~73話~報告と製鋼のお願い
「エイト様?決闘の賭けのお金を!」
「あぁいくらか知らないけど俺の代わりに世のために使ってよ!」
「そうもいきません!大金ですから!」
「いくら?」
「金貨30枚相当です!」
「いいよいいよ!今金貨500枚くらいはあるから困って無いし!」
「そうですか・・・そういえばエイト様、「ロックタートル鉱山」に行ったとか?」
「行ったけどどうした?」
「鉱石は村に納めたんですか?」
「え?納めてないよ?」
「村の運営費として、採掘量の5%を村に納めないと駄目ですよ?」
「マジか!村長言わなかったから知らなかった!」
「おそらく村を救った英雄に言えなかったんだと思いますよ?」
「ありがとうリーナ!村に着いたら出しとく!」
「ちなみにどれくらい納めるんですか?」
「鉄を5キロ、銀と金を1キロづつくらいかな?」
「5%でそれですか?」
「あとオリハルコンが500グラム納めるようになるな。」
「オリハルコ・・・ン?」
3姉妹が意味がわからず、ぽかんと口を空けて叡斗を見つめる
「最奥でオリハルコンが見つかってな?」
「え?半日足らずで帰ってきたと聞きましたが?」
「ガイアがいたから捗ってな!」
「地竜をそんな風に使える人いないですから・・・」
「ガイアも色々見つけて喜んでたしいいダンジョンだったよ!」
「記録係じゃなくてよかったです。」
「「うんうん」」
「息ぴったりだな・・・まぁいい!とにかくいい話をありがとう!」
「いえ、役立ったならよかったです。」
叡斗とメイサが2人でいちゃいちゃしていると、対面に座る3姉妹がオリハルコンの採掘量と値段を計算してひっくり返っていた。
「御主人様着きましたが、車はどうしましょうか?」
「そういえば次の目的地はどうするんだ?カピタールか?」
「遠回りでもよければ、海の街ゼーシュタットに行きたいですわね。」
「カピタールなら4日、ぜーシュタットなら1日と半日です。」
「ならゼーシュタットに!明日の朝一出発でいいかな?」
「では宿に車を運んでおきますので、御主人様は先にギルドへ行ってください。」
「わかった!オリーブすまんが頼む!」
「勿体ないお言葉です。」
メイサと3姉妹を連れて、村のギルド出張所に行くと中央の机にベアトリーチェと村長が座り壁に沿って冒険者達が立って待っていた。
「エイト様おかえりなさいませ!」
「村長どうも!「ロックタートル鉱山」の税を忘れないうちに渡しても?」
「エイト様から受け取るなんてとても!」
「いえ!是非受け取ってください!」
叡斗がそう言って鉱物を机に並べて行くと、ギルド内の全員が固まる
「どうぞこれが約5%です!」
「なぜ製鋼されてるので?」
「俺のスキルで製鋼しましたが?」
「あとこの鉱物は・・・なんでしょうか?」
「オリハルコンですよ?」
「オリ・・・オリ・・・オリ!?」
村長の息が荒くなり胸を押さえて床に座り込む
「村長大丈夫ですか!?」
「5%でこの量ですか!?」
「少しだけ色を付けてますがね?」
「で、で、でで・・・では!有難く頂戴致します。」
村長がオリハルコンを大事そうに抱えてギルドから飛び出して行く。
「あなたと言う人は・・・まぁいいです!村長を待ちましょう。」
「俺何かしちゃいました?」
「あんな量のオリハルコン・・・うちのギルドでも買い取れませんね。」
「ふーんそうなんだ・・・」
「あれで5%と言う事はまだあるんですか?」
「ありますけど?」
叡斗がオリハルコンの塊を取り出し机に置く
「頭痛が・・・」
「大丈夫ですか!?働きすぎですか!?」
「あなたの所業を見ていると色々どうでもよくなりますね?」
「ハハハ!元Sランクが何を言いますやら!見飽きているでしょう?」
「もう私が元Sランクなのは忘れてください!」
「じゃあ俺の刀も珍しいんだ?」
「刀?」
「これオリハルコン刀ですよ?」
「国宝の中でも最上の部類じゃないですか・・・」
部屋の中の3姉妹以外の冒険者がふらふらと床に座り込み、ベアトリーチェは頭をかきむしっている。
「突然抜けてすみませんでした!・・・どうなさいましたかな?」
「なんでもありませんよ?」
戻ってきて部屋の状況を掴めず、キョトンとする長老を叡斗がオリハルコンを空納して席へと促し何事も無かったように話を始める
「では!何を報告すればよろしいですか?」
「はぁ・・・逆に行っておくべき事はありませんか?」
「特には?」
「では!どうやってアースドラゴンを5体満足でテイムしたんですか!?」
「素手で叩き伏せました。」
「は?」
「あ!蹴りも使いました!」
「そういう事では・・・」
「もちろん『調教』スキルを使いましたよ?」
「そうでしょうね!ではなぜ魔の森に?」
「用事があったとだけしか、言えませんね。」
「あんな死の森に用事ですか?では出てきた時の森の道は何ですか?」
「わかりません。きっと森の主が出迎えてくれたんじゃないですかね?」
「我々が離れたら道が消えたと報告受けているのでそうかもしれませんね・・・信じられませんが。」
「他に聞きたい事は?」
なぜかベアトリーチェは疲れきった顔を横に振り、村長が手を挙げる
「あの・・・エイト様?」
「どうしました?」
「先ほどの製鋼ですが・・・村の鉄鋼石もお願いすることは叶いませんか?」
「ほほぅ?困ってるんですか?」
「はい・・・鉄鋼石は運ぶ手間を考えると街に売りに行くと赤字になるのです・・・エイト様に製鋼して頂ければ黒字の見込みが出て売りに行けるのですが・・・」
「そんなに多いのですか?」
「税を取らない訳にもいかず・・・倉庫が満杯で溢れておりまして。」
叡斗がメイサを見ると静かに頷くので
「では今日で出来る限りですがやりましょう!」
「ありがとうございます!今からでもよろしいですか!?」
「よろしいですが1つよろしくて?」
「なんでしょうか?」
「そんな状況でなぜ今まで製鋼用の炉を造らなかったのですか?」
メイサが突然村長に尋ねる
「炉を造った事もありましたが、大量の煙で魔物が寄ってきまして・・・」
「なるほど!ダーリンを楽するために利用してるわけではないのですね?」
「滅相も御座いません!」
「ではダーリン?参りましょうか!」
「ベアトリーチェさんいいですか?」
「いいですよ?我々も見学しても?」
「問題ないですよ?では行きましょう!」
「はい!こちらです!」
村長と一緒にギルドを出て、村の中心の体育館ほどの大きさの倉庫に案内される
「これは・・・」
村人が倉庫の扉を開けると鉄鋼石が外に転がって出てくる程に鉄鋼石が詰まっていた。
「出来る限りで結構ですので、どうか!」
「ではどんどんと外に運び出して貰えますか?」
「かしこまりました!みんなやるぞ?」
村人達が一斉に動き出し、鉄鋼石を叡斗の前に乱雑に積み重ねて行き、叡斗が魔力成型を行って抽出を開始する。
「ほい!こっちが鉄!この小さいのは銀!大きいのはただの石だから!」
「「「「はい!」」」」
村人が役割分担してそれぞれに運んでいく。
「はい!次!」
「こちらに!」
「はい!次!」
「おい!もっと早く運びださんか!」
「はい!次!」
「はい!次!」
流れ作業でひたすら円を描くように抽出をして行く叡斗
「はい!次!」
「エイト様終わりました!」
「お!?終わったの?よかったよかった!」
「本当にありがとうございました!」
「いいよいいよ!困ってる時は助け合わなくちゃね?」
「助けられてばかりでお礼が出来ておりませぬ・・・」
「気にしなくていいから!ねっメイサ?」
「そうですわ?昨日の朝に言った事を忘れなければよろしくてよ?」
「それはもう!村人一同感謝の祈りを忘れませぬ!」
「ならばよろしい!ダーリン?いい時間です宿に戻りましょう?」
「そうだな?昼飯も忘れてるし晩飯食べようぜ?」
「そうですわね!では我々は失礼致しますわ!」
まだまだ抽出後の鉱物の選り分けにてんやわんやしている村人とそれを手伝う冒険者を横目に宿へと戻る叡斗達。
「労働した後の風呂は格別だなぁ!」
「そうですわね!」
叡斗とメイサが風呂に浸かり溜息を吐く
「メイサ?なんでギルド出張所の時みんなあんなに驚いてたんだろ?」
「私にはわかりかねますわね。」
「オリハルコンってそんなに貴重なの?」
「貴重ですし、不変の金属なので鍛冶職人もいませんしね?」
「ザギオンってすごいおっちゃんだったんだな・・・」
「また作りたい物が出来たら行きましょうね?」
「そうだな!今は無いよね?」
「私とオリーブは無いと思いますわ。」
「なら結構な量使っても大丈夫?」
「何か企んでますの?」
「まだ必要なスキルが足りないけどいつか作りたい物があるんだ!」
「お披露目の日を楽しみにしてますわ?」
叡斗の言葉に楽しそうに答えるメイサ。
「じゃあ御飯にしよっか?」
「そうですわね!」
「俺はプリン作るよ!」
「是非お願い致します!」
叡斗とメイサが風呂から上がり、料理していたオリーブが入れ違いにお風呂に入り、叡斗とメイサが黙々と料理をする。
「いいお湯でした。」
「いいタイミングだ!丁度プリンが終わったところだ!」
と叡斗が風呂を片付けてオリーブが準備した椅子に座るとオリーブがすぐに配膳を始めて晩御飯が始まる。
「今日は刺身とお澄ましか!」
「次はゼーシュタットと考えていたら、新鮮なお魚を食べたくなりましたの!」
「でも刺身にしては時間がかかったな?」
「ダーリンに教えてもらった方法でメグミンの郷土料理をアレンジしましたわ!」
「おぉ!鯛の煮付けだ!」
醤油で味付けをしていて、転生前の記憶が蘇り、つい涙が出る叡斗
「ダーリンどうしました!?」
「御主人様美味しくなかったですか!?」
「いや・・・思わず地球を思い出してね・・・」
「それは褒め言葉でよろしくて?」
「地球と変わらない味で最高だよ!」
「奥様よかったですね?」
「そうですわね!」
メイサとオリーブも泣いて喜び、3人が泣きながら美味しそうに食べる異様な晩ご飯が終わり、宿に戻ると扉がノックされる。
「はい、どなたですか?」
「よかった!いたんですね?」
「え?あ?まぁ・・・?」
「ずっとノックしてるのに返事が無かったので・・・」
「ちょっと3人で・・・あの・・・」
「あぁ・・・それは邪魔をしましたね?終わりましたか?」
「そういう意味では・・・」
叡斗が転移の事をいう訳にいかずしどろもどろになっていると、よからぬ考えに行き着くベアトリーチェ。
「ベアトリーチェさん?我々魔導具を使って出かけてましたの!どうしました?」
「お出かけだったんですね?」
「あぁ!また驚かせたらいけないと思って言えなくてね・・・」
「もう驚き疲れました!」
「で?どうしました?」
「あの・・・これを・・・」
ベアトリーチェが一枚の紙を差し出してくる
「ん?特別・・・推薦状?」
「本部に出せばロキマの冒険者としてウラジールの冒険者と変わりなく対応されるようになるはずです。」
「そんな・・・いいんですよ?」
「せめてもの償いです!」
「そこまで後悔するんなら最初からしなかったらいいのに・・・」
「誰が初対面のあなた方がウラジール最強よりも強いなんて思いますか?」
「わかりませんが、あれが最強とは思いませんでしたね?」
「とにかく!これであなたの立場は一転すると思います!」
「で?狙いは何ですか?」
「償いと次への投資と言った所でしょうか?」
「オリハルコンはいらないんですか?」
「すみませんが、買い取れるだけの資金力がありません。」
「では自分の趣味に使いますかね?」
「趣味!?あれを売れば一生お金の心配はなくなりますよ?」
「今は神ヨハンの教えを広めるという使命がありますから。」
「変わった方ですね・・・」
「まぁ俺には俺の事情があるんですよ?」
「なんにせよその書状を有効に使って頂ければ幸いです!」
「わかりました!ありがとうございます!」
「いえ!それでは失礼致します。」
ベアトリーチェが自分の部屋へと戻って行き、一緒にオリーブも隣の部屋へ戻って行く。
「ダーリン?」
「どうした?」
「その推薦状どうされますの?」
「折角貰ったし有効活用しようかな?」
「これでも対応が悪かったらどうします?」
「何も考えてない!その時はその時かな?」
「そうですか・・・では!」
「いきなりすぎるよ!」
メイサが突然魔素を吸って来て、意識が離れて行く。




