~74話~ゼーシュタットでマグロ釣り
「ダーリン?」
「なんだ?」
「なぜ3姉妹が乗ってますの?」
ゼーシュタットに向かう車には叡斗とメイサとリーナ達3姉妹が乗っている
「え?メイサが乗せたんじゃないの?」
「私は知りませんわよ?」
「え?なんで乗ってるの?」
「「「・・・」」」
「ダーリンがっ、質問してますがっ!?」
「あの・・・カピタールまで着れて行ってください!」
「いいよ」
「え?いいんですか?」
「駄目って行ったら、降りるの?」
「とりあえず抵抗がします。」
「だろうと思った!だからいいよ?」
「はぁ・・・ダーリンがいいと言うのであればいいですわ。」
メイサが溜息を付いて了承すると、3姉妹がキャッキャと喜んでいる。
「ご飯に関してはメイサとオリーブに任せた!」
「ではゼーシュタットまでは別ですわね!」
喜んでいた3姉妹がメイサの言葉で世界が終わるかのような表情で項垂れる。
「言って下されば、下拵えしましたのに・・・全くもう!」
「っで?一応聞いとくけど、カピタールまでの監視役とかじゃないよな?」
「ち、違いますよ!」
わかりやすくどもるリーナ
「よかった!記録係だったらデザートも風呂も記録されたら困るから作れない所だったよ!」
「そこは前回と一緒で異常無しですよ!」
「やっぱり監視役なんだね?」
「ち、違います!」
「メイサ?カピタールまで車での移動以外は全部別行動がいいみたいだよ?」
「そのようですわね。」
「アースドラゴンみたいな事が無い様に記録係ですぅ!あのご飯が食べたいですぅ!!」
末っ子のカンナが叡斗の足に泣きながら縋りついてくる
「「カンナ!」」
「今更隠すなよ・・・信用出来なくなっちゃうぞ?」
「すみません・・・」
「袖の下は足りてるな?」
「十分です!金貨100枚は頂きましたから・・・」
「ならあとはよきにはからえ、だ!」
「基本的にはエイト様レベルでという、カッコ付きで異常無しです。」
「いい子達だ!」
「では3姉妹は置物と思って特訓を開始しましょうか?」
「そうだな!瞑想でいいかな?」
「ダーリンの感覚でいいと思う事をなさればよろしいですわよ?」
「じゃあ3姉妹もいるし、瞑想で試してみる!」
「がんばってくださいね?ウフフ」
叡斗がメイサの膝の上で目を瞑り、静かに集中する。
「あの・・・何をされてるんですか?」
リーテがおずおずと質問する
「今ダーリンが集中してるので、ご飯時に教えて差し上げますわ。」
「わかりました。」
「ダーリン?お昼ご飯ですわよ?」
「もうそんな時間か!すぐに準備するよ!」
メイサの声で覚醒して車から降りて準備を始める叡斗
「ダーリン、進展はありましたか?」
「うーん・・・何か掴めそうな気がするんだけどねぇ・・・」
「掴むまでが大変なので焦らず行きましょう?」
「ありがとう頑張るよ!」
「ではダーリンは着替えてゆっくりなさって下さる?」
「はい!」
叡斗が着替えて席に着いてご飯を待っていると、3姉妹がメイサから聞いたのだろう。
机の横で3人並んで座禅を組んで、瞑想をしている。
「ちょっと手伝ってあげるよ?」
「ひあっ!?」「ひょっ!?」「フゥォッ!」
叡斗が3姉妹の肩に順番に手を置いて魔素を刺激してあげるとカンナが目を見開き、魔素の流れが活発になる。
「カンナは感覚を掴んだみたいだな?各自励めよ?」
「「「はい!」」」
「ダーリン出来ましたわよ!」
「待ってました!」
叡斗が席に着き、3姉妹もいそいそと椅子に座る。
「ゼーシュタットまでは無いと言いましたわよね?」
「あれ本当だったんですか!?」
「嘘を言ってもしょうがないでしょうに・・・ほら!せめてこれを使いなさい!」
メイサが3姉妹にマヨネーズを渡して、3姉妹は「料理が見えたら辛いから」
と言い残して遠くへと歩いて行く。
「あいつら大丈夫かな?」
「唐揚げなどの下拵えをしてしまったので作らないわけにも行きませんしね・・・」
「勝手に乗ってきたのですから気にしては駄目です。」
「そうだな!」
唐揚げにマヨを付けて米と一緒にかき込む叡斗。
昼食が終わり出発するが、3姉妹の服が土だらけだ。
「なぁ?なんでそんなに汚れてんだ?」
「これは・・・」
「カンナが・・・」
「マヨネーズ。」
3姉妹が気まずそうに話す。
「カンナがマヨネーズを独り占めしようとして喧嘩になったのか。」
「3等分にしたのにカンナが奪うんですよ!」
「メイサ?結構な量渡してたよな?」
「ボウル一杯に渡しましたわよ?」
「その量を取り合いかよ・・・」
「違います!カンナがマヨネーズだけを食べるんです!」
「マヨラーかよ・・・」
「カンナ?あんた何か言う事あるでしょ?」
「・・・・・・」
「中々『魔力操作』の筋がいいですわね。」
カンナは我関せずと言った様子で静かに座禅を組んでいた。
「とりあえずだ!夜も喧嘩になるなら明日からは何も無いからな?」
「カンナに言ってください・・・」
「特訓しよっと。」
「エイト様ぁ・・・」
リーナが何か言ってるが聞こえないふりをして瞑想を始める叡斗
その後も3姉妹が仲良く喧嘩をしながらマヨネーズを奪い合ったりして、翌日の昼過ぎゼーシュタットに到着した。
「ダーリン着きますわよ?」
「おぉ!あれが海の街ゼーシュタットか!」
叡斗が窓から顔を出して外を見ると、海の上に街が広がっている。
「住民は海人族なので、自然とああいう形の街になったそうですわ。」
「ふむ!釣りとか出来るのかな?」
「南の端が釣りの名所ですね!」
リーナが教えてくれる
「なら俺は久々に釣りする!」
「私とオリーブは買出しをしていてもよろしいですか?」
「なら新鮮な魚の保存用に冷蔵庫渡しとくよ!」
「入りきらないでしょうから急いで帰ってきてくださいね?」
「合点!」
宿に車を預けて、メイサと分かれて、叡斗は叡斗の記録係の長女リーナと共に南へと向かう。
「あの下半身が鱗に覆われている人が海人族?」
街行く人を見ると、ちょくちょく下半身が鱗に覆われて何も履かずにある人がいる。
「そうです。海に入ると下半身が魚になるんですよ?」
「じゃあ普通にズボンを履いてる人は人間なんだな?」
「いえ!変身に時間をかければ、人の足にもなれるはずです。」
「そうなのか・・・」
「エイト様?」
「なんだ?」
「本当に冒険者ギルドには寄られないのですか?」
「本部でベアトリーチェの特別推薦状見せるまではウラジールのギルドに行く気はないかな?」
「ですよね・・・そうですよね・・・」
しばらくリーナと歩き浮島の南端に到着したが人がいない。
「なぁリーナ?釣り人いないけどここで釣っていいの?」
「私が前来た時はここに釣り人がいっぱいだったんですがね・・・」
「おい!あんた達今は釣りできねぇぞ!」
下半身が鱗に覆われた、青年が話しかけてくる
「禁猟期間とかですか?」
「今トゥンヌスがここいらを周遊してるから、そいつがかかったら海に引きずり込まれてそのまま食べられるぞ!」
「トゥンヌス?」
「魚の魔物だよ!」
「旨いんですか?」
「釣れる人はいないし、網にかかっても破られるから食べた事ねぇ!」
「餌は何を?」
「何でも食いつくぞ?」
「よし!トゥンヌス釣って食べてみようぜ?」
「兄ちゃん!俺の話し聞いてたか!?」
「はい!ありがとうございました!」
「俺は忠告したからな?死んでもしらねぇぞ?」
そう言って青年は街へと戻って行く。
「エイト様大丈夫ですか?」
「今日のために色々作ってるから大丈夫だ!」
そう言って叡斗が一本の竿を取り出す
「トゥンヌスは力が強そうだからまず千切れない糸のこれを使ってみるぞ!」
「糸はなんでそんなに固そうなんですか?」
「ふふふ!ちょっと3日程何も出来ない時があってな!作ったのよ!」
青太がヨハンランドを作っている時に暇だったので、釣り糸の作成をしていた。
「竿も・・・金属製ですか?」
「鉄で作ってるから折れる事もないはずだ!」
「切れないというか・・・海に落ちないで下さいね?」
「わかった!」
叡斗が海に針を投げ入れる。
「こないな・・・」
「来ないですね・・・」
1時間待つが当たりが無い。
「こんな遊んだ一品じゃなくてちゃんとした竿で釣るか・・・」
「それがいいかと思います。」
叡斗が竿をしまおうと持ち上げようとすると
「ん?感触が・・・」
「エイト様引きづりこまれないように!」
「わかった!おりゃっ!」
「無駄な心配でしたね・・・」
叡斗がマグロのような魚を一本釣りする
「マグロみたいな魔物だな・・・捌いてみよっか!?」
「ここでですか!?」
「釣りたてが一番美味いのだよ!」
叡斗がトゥンヌスを地面に降ろし、一文字で血抜きをして3mのトゥンヌスをおぼろげな知識で捌いて行く。
「出来た!」
「オリハルコン刀って凄いんですね。」
「サクッと切れたね?」
「魔物の皮は基本硬いはずですのに・・・」
「まぁ食べてみようよ?」
叡斗が部位分けしたトゥンヌスの肉を刺身にして醤油をかけて食べる。
「うまっ!高級なマグロだな!」
「これは・・・こんな美味しい魚食べた事無いです!」
「よし!釣りまくろう!」
針に餌を付けて海に浸けると、今度は1分もかからずに当たりが来る。
「もうかかった・・・」
「今周遊し始めたんですかね?」
釣るとすぐに血抜きをして空納へしまい、再び叡斗が釣りを再開する
「エイト様?」
「この魚を引っ張る手応えがたまらん!」
「楽しいのかもしれませんがもう十分では?」
「たしかに日も傾いてきたな。」
「それよりも何匹・・・何頭釣りました?」
「10から先は数えてない。」
「15頭です!」
「まぁ十分っちゃ十分か!」
「その時忘れのマジックバッグどれだけ入るんですか?」
「いっぱいだ!」
「もういいです・・・昼からは釣りをしていた異常無し。」
「リーナはいい子だな!」
「では宿に戻りましょうか?」
「そうだな!」
2人で夕暮れ時のゼーシュタットの街を歩いて宿に戻ると、部屋でメイサとオリーブが膨れっ面で待っていた。
「ただいま!どうしたの?」
「お魚がなかったのです!」
「トゥンヌスとか言う魔物が近くを回遊してて漁に出られないそうです。」
「そのトゥンヌスいっぱい釣ってきたぞ!」
「美味しいのですか?」
「晩御飯前だけど食べてみる?」
「御主人様!是非!」
叡斗が空納からトゥンヌスの身を取り出し、すぐにメイサが切り分け3人で食べる。
「美味しいですわね。」
「程よくのった脂が最高です。」
「3mくらいのトゥンヌスを15頭獲ったぞ!」
「さすがダーリンですわ!」
「御主人様のメイドで本当によかったと思います。」
「じゃあご飯を食べようか!」
「そうですわね!」
「では参りましょう。」
3人で宿の食堂で晩御飯を食べほろ酔いのメイサとオリーブと風呂に入る。
「そういえば明日はどうする?」
「目当てのお魚が無かったので私達は予定はありませんわ。」
「オリーブ?次に向かうとしたらどこになる?」
「丸1日でウンテントラムの村があります。」
「その次はカピタールか?」
「はい、ウンテントラムから2日でカピタールです。」
「メイサはそれでいいか?」
「明日の朝一出発という事ですね?私はよろしくてよ?」
「ならそれで行こう!3姉妹はどこだろうな?」
「部屋は分かってますので後で伝えておきます。」
「頼んだ!なぁ2人共?」
「どうしました?」
「長芋・・・すりつぶすとねばねばする食べ物って知らない?」
「使い勝手が悪くてダーリンの空間収納の肥やしになってますわよ?」
「マジで!?」
「長い芋と緑色の切ると星型の野菜ですわ。」
「長芋とオクラだよな・・・」
「新しい料理作ってくださるのかしら?」
「楽しみですね!」
2人が左右から叡斗の両腕を抱きしめる
「待て!道具が足りないからもう少しあとだ!」
「すぐには作れませんの?」
「部屋に戻ったらやってみるけど出来るかわかんないからな。」
「私協力を惜しみませんわよ?」
「そうなると、ワサビが欲しいなぁ・・・」
「ワサビですか?」
「食べるとツーンとする辛味の効いた食べ物なんだけどな?」
「ビールと一緒に探しておきますわ。」
「じゃあ上がって、おろし金作ろうか!」
「では私は3姉妹に言伝して部屋へ戻らせていただきます。」
部屋へ戻るとオリーブが部屋から出て行き、メイサに急かされながらおろし金を作る。
「これですれるんかいな・・・」
目の粗いおろし金が出来上がった。
「これすり鉢では駄目ですの?」
「あ・・・」
「では明日は楽しみにしてますわ!」
「最近不意打ちばっかりだな!」
メイサが突然魔素を吸い取ってきて、意識が離れて行く。
「なんですの?これは?」
「御主人様、美味しいのでしょうか?」
「ねばねばしてますよ?」
「申し訳ないですが食べる気が・・・」
「とにかく食べてから・・・」
翌日昼食で叡斗が鮪の山かけ丼を作ったのだが、見た目的にはみんな不評なようだ。
「トゥンヌスの山かけ丼だ!さぁ醤油をかけて召し上がれ?」
「ダーリンが言うのですから・・・」
「御主人様が作った物ですから。」
「「「えいっ!」」」
メイサとオリーブは自分に言い聞かせながら食べ、3姉妹に至っては目を瞑って同時に口に放り込む。
「そんなに覚悟決めなくても・・・美味しいのに・・・」
叡斗が山かけ丼を食べながら不満そうに1人ごちる
「美味しいですわっ!」
「するすると喉を通っていきます。」
メイサとオリーブが驚いて呟き、3姉妹は無言で丼に口を付けてかき込んでいる。
「ほい!これも食べてみな?」
叡斗が皿を差し出す
「これは?」
「オクラを茹でてからきざんで醤油と削り節で和えただけの料理!」
「美味しいですわ・・・持て余してた食材なのに・・・」
「私は大好きな味です。」
「俺も地球にいた頃はオクラ好きだったな・・・」
「初めて見る料理ですわね。」
「今まで見た事ないという事は御主人様だから出来る事なのですね。」
「まぁそういう事にしとこうか!」
「あの・・・」
「カンナどうした?」
「お替りってないですか?」
「あっちにあるから自分で盛りな?トゥンヌスは冷蔵庫な?」
「はい!っあ!!」
カンナに言うと、リーナとリーチェがダッシュでお替りに行き、そこにカンナが加わりキャットファイトを繰り広げている。
「そんな急がなくても十分用意してるのに・・・」
「ダーリン・・・このオクラはもうありませんの?」
「嘘っ!?あの量を2人で食べきったの?」
「オリーブが腕輪を外しましたの。」
「違います奥様、外れました。」
1キロはあったオクラを完食したオリーブが腕輪をはめながら言う。
「まぁ腕輪を取ってまで食べたかったんなら嬉しい限りだな。」
昼食が終わり
「では皆様出発致します。」
「さぁダーリン車に行きますわよっ!?」
「あ、あぁ。」
「エイト様行きましょう行きましょう!」
「さぁ!『魔力操作』の訓練よ!」
「トゥンヌスはA+ランクっと。」
カンナが何やら記録しているが食べ物意外の事を記録してるところを見たことがない。
お盆で多忙のため投稿が出来ない日がちょこちょこありそうです。




