々真剣になってらっしゃいますがこれが本気でしょうか?」
「では一気に本気でやらせて頂きましょう!」
打ち合いながら会話をしていると、純貴のスピードが一気に上がるので『身体強化』を完全発動させて打ち合う。
「おい?残像で見えねぇんだが・・・二人は?」
「俺にも見えないよ。」
「あたしに見える訳ないでしょ?」
「あの骸骨今まで本気じゃなかったんだな?」
「しかもバットで純貴さんを打ち合うって・・・どうなってるんだ?」
「冒険者最強だから、【最強】なのよ?骸骨に勝てる人はいないって事?」
「純貴さんにはまだ、あのスキルがあるだろ!?」
「そうだよ!それに俺達だって女神から貰ったスキルを見つけて特訓したし行けるって!」
「そうよね!あいつを消し炭にしてやらないとね!」
「そうだ!純貴さんに殺されるか、俺達に殺されるかの違いだぜ!」
「そうだよ!純貴さんと力を合わせれば・・・」
「にしても!本当にあの変態骸骨しぶといわね・・・」
将達の話し声が聞こえるが、相変わらず好き勝手に言ってくれる。
「少々あの3人をお仕置きしなければいけないので失礼!」
「何を!?・・・何!?」
ホームランバットを振りぬき、爽快な金属音と共に純貴を剣ごと力任せに壁へと打ち込む。
「さて!純貴さんに殺されるか・・・誰に殺されるかの違いと言いましたかな?」
「あの状態で聞こえてんのかよ!」
「元太!お前はもう少しガサツな言動を抑えろ!」
「変態な上に地獄耳とか最低ね!」
「待ちたまえ!」
土煙の中から、声が響く
「ん?まだ何か?」
「私との戦いが終わってないでしょう?」
「先程が本気では私には勝てませんよ?」
「ふぅ・・・100年振りに自分の血を見ましたね。」
土煙から出てきた純貴が口の端に付いた血を拭いながら呟く
「人での本気は勝てませんでしたが・・・これならばどうだぁ!?」
純貴が巨大化して服が破け、鱗が生え竜へと変身する
見た目は首が一本しかない真っ黒なキン○ギドラそのままだ。
「ほほぅ?ブラックドラゴンルーラーですわね?」
「クイーンは博識ですね?私のスキル『竜化』ですよ!」
「ルーラー?って事は・・・ドラゴンの最上位種ですか?」
「そうです!上位種のブラックドラゴンの中でも最上位のブラックドラゴンルーラーです!」
「ほほぅ?」
「これこそが【最強】の二つ名の由縁です!覚悟したまえ!」
「では行きますよ?」
「ふっ強がりお!私のレベルは350だ、覚悟しなさい!」
純貴がそう言ってドラゴンブレスを放ってくるので、『竜魔法』と念のために『魔力吸収』を発動させて防ぐ。
「ほほぅ?腐食ブレスですか・・・」
「まだ喋れるのか!?さっさと溶けろっ!」
「口調が野蛮になりましたね?・・・そちらが素でしょうか?」
「黙れ黙れっ!さっさと溶けろっ!」
「溶ける前に行きましょう!」
「何をほざい・・・ってぇぇぇっ!」
ブレスを『竜魔法』で無効化しながら突っ込み竜になった純貴の喉元にバットを突き、鱗を砕き力任せに肘までめり込ませる。
「っぐぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ふぅ!難儀な相手でしたね。」
地に伏した純貴が気を失い『竜化』が解けて人型に戻る。
「・・・ドラゴンルーラーを・・・化物か!?」
「おい将!勝てるのか!?」
「元太!やるしかないでしょ!」
「そうだぞ!来るぞ!?」
「ちっ!『鎧化』だ!」
「時間稼ぎよろしくっ!」
元太の体に鎧が出現して殴りかかってくるので、とりあえず殴って奥の壁まで吹っ飛ばす。
「相変わらずガキ2人は気が早いですね・・・」
「穂乃香待て!話せるかもしれないぞ!」
「はぁ・・・将君が唯一の救いですね。」
「話とは・・・なんだ?」
「女神に貰ったスキルを見つけたと言ってましたね?」
「そうだ!俺達は純貴さんに出会って授かったスキルがある事を教えて貰って探したんだ!」
「ほほぅ?女神は転移した時に教えてくれないのですか?」
「俺達は何も聞いてなかったですね・・・」
「敬語とは・・・本当に将君がいてよかったですね。」
「それで?貴方は我々を生かしてどういうつもりなんですか?」
「どういうと言われても・・・仲良く暮らしたいだけなので・・・」
「将!?時間稼ぎありがとうね!?ヘルフレイムランス!」
「あぁ・・・」
「本当に将君が癒しですっねっ!」
穂乃香が魔法を放ち、将が四つんばいになって地面を眺め、叡斗が転移をして避ける。
「テレポートか・・・今度は何のキャラなんだ・・・」
「生意気な小娘は・・・ドーンッ!」
叡斗が肘から先の骨を飛ばして穂乃香の鳩尾に腕を飛ばし、穂乃香が壁へと吹っ飛んでいく。
「生意気なガキには・・・ヨガファ○ア!」
土煙の中からヨロヨロと出てきた元太に口から火の玉を飛ばして吹っ飛ばす。
「あんた・・・無茶苦茶だよ・・・」
「ハッハッハッ!話をしますか?それとも終わらせますか?」
「テレポートまで出来んのかよ・・・つかその動き勝利画面だろ・・・」
叡斗が座禅を組んで空に浮いたまま、短転移を繰り返す。
「では改めて聞きましょう、俺達を生かしてどうするんです?違う答えを下さい。」
「違う答えと申しましても・・・同じ答えしか・・・」
「ならなぜ!?身包みはいで1万円を!?」
「・・・暇なので。」
「・・・馬鹿にしてますか?」
「私は常に真剣です!」
「真剣な人がダル○ムするかよ!?」
「・・・暇なので、少しでも娯楽を・・・」
「ふざけんなよぉぉぉぉ!俺達帰りたいんだよぉぉぉぉぉ!」
「帰れないとしたら?」
「前も言ってましたが俺達は帰れないんですか?」
「私に神の為す事はわかりえませんね?」
「なら俺達はどうしたら?」
「・・・ヨハン教に鞍替えしますか?」
「召喚主を裏切っていよいよ帰れなくなるじゃないですか!?」
「元から帰れなかったと思えばいいのではないでしょうかね?」
「ふざけるのも大概にして頂きたい!」
「癒し係の将君も来るのですね?」
将が剣を抜いて斬りつけてくるので、十字受けで受け止める
「なっ!?『絶対切断』がなぜ受け止められるんだ!?」
「なぜでしょうね?それにしても『絶対切断』?最強の矛ですか・・・」
「最強の矛?何を言ってるんですか?」
「矛盾の話ですね・・・最強の矛と盾がぶつかったらどうなるのでしょう?」
「矛盾の語源はそんな感じでしたね?」
「問題です!矛盾がぶつかったらどうなるでしょう!?」
「イラッとするな・・・!」
「正解は・・・?」
「このまま真っ二つにしてやる!」
「残念!魔素が足りません!」
『絶対切断』に対して、『絶対防御』で防ぎ、お互いの魔素の削りあいをした結果、将が魔素切れになり衝撃で吹っ飛ばされる。
「何!?・・・体に力が入らない・・・」
「顔が濡れましたか?」
「アンパ○マンじゃないですから!」
「ハハハ!最後に何か質問はありませんか?なければ終わりにしますが。」
「あなたのレベルはいくつですか?」
「500越えてますよ。」
「化物め・・・」
「今日は将君と話が出来て気分がいい!他に何か?」
「なら・・・あなたの地球にいた頃の名前を・・・」
「申し訳ないですが・・・骨になり過去は捨てましたので!」
答えに困った叡斗がそれらしい事を言って、将に腕を飛ばして気を失わせる。
「はぁ・・・ダーリン?この裸の男はどうしますの?」
「裸のままでいいんじゃない?」
「では・・・あぁ・・・見たくないものが見えますわ・・・」
「メイサ慣れるんだ、そうすれば俺の吸われる魔素量も少なくなるかも?」
「ぬ・・・確かにそうですわね!」
「メイサ?凝視しろとは言ってないよ!あぁ・・・突ついてやるな!」
「ふむ・・・柔らかいのですね・・・」
「メイサ・・・本当にやめたげて・・・」
「では屋敷に戻ってからの楽しみにしましょう!」
メイサは純貴をいじくるのをやめて、将達を部屋の外へと運び出して行く。
「ダーリン?いつも通りに装備を取るとして・・・この裸の竜もどきはどうします?」
「マジックバッグを腰に付けてるから取ってほっとけばいいんじゃない?」
叡斗が穂乃香のローブを『創造魔法』で作ってメイサに渡す。
「手馴れたものですわね・・・」
「メイサもな?」
メイサが手馴れた様子で穂乃香に<マジックローブ>を着せる。
「じゃあとりあえず魔王城に戻ろうか!?」
「報告してオリーブを待ちましょうね?」
「メイサ?・・・子供頑張るから。」
「そんなに思いつめないで下さいまし!」
純貴と将達の身ぐるみをはいだ叡斗とメイサが魔王城へと転移する。
「セバスチャン!ずるいよぉ!」
「ホッホッ!京平様こちらですぞぉ!」
京平が広げたのであろう、叡斗の修行時代から倍以上に広くなった闘技場でドローンとバイクで楽しそうに追いかけっこをする京平とセバスチャンを確認して屋敷の部屋へと戻る叡斗とメイサ。
「ちょっ!うちはパトロンの直の奴隷やぞ!?通さんかい!?」
「それを言うなら我々も直接の奴隷です!」
「お前らとは種類がちゃうねん!商売の話やねん通せやっ!」
「エイト様は只今転移してますので!」
「ほなら部屋で待つから通してんか!?」
「ですから!それは無理です!」
部屋に転移すると扉の外から聞き覚えのある声が言い合いをしていた。
「カイル?どうしたんだ?」
「エイト様!只今戻りました!」
「パトロン!?あの乗り物なんやねん!?」
「エイト様?この奴隷は本当にエイト様の奴隷ですか?」
「不本意だがそうだ・・・」
「不本意って何やねん!?パトロンあの乗り物は何って聞いてねんけど?」
「煩い!ダーリンは一仕事して疲れているのです!後になさいな!」
「ひっ!?わ・・・わかりましたぁぁぁぁ!」
メイサに一喝され、フェイが一目散に屋敷の外へ逃げて行く。
「エイト様?外の新入り達はソフィアから聞きましたが、あの騒がしい奴隷は・・・?」
「商会を作ってな?その裏の商会主だよ?」
「ではエイト様は裏の裏の商会主ですね?」
「それ一周回って表じゃん・・・」
「ハハハ!ではゆっくりと休んでください!」
「ありがとな!?カイルも長旅だったんだろ?休めよ?」
「ありがとうございます!」
カイルがお辞儀をして自分の部屋へと戻って行く。
「ダーリン?少し遅いですが私はお昼ご飯を作りますわ。」
「じゃあ俺はみんなの特訓を手伝おうかな?」
「では作れたら外へ持って行きますわ。」
「へい!」
メイサと別れて、屋敷の外へ行くとフェイがバイクを舐める様に見ながら、算盤を弾いていた。
「フェイ?何してるんだ?」
「この乗り物がいくらで売れるか計算してんねん!」
「売らないぞ?しかも風の魔石を使ってるから売れないと思うぞ?」
「なんやねんそれ・・・風の魔石とか算盤の桁が足りひんやんけ・・・」
「ならこれを使って商売が出来るんちゃうんか?」
「お前が風の魔石を補充するんなら出来るんじゃないか?」
「まだ魔石は作られへん・・・」
「作れるようになったら商売にすればいいんじゃねぇの?」
「せやけどこれを盗もうとする輩から守るのは骨やな・・・」
「そうだろ?だから玩具に留めとけ?」
「銭の成る木が目の前にあるのに・・・無念や・・・」
「それで?カピタールでの商売は上手く行ったのか?」
「ハンクはんが賃貸物件を紹介してくれて問題なしやで!」
「いい関係になれたみたいでよかったよ。」
「あとモツ煮込み屋との提携も決まってゼントラムでモツ煮込み屋を開くで!」
「さすがは逞しいな・・・」
「もう1週間もしたら、マニュアルを覚えた奴隷達は来るはずやからそこからカピタールもヨハン商会の街やで!」
「まぁお前に一任してるから、好きにやれよ?」
「でもほんまにええのん?儲けは全部、寄付と商会の発展に使っても。」
「フェイ商会を併呑するまでは、突っ走れ!」
「かしこまりやで!」
「じゃあ俺は特訓に行くかな?」
「ほな、うちは玩具で遊ぼかな・・・ヒャッホォォォ!」
フェイがバイクに乗って走り去って行く。
「あいつは銭勘定してなくても煩いな・・・」
エイトが1人ごちて、手加減が上手くなったソフィア達の特訓を眺める。




