~78話~最悪の対応と女神教総本山
「ダーリン?そろそろ着きますがどうしますか?」
「どうするとは?」
「すぐにギルドに向かいますか?」
「そうだな・・・教会に行って免罪符の情報を調べてみるか?」
「では車をオリーブに任せて我々は教会に向かいましょう。」
「昼御飯はどうなさいますか?」
「メイサ達が食べたい所なり食べたいものでいいんじゃない?」
「ダーリンは何か食べたいものはありますか?」
「食べたいものねぇ・・・?」
「ないのですか?」
「食べたいって思って作っても全部無くなっちゃうもんなぁ?」
「まだ怒ってますのね・・・」
「怒ってるってか根に持つタイプなもんでね?」
「反省してますわ。」
「いいんだよ?美味しいって言ってもらえるのは嬉しいしね?」
「次からはダーリンの分をしっかり考えますわ。」
「そうしてくれると有難いね。」
「門を通ったようです、行きましょう!」
「わかった!」
オリーブに車を任せて3姉妹の案内でカピタールの街の女神教会に入り、司祭に免罪符の事を聞く。
「あの?免罪符ってどこで手に入りますか?」
「免罪符ですか?金貨1000枚の御布施を頂ければ発行致しますよ?」
金貨1000枚、1億円相当の御布施だ。
「免罪符では、どの程度の罪まで免れますか?」
「今まで許されなかった前例が御座いませんので分かりかねます。」
「前例がない?」
「それだけの信心をお持ちの方ですから、女神がお許しになるのです。」
「そ、そうですか・・・ありがとうございました!」
叡斗が司祭にお礼を言って教会から出る。
「全員を助けるとして15人だから金貨14000枚か。」
「まだ有罪と決まった訳ではありませんわ、話しを聞きにギルドに向かいましょう!」
「そうだね!」
「ではオリーブさんの宿とギルドは近いのでこちらです!」
3姉妹が先導してくれるので、迷うことなくオリーブと合流して冒険者ギルドに着き、受付嬢にギルドカードと特別推薦状を提出する。
「【無双】エイト様お待たせしました、こちらへお願いできますか?」
20代後半の女性の案内で3階の部屋へと案内される。
「ハルミンのギルドと同じ作りですわね?」
「規格が決まってんのかね?」
「どうぞお入りください。」
「どうも・・・【無双】叡斗失礼します!」
部屋へ入ると扉の横には黒子面の冒険者が立っていて、でっぷりと肥えたおでこが大分後退した赤髪天パのおっさんがドスドスと歩いてくる。
「やっと来たか!ロキマの人間が行動が遅くてかなわんな!」
「はぁ・・・すみません・・・これがベアトリーチェさんから預かった・・・」
「あぁ?あの女は婆さんの血を受け継いでるな!ロキマの人間に陥落されおって!」
おっさんが特別推薦状を破り捨てる
「ギルドマスターさんですよね?何をされたかわかってるんですか?」
「あぁ罪人の持っていたよくわからん紙を破いただけだが?」
「そうですか・・・っで?我々の罪状とは?」
「女神教の禁忌を犯せし者を捕らえよと仰せだ!」
「ふーん・・・その態度で後々困りません?」
「何が困ると言うのだ?ほら!手錠をしろ!抵抗して逃げても構わんぞ?」
「逃げたらどうなります?」
「お前の弟子共は即刻死罪だろうな?」
「もうこの国の冒険者ギルドに何も売らねぇ!」
「報告は受けてるオリハルコンにオリハルコン刀だな?」
「絶対売らねぇ!」
「売って貰わなくて結構だ!罪人の物は捕らえた者の所有物になるんだからな?ガハハハハ」
「なら俺達が無罪になって戻ってくるまで大事に持っとけよ?」
「それは不可能だ!少なくとも貴様らは確実に禁忌先導の罪で死罪だ!ガハハハハ」
ギルドマスターは勝ち誇ったように下品に笑う
「ダーリン?私を免罪符で解放してくださる?」
「何か手を思いついたのか?」
「女神教を潰して、すぐに追いつきますわ!」
「暴力は駄目だよ?」
「もちろんですわ?」
「おいギルドマスター!」
「なんだ?」
「【舞姫】メイサは免罪だ!」
叡斗は免罪符をメイサの胸に着ける
「そんな物を・・・どっちみちオリハルコン刀はワシの物だ!」
「ギルドマスターさん?叡斗達はこれからどこに連れて行かれますの?」
「北のアガテアに決まっておろう?」
「そうですか・・・ではダーリン?すぐに駆けつけますわ?」
「あぁ・・・無理するなよ?」
メイサが部屋をそそくさと出て行き、扉の横に控えていた冒険者が叡斗とオリーブに妨害石の手錠を両手両足にはめ、武具やマジックバッグを外して行く。
「これがオリハルコン刀に容量が無限のマジックバッグか・・・」
ガームが嫌らしい笑みを浮かべて叡斗とオリーブの装備を手に取る。
「ガームさん2人はどうしますか?」
「すぐに馬車に乗せてアガイアに連行してしまえ!」
「かしこまりました、こちらへお願いします。」
黒子面の冒険者に鎖を引っ張られ叡斗とオリーブは大人しく馬車まで連行されていき、ギルドの前に止まっていた鉄の箱が乗った馬車に乗せられ、アガイアへと連行される。
「御主人様?奥様は大丈夫でしょうか?」
「メイサが大丈夫と言い切ったんだ、信じるだけさ?」
「そうですね。」
「アクセサリーは取られなくてよかったな?」
「そうですね。」
「旦那・・・大丈夫なんですか?」
一緒に乗り込んだ黒子面の男が話しかけてくる
「誰だ?」
「ガンツですよ!御者をしてるのはハリーです。」
「なんでお前らが?」
「もし旦那が暴れても知合いの俺達なら命は取らないだろう・・・っと」
「一応俺達を力づくは無理って認識してるんだな?」
「もちろんですよ!そう真実を報告してますから!」
「で?アガイアまではどれくらいだ?」
「途中の村で馬を変えて、夜通し走りますんで1週間程で着く予定です。」
「なぁ?逃げないから手錠って外せるのか?」
「外せますが・・・どうしました?」
「美味い飯食べたくないか?」
「マジックバッグが無いのにですか?」
「御主人様よろしいのですか?」
「背に腹は変えられん!絶対に口外厳禁って約束するなら逃げないし美味い飯が食べられるぞ?」
ガンツが御者台の窓をスライドさせて開けてハリーと相談する
「わかりました!どうせ旦那達が本気で抵抗したらそんな手錠意味なんでしょう?」
「多分壊せるかな?」
「なら俺達は何も見ずに美味い飯を食べて上機嫌な旦那と旅がしたい。」
そういってガンツが手錠を外してくれる。
「信用してくれてありがとうな?」
「信用と言いますか、諦めですね。」
「なんでもいいや!快適に旅が出来そうで何よりだ!」
しばらく車が進み晩御飯時になったので人目に付かない場所に車を止めて料理を始める。
「何も無い所から道具が・・・」
「召喚人のスキルだ!絶対に内緒だぞ?」
「言っても信じてもらえねぇです。」
ガンツとハリーに釘をさしてオリーブと料理を作る。
「御主人様、奥様は何をされるつもりなのでしょうか?」
「さぁな?なんとなく1つは心当たりがあるが外れてるかもしれないしな。」
「それは何ですか?」
「カジノ?」
「カジノ・・・ですか?」
「外れてるかもしれんがな?さ、食べよう!」
「かしこまりました。」
4人でハンバーグを食べるが、ガンツとハリーがうるさい。
「やっぱり旦那の料理は格別だぁ!」
「うめぇ!うめぇ!」
「旦那!この料理はなんて言うんですか?」
「肉汁が半端ねぇ!ステーキよりもうめぇ!」
「うるさい!お前らは夜通しで御者すんだろ?黙って食べろ!」
叡斗に一喝され、これからの行程を思い出したのか表情が曇る2人。
「じゃあ後はよろしくね?」
「御主人様狭いです。」
「はぁ・・・俺は寝ずの番なんですがね・・・」
叡斗とオリーブが馬車の中いっぱいに布団を広げて馬車の中で寝始める。
「・・・俺も寝てやる!どうせ逃げ出したら捕まえられないんだ!」
開き直ったハリーが椅子に座ったまま布団をかけて寝始める。
「おい!ハリー!起きろハリー!」
叡斗が御者をしているガンツの声で目を覚ます。
「ガンツどうした?」
「起こしてしまいましたか!?」
「気にすんな!朝か?」
「そろそろ交代の時間なのですが・・・寝ずの番のはずなのにぐっすり寝やがって!」
「じゃあちょっと早いが飯にするか?」
「かしこまりました!人目に付かない所を探して止めます!」
「頼んだ!」
「御主人様おはようございます。」
「おはよう!朝御飯は何食べようか?」
「うどんが食べたいです。」
「そう言えば作るって言って忘れてたな・・・よし一緒に作ろう!」
「かしこまりました。」
車が止まり、オリーブと一緒にうどんをこねて、切る行程からはオリーブに任せて叡斗は寸胴鍋を取り出し、中身の液体を小鍋に移して火にかけ始める。
「御主人様その液体は?」
「削り節でとったダシ汁だよ?」
「そんな物を用意してたのですね。」
「大量に作っとけば色々と使えるだろう?」
「御主人様のスキルがあっての発想ですね。」
叡斗が手馴れた様子で醤油・みりんなどの調味料を加えて麺つゆを作り冷蔵庫に入れる
「オリーブ麺はもういけるか?」
「はい、準備完了してございます。」
「じゃあ食べようか!」
「かしこまりました。」
作りなれたオリーブが茹でた麺をざるに上げ水で締めて食卓へと運び、叡斗が冷蔵庫から出した麺つゆとネギを食卓に運び朝御飯が始まる。
「御主人様のおつゆは味が深いですね。」
「オリーブ?ダシなのだよ!」
「なるほど・・・ネギも合いますね。」
「ワサビが欲しいなぁ・・・」
「またワサビですか。」
「俺ワサビ大好きなんだよぉ・・・」
「そんなに美味しいのですか?」
「美味しくはないんだけど・・・ワサビを肴に焼酎飲みてぇな・・・」
叡斗が想像のワサビを箸で突いて箸先を舐めて、想像の焼酎が入ったコップを煽る。
「ハリー・・・俺達本当に死罪人を護送してるのか?」
「ガンツ何も考えない方がいい、何も考えずアガテアに行こう。」
「そうだな・・・これ美味いしそれだけ考えよう。」
「そうだ!今目の前の美食を楽しもう!」
「ガンツも寝てなよ?ハリーが声したら起こしてやるから!」
朝食が終わり車が進みだして叡斗がガンツに言う
「・・・ではお願いします。」
「あぁ!夜通し走ってたんだ疲れただろう?」
叡斗が返事をした時にはガンツはすでに座ったまま寝入っていた。
「やっぱり御者って大変なんだな・・・オリーブいつもありがとな?」
「いえ、私は外套があるのでかなり楽をさせて頂いています。」
「それならいいが・・・とりあえず戻ったらあのガームだっけ?ギルドマスターどう仕返してやろうか?」
「首をはねるのは如何でしょう?」
「いいけど、それじゃあいつが後悔しないな?」
「奥様と一緒に考えましょう。」
「そうだな!」
罪人の護送とは思えない程に平常運転でアガテアへと護送されていく叡斗とオリーブ。
途中の村でも馬を取り替えるとすぐに出発して人目の付かない所で食事をして平和にアガテアへの護送が行われる。
ガンツの言った通りに1週間経ち、アガテアに着き車が止まると乱暴に扉が叩かれガンツが扉を開けると全身鎧の騎士が叡斗とオリーブの手錠が繋がっている鎖を引っ張り馬車の外に引っ張り出そうとする。
「さっさと出ろ!」
「御主人様どうしますか?力は弱いですが。」
「大人しくしとくぞ!」
「かしこまりました。」
叡斗とオリーブが鎖を引かれて大勢の観衆の中心の通路を罵声を浴びせられながら奥に巨大な女神像がそびえ立つお立ち台へと連行され3個並べられたうちの中央の檻に入れられる。
左右の檻にはカイジンやドラゴンアイズにドーラパーティの面々が入っていた。
「エイト様!」
「エイトォ!」
「お前らよく捕まったな?相手が強かったのか?」
「エイト様がどうにかなさるだろうと評判を落とさぬために大人しく捕まりました。」
「俺達も同じくだ!」
「あたい達もだよ!」
カイジンとベックとドーラがそれぞれのチームを代表して答える。
「兄貴!姐御はどうしやした?」
「俺もメイサ頼みだ!メイサが来なかったら本気で逃げるぞ?」
「お尋ね者でやすか・・・兄貴と一緒に旅するんならそれもいいかもしれやせんね!」
「馬鹿野郎!それじゃエイト様の教えを伝えられないだろう!」
カイジンがバッポに拳骨をする。
「カイジン痛いよ!」
「それで?俺達はこのままだとどうなりそうだ?」
「はい!エイト様達は死罪、我々は男は死ぬまで強制労働でしょうな?」
「女はどうなる?」
「教会のお偉いさんの慰みものでしょうな?」
「女神教腐ってんな・・・」
カイジンが答えてくれるが、聞かない方がよかったかな?と軽く後悔する叡斗。
「女神の子らよ!静まれ!」
「あれが教皇です。」
「オリーブありがとな?」
静まり返った広場でオリーブが耳打ちをして教えてくれる。
「この者らは女神様の禁忌を犯し『魔力操作』の鍛錬をしておる!よって先導者のエイト・メイサ・オリーブの3名は本日の日没に死罪とする!」
教皇が言うと歓声が起こり檻に向かって色々なものが投げられる
「裁判って聞いて来たんだがな・・・」
「裁判と言う名の晒し上げですね。」
「他12名は、男は教会の建設労働をして女神様に貢献し、女は教会内で奉仕活動に従事することとする!」
再び歓声が上がり、檻へものが飛んでくる。
「お待ちなさい!」
エメラルドグリーンの長い髪をなびかせた美人が悠々と通路を歩いてお立ち台へと上がってくる。
「メイサ来たか。」
「奥様、信じてました。」
「姐御待ってましたよ!」
「お嬢さんはなんだね?」
「私は【舞姫】メイサと申します!」
「大罪人の1人ではないか!衛兵出会え!」
教皇の声で何十人もの全身鎧の騎士がぞろぞろと出て来るがメイサは一切動じず
「私は女神に許されてましてよ?ほら?」
「免罪符ですか・・・その信仰心を大切になさってください・・・」
教皇が悔しそうに顔を歪めて衛兵を下がらせる
「あと・・・この者達の免罪符ですわ!」
メイサが無造作に明らかに14個よりも多い数の免罪符を無造作に放り投げる
「なっ!?」
「あとこちら、払ってくださる?」
メイサが紙を教皇に渡して檻を叩き壊して叡斗達を解放する。
「ダーリンお待たせしましたわ!」
「メイサ信じてたよ!あの紙は何?」
「借用書ですわ。」
「やっぱりカジノで勝ったんだ?」
「はい、金貨20億枚分ほど。」
「どうやったらそんな数字になんだよ・・・」
「ルーレットを7回ほど当てたらそうなりましたわ。」
「本当に必勝法見つけてたんだな。」
「帰りに教えて差し上げますわ。」
「楽しみにしてるよ!」
「では教皇さん?今すぐにお支払い頂けますか?」
「こ・・・この額は・・・」
「女神様からの思召しを払えなかったウラジール国教会の正式な書面ですわよ?」
「金貨20億枚なんて・・・」
「女神教はカジノで勝った女神様からの思召しをお支払い頂けないのですか!?」
メイサが観衆に向けて芝居がかった様子で声を張り、観衆達がどよめき出す。
「我々は免罪符を用意した免罪された人間だというのに借金を踏み倒すと言うのですか!?」
「そ・・・それは・・・」
「では続きのお話をしましょうか?」
「つ、続きですか?」
悪い顔のメイサが顔面蒼白になっている教皇に静かに問いかける。




