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~68話~プリンと敗走者の言い分

3姉妹はメイサとオリーブのサーペントの味噌漬けに舌鼓を打ち、食後のアイスに歓喜して風呂は満喫してテントに入って行き、叡斗達もテントに入って3人が思い思いのことをして寛いでいた。

「ダーリン?」

「どうした?」

「そういえば今日の魔玉はどの魔物の魔玉ですの?」

「ウォータードラゴンの魔玉だよ?」

「水属性の魔物ですか・・・」

「やっぱり風属性の魔物の魔玉の方がいいの?」

「相性がありますからね。」

「じゃあ次は風属性の魔物の魔玉を手に入れたら作り直しだな。」

「おそらく今の杖よりもいい物が出来ますので気にしなくていいですわよ?」

「本当に気にしなくていい事ならわざわざ聞いて来ないだろ?」

「それはそうなのですが・・・」

「使いにくかったらすぐに言ってね?」

「かしこまりました。」

叡斗が木の棒に『創造魔法』で風属性を付与したりして杖作りをし、メイサは靴を作り、オリーブは静かに『魔力操作』の練習で瞑想をし、夜が更けていく。




「おはよう、メイサ。」

目が覚め目の前にいるメイサに声をかける

「おはようございます、ダーリン。」

「動けないんだけどどうしようか?」

オリーブが背中から叡斗を抱き枕の様にして、抱き付いて寝ている。

「オリーブ幸せそうな顔ですこと・・・私は出発の準備を致しますので、しばらくそのままでいてやって下さいな?」

「メイサが言うならいいけど・・・」

「では私は先に朝御飯と出発の準備を致します。」

「お願いします!」



「あれ?御主人様?私はこのまま襲われるのでしょうか?」

メイサがテントから出て行き、しばらくするとオリーブが起きた。

「背中から抱き疲れて襲う方法が思いつかないな。」

「簡単です。そのまま私のほうへ体を向けるだけです。」

「はぁ・・・寝惚けてる訳じゃなさそうだな。」

「初めてが寝起きの朝一から・・・どうぞ準備万端です。」

「胸を押し付けるな!息を吹きかけるな!ウェステンデに着いてもショー見れなくなるぞ!?」

「ずるいです・・・」

オリーブが渋々といった様子で離れて、メイド服に着替え始める


「オリーブ?お前は綺麗だ、俺よりも相応しい人を探しなさい!」

「ですからそれが御主人様だと言ってますが?」

「朝一から濃いぃわっ!」

「では奥様のお手伝いに行って参ります。」

オリーブがお辞儀をしてテントから出て行く。

「俺も頑張ってるみんなにサービスしようかな!」

叡斗が1人ごちて、テントから出て、みんなから見えない所で料理をする。



「ダーリン?準備が出来ましたわよ?」

「あぁわかった!」

メイサの足音が聞こえたので急いで料理道具を空納した叡斗が慌てて答える

「何をしてましたの?」

「昼にお披露目するよ。」

「気になりますが、何も聞かないでおきますわ。」

どうやらこの世界には蒸す、という調理方法が無いようなので、蒸さなきゃならない料理は無いだろうから、今からみんなの驚く顔が楽しみな叡斗が席に着き、ニヤニヤと朝食を食べる。



朝食を食べ、出発した車の中で叡斗が汗だくで杖を握り締めている。

「よし道が繋がった!」

「これが・・・新しい杖・・・」

メイサが嬉しそうに杖を手に持ち色々な方向から見る

「昼休憩の時にでも試してみてよ?」

「勿論ですわ!でももうすでに手に馴染むのがわかりますわね。」

「なら作った甲斐があるってもんだな!」

「もうすぐ昼でしょうからすぐに試しますわ?」

「もうか?」

「魔玉と杖の魔素の道を作るのに3時間かかりましたわよ?」

「そんなにしてたのか。」

「ほら?車が止まりましたわよ?」

「お昼御飯に致しましょう・・・御主人様だけですか?」

「メイサなら車が止まると同時に飛び出して行ったよ?」

叡斗がオリーブに言うと、少し離れた所で何かが倒れる音がする。


「魔物か!?」

「奥様がいらっしゃいますね。」

メイサがこちらへ走ってきて

「ダーリンこの杖すごいですわ!」

「今の音はメイサか?」

「木を斬ったのですが、今までの半分の魔素で倍の長さまで伸ばせますわ!」

「それはよかった!」

「では昼食に致しましょう!」

「かしこまりました。」

興奮冷めやらぬメイサがそのままのテンションでオリーブと昼食を作り始める。



「エイト様?今の音は何でしょうか?」

「リーテか、メイサが木を斬っただけだから問題ないよ?」

「木を斬っただけって・・・あの木ですか?」

リーテの指の先には直径2mを越す大木が切り株を残して倒れている。

「新しい杖をプレゼントしたらテンションが上がっちゃってな・・・」

「記録係の仕事が出来ないのですがどうしましょう?」

「異常無し、と書いておけばいいと思うぞ?」

「異常有り、なんですが・・・」

「昼飯の後に新しいデザートがあるんだけど?」

「異常無し・・・っと!」

リーテが記録用の紙にペンを走らせる。

「いい子だ!ゆっくり休んどけ?夜までにウェステンデだぞ?」

「この夢の食生活が終わっちゃうんですね・・・」

「嬉しい言葉だな!ハハハ」

叡斗が笑いながら席に着いて、メイサとオリーブを眺める。

昨日サーペントのガラから肉を削ぎ落として味噌漬けにしていた時点で予想はしていたが、3姉妹との最後の食事はラーメンのようだ。



「美味そうな匂いだぁ!!!」

ボロボロの服を着た2人組の男が近づいてくる

「おい!それ以上近づくなら戦闘行為とみなすぞ?」

叡斗が腰の刀に手をかけて、油断無く言う。

「ロキマのエイトさんじゃないですか!?」

「誰だ?」

「エイト様?ハヤテ様達の記録係だった冒険者です。」

リーテが教えてくれる。


「なんだと!?なんでこんな所に2人だけでいるんだ?」

「ハヤテ様達はウェステンデに先に帰りました。」

足を引き摺る冒険者が言う

「早い話しが足手纏いをほおってオーガから逃げたんだな?」

「そうとも取れますよね・・・」

「違う!ハヤテ様は急いで救援を要請しに行ったんだ!」

足を引き摺る冒険者がもう片方の冒険者の肩を揺らして叫ぶ


「食料も渡さずに先に帰られたのにおめでたいな。」

「エイト様の言う通りですね・・・」

叡斗と3姉妹が呆れる


「とりあえずロックオーガは討伐したから席に座って落ち着け!」

「え?討伐したって?」

「嘘だ!ハヤテ様で歯が立たなかったんだぞ!?」

「あそこの馬車に素材が乗ってるが?」

元ハヤテの馬車を指差す叡斗

「あれはハヤテ様の馬車!」

「今はもう違う!捨てられていた馬車を拾ったんだ。」

「詭弁だ!」

「お前は・・・捨てられたのに殊勝な奴だな・・・」

叡斗がそう言って足にエクストラヒールをかける


「痛みがなくなった・・・?」

「治したぞ?ついでに飯食べてけ!」

「エイト様?記録されたら危ないのでは?」

「確かにそうだな?あいつらの記録を確認してもらえるか?」

「かしこまりました。」

リーテが馬車へと向かう冒険者から記録紙を奪い取り確認する。


「エイト様・・・」

「どうした?」

「記録にエイト様が先走って、作戦が失敗して負傷者が出て撤退と書いてます。」

「へぇ~?公平な記録係ねぇ?」

叡斗が馬車の中を確認する冒険者2人を半目で睨む

「あたし達が説得してきます!」

「お願いできるか?」

「任せて下さい!」

リーテが言い、3姉妹が馬車へと乗り込んで行く。



「食事の準備が出来ましたが・・・どうなさいましたの?」

メイサが怪訝そうに横に縦にと揺れる馬車を見る

「ハヤテの記録係が滅茶苦茶な記録をしててね?それを説得してる。」

「滅茶苦茶?」

「俺達が先走って作戦が失敗して負傷者が出たから撤退だって。」

「ほほぅ・・・小僧本気で教育が必要なようですわね。」

メイサが青筋を立てて言い、後ろに立つオリーブから半端無い殺気が発せられる。

「まぁ昼食の準備しようぜ?」

「そ、そうですわね。」

「奥様、私が配膳いたします・・・あ。」

プルプルと震えるオリーブが配膳しようと皿を持つと指が皿を貫通している。

「やだっ!超恐い!」

2人の殺気に当てられ、叡斗が恐れおののく。



「エイト様説得完了したしました!」

3姉妹が笑顔で帰ってくるが、後ろに会った時よりボロボロになった冒険者が体を引き摺って歩いている。

「どうもぉ・・・ガンツと言いまふ。」

「ぼふはハリーでふ。」

口から血を流しながら言うボロボロの2人が居たたまれなくて、ゴッドブレスをかけてやる。


「エイト様・・・また記録が出来ない事を・・・」

「歯が生えた!?」

「むしられた髪の毛も生えてる!?」

「どんな説得したんだよ・・・」

「我々武闘派の3姉妹ですので!」

リーナが言い3姉妹が胸を張る

「では御飯が出来ましたので食べましょうか?」

メイサの声にガンツとハリー以外の人間が即座に席に着き昼食が始まる。


「あなた方はそこの土の椅子を作りましたのでそこでお食べなさい!」

「「はい」」

「どうぞ。」

オリーブがラーメンを2人の前に置く。

「これは・・・?」

「ラーメンっていう料理だ!とりあえず食べてみ?」

2人が恐る恐るラーメンを一口食べると、そのまま器に顔を突っ込む勢いで食べ始める


「あと今日は餃子を作りましたわよ?」

「ミートミンサーが役に立ってよかったよ!」

「今までミンチと言えば包丁で叩いてましたの、すごい道具ですわね。」

「地球のおぼろげな知識で作ったけど上手くいってよかったよ!」

「本当に便利な世界でしたのね?」

「そうだよ?食後にはアイスの代わりにいい物用意したからね?」

「楽しみですわね!」

メイサが食事を早く終えようと急いで御飯を食べ始める



「さぁ!御飯が終わりましたわよ!?」

「エイト様異常無しの御褒美を!」

「私は何も聞いてませんが美味しい物があるのですね?」

鬼気迫った女性陣に詰め寄られる叡斗

「待って待って!」

叡斗が焦りながらマジックバッグから冷蔵庫を取り出し黄色い物が入った器を取り出す。


「それがデザートですの?」

「んむプリンだ!砂糖が無いからカラメルが無いのが惜しいがな・・・」

叡斗がそう言いながら全員の前にジョッキプリンを置く

「俺達もいいんですか?」

「ついでだ!」

「御主人様・・・私への愛を感じます。」

オリーブのプリンだけ特別サイズのバケツプリンだ。

「食べてみてよ?」

叡斗が言うと女性陣が一斉にスプーンで掬い食べて恍惚の表情をする。


「満足してもらえたみたいでよかったよ!」

「ダーリンお替りは・・・」

「ガンツとハリーの分は無いがみんなの分は1個づつあるぞ?」

「愛してますわ!」

メイサが叡斗に抱き付きキスをする

「気に入ってくれたようでよかったよ!」

「ダーリンは食べませんの?」

「俺の分は・・・ガンツとハリーに上げちゃったから・・・」

「なんですって!??」

メイサが鬼の形相で2人を睨みつけ

「心して味わいなさいね?」

「「はい・・・」」

「俺が決めた事だ!メイサはつべこべ言わずに食べなさい!」

「わかりましたわ・・・」

2人が萎縮して答えるので、居た堪れない叡斗がメイサを怒り、メイサがシュンとなる。


「リーテ?そういえばガンツ達の記録はどうなるんだ?」

「どうなるも、真実を書くだけです。」

「真実とは?」

「ハヤテ達が先走った上に、我々を囮にオーガから敗走し、怪我をした冒険者を捨てて先に逃げたと。」

「真実を書きます!」

「ガンツいいのか?」

「暖かい歓待を受けて心が変わりました!」

「それはよかった。」

ガンツとハリーが3姉妹の顔色を伺いながら答える

「それはよかった!」 

「ではそろそろ小僧を教育しに戻りましょうか?」

「そうですね、急ぎましょう。」

「馬車は素材でいっぱいだから、ガンツとハリーは俺達の車に乗れ行くぞ!」

叡斗の号令でみんなが一斉に動き出し、出発する。




「御主人様、ウェステンデの街が見えました。」

日が暮れ始めた頃にウェステンデが見えたオリーブが教えてくれる

「まずはギルドにそのまま向かいましょうね?ダーリン?」

「そうですね、小僧がいればよし。いなければ正しい報告をしましょう。」

メイサとオリーブが笑って言うが、目がすわっている。

「あの・・・殺さないようにね?」

「もちろんですわ!ダーリンも治癒はしないで下さいね?」

「ちゃんと虫の息で済ませます。」

「わかりました・・・でも殺さないようにね?」

「殺すって・・・ハヤテ様ですよ?」

「さすがに【音速】ですよ?」

「そうです!音速で動く彼に勝てるわけが・・・」

ガンツとハリーが驚き警告してくるがメイサは一切動じることなく

「あの小僧の動きは把握しましたので問題ありませんわ。」

「だってさ?」

「あのロックオーガを討伐したので強いのはわかりますが・・・」

「音速の動きを把握だって?」

「私とダーリンの方が早いですしね?」

「そうだな。」

「ロキマのSランクはそんなにすごいのか・・・」

「ギルドの前に到着しました。」

「ありがとうオリーブ!じゃあ行こうか?」

「さぁオリーブ行きますわよ!」

メイサが車から飛び降りてオリーブと共にズンズンとギルドに入って行く。


「あいつら大分溜まってたんだな・・・行こっか?」

「「はい」」

ガンツとハリーを連れて車を降りると3姉妹が待っていたので6人でギルドへ入って行くと、すごい音がギルドに響き渡る。

「何があった!?」

叡斗が周りを見渡すと

「エイト様!あちらに!」

リーテに言われて受付を見るとメイサがカウンターを破壊して周りからの注目を集めていた。


「メイサどうしたの?」

「この職員が仕事をされないので、イラッとしてカウンターを叩いたら壊れましたわ。」

「壊したんだよね・・・」

最初にウェステンデのギルドに来た時に雑に案内をした受付嬢がカウンターの奥で腰を抜かしていた。

「ギルマスの場所を伺ったら、鼻で笑って「知らん」と言いましたのよ?」

「そりゃ酷いな。」

「建物にもガタがきているようですし、職員もガタが出てますのかしら?」

「そうですね。柱もこんなに脆いです。」

オリーブが20cmの柱をおもむろに握りつぶす。

「やめなさい!ベアトリーチェさんは上ですか?」

叡斗が慌てて止めて、魔力成型でカウンターと柱を直して、腰を抜かしている受付嬢に尋ねると、何度も首を縦に振る

「じゃあみんな上に行くぞ?」

「最初から答えればよろしいのに・・・御馬鹿な子・・・」

「奥様ウラジール人は頭がよろしくない人が多いみたいですね。」

2人の言葉に何人かの冒険者が立ち上がろうとするが、叡斗が『威圧』スキルを使って一睨みして制して、階段を上がって行く。


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