表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/158

~71話~村への凱旋と地竜の間違った使い方

「私ヴェステンドルフの村長のガルドと申します。」

「やはり村長さんでしたか。」

「是非とも我が村の歓待を受けて頂きたいのです!」

「そんな!我々は何もしてませんが?」

「アースドラゴンがあのまま暴れておれば、村は壊滅でした!」

「夕飯は食べちゃったんで・・・」

「少しでも返させて頂けませぬか!?」

「かしこまりましたわ!では挨拶だけさせて頂けますかしら?」

「おぉ!?お願い致します!準備が出来たら使いを送りますので!」

メイサの言葉に喜ぶ長老が走って村の方向へと走って帰る


「メイサ?また洗脳するの?」

「ウラジールの手始めに・・・駄目ですか?」

「ウラジールでロキマの冒険者の信心するって大丈夫かな?」

「駄目だろうがやるだけですわ?」

「俺もガイアを手懐けちゃったし、何も言わないでおくよ。」

「ではお任せくださいますか?」

「全部任せた!」

「ではダーリンはお風呂に入り終わったら寝ていてよろしくてよ?」

「わかった!任せた!俺は何も見ない方がいいだろうし?」

「ダーリンの信徒が増えますわね!」

諦観の笑みを浮かべた叡斗が風呂を作り

「お風呂の準備が整いましたが?」

「ではすぐに入りましょう?」

「では教祖様こちらへ。」

叡斗とメイサが仲良くお風呂に入り、オリーブが食べきれなかった晩御飯を持ってオリーブとメイサが村へと向かって行く。



「ガイア?お前はどれくらい言葉がわかるんだ?」

叡斗が問いかけるとガイアが首を傾げる

「ガイアお手!」

叡斗が差し出した手にガイアが前足を振り下ろすし叡斗の手の上に爪が乗る

「俺じゃなかったら腕が取れるぞ?ガイアお座り!」

ガイアがその場で座る

「ガイア・・・3回、回ってお手!」

ガイアが3回、回って叡斗が差し出した手に前足を振り下ろす

「予想外に賢い!これなら・・・」

叡斗が1人ごちて、『創造魔法』を発動させる

「ガイアいいか?この首輪はいざという時に壊せば俺に救援信号が届くからいざという時は壊すんだぞ?」

叡斗がガイアに首輪をつけながら言うと、ガイアが頷く。

「じゃあお前にやって欲しい事を話すぞ?理解出来ないときはすぐに鳴くんだぞ?」

「キュイッ!」

「本当に賢いな!」

叡斗がガイアに魔の森でやって欲しい事を話すと

「キュキュイッ!」

「任せろって事か?頼んだぞ?じゃあおやすみな?」

「キュイィッ!」

返事をするガイアを撫で、村から歓声や雄叫びが聞こえるが、無視してテントに入り早めに就寝する。



「ダーリンでは行きましょうか?」

朝起きると開口一番にメイサが言ってくる

「おはようメイサ、どこに行くの?」

「村ですわ?ガイアと行きますわよ?」

「え?朝ご飯は?」

「ガイアと朝ご飯を食べに村に行くのですわ!」

「なんでそんなに急いでるの?」

妙にメイサが焦っている

「なんで、そんなに、急いで、るんだ?」

「いえ・・・その・・・」

「昨日の洗脳に何か問題が出たんだな?」

「ダーリンとガイアがいないと信じられないと暴動寸前までなりまして・・・」

「そっか!なら行くぞ!」

「え?怒らないのですか?」

「怒る所があったかな?」

「あれだけ自信満々に引き受けて失敗したのですよ?」

「失敗よりもどう取り戻すかが重要だろ?」

「ダーリン・・・」

「泣くなよ?行くぞ!」

「かしこまりましたわ!」

メイサが涙を拭って答え、テントの外には暗い顔をしたオリーブが立っていたので

「オリーブもさっさと行くぞ?ガイア?建物壊さないようにね?」

叡斗が言うとガイアが全てを汲み取り背中に乗れと言わんばかりに叡斗に背中を向ける


「本当にお前は賢いな?」

「キュイッ!キュイ!」

嬉しそうなガイアの首にまたがってメイサとオリーブが先導して村へと入って行く叡斗

「皆さん!ロキマの英雄の凱旋です!」

通りの両脇から村人が固唾を呑んでガイアを見つめる中、メイサの掛け声と共に興奮した村人が両脇から歓声をあげ、悠然と進むガイアに乗ってるだけでいっぱいいっぱいの叡斗だった。


「ガイアこっちですわ!」

メイサに案内されるままにガイアが進んで行くと、村の中心の広場へ着き、村長が挨拶をしてくる。

「エイト様この度は本当にありがとうございました!」

「そんな・・・やれる事をやっただけです!」

「メイサ様の言う通りの方のようですな!」

「言う通りとは?」

「偉大だが奥ゆかしい方だと。」

「ハハハ!奥ゆかしいだなんてとんでも無い!」

「皆の者!この方こそ世界を救う勇者様じゃ!」

「世界を救う?嘘だろ・・・」

村長が高らかに宣言し、叡斗の言葉を掻き消し村人から歓声が上がる。


「メイサどういう事?」

「見たとおりですわ。」

「御主人様は救世主ですから。」

3人が耳に手を当てながら話し、叡斗が手を挙げて村人の歓声を鎮める

「すまない!ガイア・・・アースドラゴンが嫌がってるので大きな音は控えて欲しい!」

「おぉ・・・暴れてないぞ!」

「アースドラゴンを従える勇者様だ!」

「なんて勇ましいお方なの!」

村の人々が口々に言い、また歓声が上がりガイアが嫌そうに顔を顰める。


「村長?ガイアが辛そうだから村から出ても?」

「大変申し訳ありません!これ!静まれ!静まれぃっ!」

村長が両手を挙げて村人を制して言葉を続ける

「アースドラゴン、ガイアの気分を損ねておる!静かに朝食を摂り勇者様をお見送りしようぞ!」

「おぉー!!」村人が歓声を上げて各々が朝食のために動き出しすぐに広場でビュッフェ形式の朝食が始まる。


「ほらガイアよく我慢したな!えらいぞ?」

叡斗がガイアに皿に盛った肉を上げながら頭を撫でていると村人が近づいて来て

「あの・・・俺達も触っても問題ないですか?」

「ガイアいいか?」

「キュイ!」

叡斗が聞くと、ガイアが嬉しそうに答える

「いいみたいだ!だけど大きな音は立てないようにな?」

「やったー!」

「わーい!」

子供達がガイアに乗ったりして遊び、大人は恐る恐る触るがガイアは気にせず肉を食べているので大丈夫そうだ。


「ダーリン?失敗を取り戻せましたわ!」

「御主人様の登場でいちころで御座います。」

「メイサとオリーブの喜ぶ顔が見れてよかったよ!」

「はい!ダーリン食べて無いでしょう?」

「御主人様飲み物です。」

喜ぶメイサとオリーブが朝食を運んできてくれる

「お前達も食べて無いだろ?食べてきな?」

「かしこまりました!」

「心遣い痛み入ります。」

メイサとオリーブが人ごみへと消えて行く。


「エイト様が現れなければ村は滅んでおりました!」

「村長・・・頭を上げてください!」

「アースドラゴンとあのように触れ合える日が来るとは・・・」

「あの子は頭がいいですからね。」

「アースドラゴンはこれから連れて歩きますんで?」

「行ってから決めるが魔の森から出てくる魔物を退治して貰おうと思ってる。」

「と言う事は・・・魔物の心配が無くなるという訳ですな!?」

「そうなればいいと思ってますがねぇ・・・」

「そうとなればこの村も平和に栄えるやもしれませぬな!」

「なぜこのような危険な場所に村が?」

「すぐ近くに鉱山ダンジョンがありましてな?その中継地点なのですよ?」

「へぇ?どんな鉱物が?」

「手前は少しばかりの銅や鉄が、奥へ行けば金や銀にミスリルが報告されることもあります。」

「そんなに広いんですか?」

「広い上にどれだけ掘っても、月が変わる辺りに土が戻り道が変わりますでな?どれだけの広さか把握出来ておりません。」

「面白そうですね!」

「噂では最奥にはボスが守るオリハルコン鉱脈があるとか!」

「魔の森の前に遊びに行ってみようかな・・・」

「鉱山夫達は命がけですよ?まぁエイト様なら遊びかもしれませんな!カッカッカッ!」

「では本当に手厚い歓待をありがとうございました!」

「これはこれは!貴重なお時間を割いてしまいましたな!」

長老が丁寧にお辞儀をして離れて行く



朝食が終わりメイサの宗教的な演説を聞き、熱心に手を合わせて祈りを捧げる村人を見てうんざりしながら叡斗がオリーブと話す。

「なぁ?この辺りに鉱山ダンジョンがあるって聞いたけど?」

「「ロックタートル鉱山」ですね?」

「亀の鉱山なんだ?」

「私は名称しか・・・」

「どれくらいなんだ?」

「歩いて1時間程だったかと!」

「メイサがいいって言ったら行ってもいいかな?」

「ダーリン?なぜ私が反対すると?」

演説を終えたメイサがいつの間にか隣にいた

「遊びだし・・・」

「全く問題御座いません!」

「ではそう致しましょう。」

「じゃあ採掘道具を買って行こうか?」

「かしこまりました!」

「村人が仕事を始めるみたいですのですぐに行きましょう。」

オリーブに先導されて村を巡るが、さすがは鉱山夫のための村だ、鉱山の街カスミンと見劣りしない品揃えで支度はすぐに済んだ。



「で?ダーリンガイアも連れて行きますの?」

「この状況でそれ聞く?」

叡斗達はガイアの背に乗り、ガイアは嬉しそうにオリーブの指示で「ロックタートル鉱山」に向かって走っている。

「まぁダーリンが決めたのであれば異論は御座いませんわ。」

「ダンジョン入ってみて駄目そうなら表で待ってて貰うよ?」

「御主人様着きました。」

山の中にぽっかりと坑道の入口が現れた。

「早っ!」

「ガイアが張り切ったようです。」

「にしても人がいないな・・・」

「月が変わる辺りなので掘りつくされているのと、昨日のガイアの騒ぎのせいかと。」

「なるほど!じゃあ根こそぎ採っても文句言われないな!行こう!」

「「はい!」」「キュイ!」

3人と1頭が気合を入れて、山に空いた坑道へと入って行く。



「ガイアありがとうな?」

「キュイッ!」

ガイアが地中に潜り鉱石を咥えて来る。

「さすが地竜ですわね・・・」

「用意した採掘道具が無駄になりましたね。」

「そうだな・・・ガイア?ここら辺はいいから奥行こうか?」

「キュイ!」

数十キロの鉄鉱石の固まりを咥えて土壁から出てきたガイアが迷う素振り無く坑道をズシンズシンと音を立てて進んで行き、ガイアの後を追う3人。


「ガイアどこへ行きますの!?」

ガイアが突然土壁に潜って行く

「感知では中々遠くに行ってるな?」

「大丈夫かしら?」

「戻ってきたぞ?」

「キュイッ!」

ガイアが金鉱石を口いっぱいに頬張って壁から出て来る。

「ガイア探すの上手いな!」

「おそらく『土魔法』で探索してるのでしょうね。」

「『土魔法』ってそんな事が出来るんだ?」

「ダーリンはどうやって鉱石を探そうとしてたのですか?」

「え?最奥に行って手当たり次第に掘る?」

「無謀ですわ・・・」

3人でガイアを走って追いながら、メイサが頭を押さえて嘆く。



「にしても魔物がいないな?」

「私の感知範囲ギリギリに反応しますが、ガイアの気配に気付いて奥に逃げてますわ。」

「ガイアはその反応を追ってるのかな?」

「どうでしょうね?鉱石の反応を追ってる可能性もありますわ?」

「着いていくしかないな!」

「そうですわね!」


ガイアはばてた3人を乗せて、数時間休むことなく走り続け、大きな門の前に辿り着いた。

「最奥か?」

「そのようですわ!門の奥には夥しい数の反応がありますわね。」

「やっと出番ですね。」

「オリーブ待て!腹が減った!」

「かしこまりました、では準備を始めます。」

「今日はマヨを使ってサンドイッチを作りましょう。」

「ならゆで卵を潰してマヨと混ぜて欲しい!」

「むっ!それは美味しそうですわね・・・」

「奥様すぐに取り掛かりましょう。」

門の前でメイサとオリーブが料理を始め、叡斗がガイアを撫でて料理の完成を待つ。



「オリーブの食べる量が減ったので料理が早いですわね。」

「そうですね。」

食べる量が少なくなったオリーブが物足りなさそうな顔で答える。

「オリーブ?物足りないなら腕輪外していいぞ?」

「いえ・・・昔よりも食べてますので。」

「ならいいが外したかったら外していいからな?」

「かしこまりました。」

「では門を開けますわよ?」

「魔物の反応でいっぱいだな。」

感知反応では門の奥にはガイアから逃げた魔物でいっぱいになっている。

「ガイアも大丈夫か?」

「キュッイィィィィィ」

満腹で上機嫌のガイアが勘違いして門に突進して中へと入って行く。


「・・・行けとは言ってないんだがな・・・」

「ダーリン行きましょうか。」

「私の活躍の場が・・・」

ガイアが逃げ惑う魔物達を文字通りに蹴散らして光の粒子に変えて行く。

「無くなったとは限らん行くぞ!」

「「はい!」」

3人で部屋に入ると地響きが起きて、動きが止まった魔物をガイアが口を開いて突進して雑に食い荒らし、尻尾スパイクでなぎ払い正に無双している。


「全滅ですわね。」

「一応奥の魔物はBランクって聞いてたのですが。」

「アースドラゴンって強いんだな・・・」

「気持ちを切り替えて採掘ですわ!」

「どこを掘りますか?」

「よし、待ってろ『土魔法』で探す!」

叡斗が『土魔法』で鉱石を探すが何も見当たらない。


「メイサ、鉱石がないよ?俺のやり方間違ってる?」

「大丈夫です!私も見つけられていません!」

「御主人様ガイアの姿が見えません。」

「キュイッ!」

ガイアが出てきて、咥えていた2mはあろうかと言う岩山のように尖った甲羅を叡斗達の前に置く

「ガイア?何を持ってきたんだ?」

「ロックタートルの甲羅ですわね。」

「ガオオオオオオオ」

ガイアが甲羅に向かって、普段の甲高い声からは想像も出来ない程の重低音で吼えると甲羅が震え

「わかった!わかりましたよ!」

「甲羅が喋った!?」

「なんで地竜がダンジョンに入ってくるんだよ!」

「俺達の従魔だからかな?」

「地竜を従魔・・・俺殺される?」

「殺されたくなかったら、とりあえず顔出そっか?」

「わかりました!すぐ出します!」

甲羅からにゅっと亀の頭が生える

「ごめんね?俺達遊びに来ただけなんだけどガイアが張り切っちゃって。」

「じゃあ見逃してくれます?」

「最奥に貴重な鉱石があるって聞いたけど?」

「どうぞ持って行ってください!」

亀がそう言い、大きな箱がポンッと出て来るので、メイサが箱を開ける

「これは・・・オリハルコンですの?」

「どうぞ持って行って下さい!」

「ダーリン?これだけの量のオリハルコン・・・」

「あぁ・・・10キロくらいあるな?」

叡斗が持ち上げて言う

「これ以上は無理ですけど、10キロくらいはあるはずですどうぞ帰って!」

「わかった!恐がらせて申し訳なかった!」

「問題ないっす!もう来ないで下さいお願いします!」

「しばらくはこないよ!ありがとうな?」

「ずっと来ないで下さい!帰って下さいこの野郎。」

「ダーリンになんて口のきき方でしょうか?」

「御主人様、断罪はお任せください。」

「ゴォア!」

「ひえぇぇぇぇ!」

甲羅がガタガタと震えている

「問題ないだろう?魔の森に行くぞ!」

叡斗が憤慨する2人と1頭に声をかけて、入口へと転移する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ