~60話~VIP席とレベッカの街
「大成功だべ!」
青太が興奮しながら諸手を挙げて喜ぶ
「そうだな!メイサもサーペントの芸に驚いてたぞ?」
「で・・・ショーはどうすべや?」
「そうだな・・・あんまりやりすぎてもサーペントが疲れるだろう?」
「魔素の供給さえしてやれば問題ないべさ!」
「なら30分くらいのショーだったし2時間おきか?それなら青太もダンジョン管理できるだろう?」
「問題ないべ!」
「なら開館時間は9時~19時くらいにして10時から2時間ごとにするか?」
「半日も開けなくて、人がくるだか?」
「混雑すればそれだけ長くいてもらえるだろう?」
「成程!確かにそうだべ!」
「で、思ったよりも魔素が手に入るなら、閉館してからゆっくりとショーの席を増やすとか魚を増やせばいい!」
「さすがエイトさんだべ!」
「あと館内に時間が分かるように出来るか?」
「時計だべ?言われると思ってメイサさんに借りて、作れるように特訓しただよ!」
「特訓して作れる物なのか・・・」
「どんな物かわかれば、あとは慣れだべ!」
「なら浜に立て看板作っとくからお前は時計の設置とショーの時間とかをマップに書き込んでおいてくれ!」
「了解だべ!」
「あとサーペントのショーな?俺達が転移してもばれない部屋とか造ってくれないか?」
「造っとくべ!また明日来てくんろ!」
二つ返事で青太が了承してくれてよかったと叡斗が喜ぶ
「ありがとな!」
「じゃあ明日待ってるべさ!」
叡斗は浜に戻り入口の水中トンネルの前にヨハンランドと営業時間を書いたアーチ看板を作り、立てかける。
「よし!」
「ダーリン御飯が出来ましたわよ?」
「あぁ!行くよ!」
「まぁ!素敵な看板ですこと!」
「これはアユミンの人間に管理して貰わないとな・・・」
「ダーリンが言えば喜んでしてくれますわ!」
「俺は狂信者を作ってくれとは言って無いんだがな・・・」
「御食事はいらないのかしら?」
「なんかかわし方がどんどん上手くなっていくな・・・食べます!」
メイサに流されるまま、席に着くとオリーブが配膳をしてくれる0
「サーペントのシチューですわよ!」
「美味そうだ!」
「さぁ!召し上がれ?」
「頂きます!」
サーペントのシチューに舌鼓を打ち食後に話をする
「なぁ?一段落したけどレベッカまでどれくらいかかるんだ?」
「半日ほどで着くはずです。」
「じゃあ明日昼からレベッカに出発でもいいか?」
「私は問題ありませんわよ?」
「私も最後にショーを見られれば問題ありません。」
「ショーはいつでも見られるようにしてくれるはずだから心配するな!」
「御主人様ありがとうございます。」
「オリーブが頼み事してくるのは珍しいからな!」
「私もうご主人様の愛でビショビショです。」
「オリーブ!?それはどういう意味ですの!?」
「御主人様に対して興奮していると言う事です。」
「オリーブ?メイサに変な事を教えるんならショーは自分で行くしか手はないぞ?」
「・・・かしこまりました。」
「メイサ風呂入ろっか?」
「そうですわね、今日も潮風でベタベタですわ!」
風呂に入り、テントで「3日振りですわ!」と興奮するメイサに魔素を吸われて一日が終わる。
翌日目を覚まし、すぐに3人で水族館へと向かうと、水中トンネルの前に人だかりが出来ていた。
「なんだ?この集まりは?」
「おぉ!エイト様!皆昨日のショーを見たくてですな・・・」
「確かにこれから人が増えたら見れなくなるかもな?」
「ですので、来てみたら村人全員考えることは一緒のようですな!」
みんなが顔を見合わせて笑いあう。
「だけど宿とか早く整備してよ?」
「勿論ですじゃ!」
「よし!開館時間だ!」
トンネルの内側に取り付けられた時計が9時を指すと、水中トンネルに張られていた結界が無くなり中に入れるようになる。
「ショーだぁぁぁぁ!」「行くぞぉ!」
村人達がわれ先にと向かって行く。
「御主人様!我々も!」
「一回目のショーは10時だから急いでもしょうがないよ?」
「そうですか・・・」
「俺達は裏に転移しような?」
「はい!」
「こんなに感情を出すオリーブは見た事ないですわね・・・」
「娯楽の少ない世界だもんな。転移するぞ!」
「「はい!」」
2人が叡斗に捕まり転移する
ヨハンランドのマスタールームに転移すると、青太が不安そうにうろうろと歩き回っていた
「青太?」
「あ!どうも御三方!」
「うまくいってる?」
「はい!時計も設置したべ!」
「俺達のVIP席は?」
「来てくんろ?」
青太に先導されてマスタールームから出るとショーのお立ち台に出る
「ここからの眺めはこうなってるのか・・・」
「昨日はみんなに見られて気持ちよかったべさ!でも今緊張してるべ・・・」
「昨日と同じにやれば問題ないさ!あれが俺達のVIP席か?」
お立ち台の正面、席の下の水面との境目にぽっかりと空間が浮いている
青太の案内で部屋に移動すると前方には水面が広がりしゃがめば水中が観察出来る様になっている
「これなら激しく泳ぐサーペントも見られそうだべ?」
「いいアイデアだな!この部屋を俺達だけか・・・他にも3部屋くらい造って抽選とかしたら大人気だな!」
「そういう難しい事は出来ねぇっぺよ・・・」
「それも、そうだな!シンプルなのが一番だ!」
「是非ちょいちょい見に来て欲しいべ!」
「おう!がんばれよ!?」
「芸も増やしていくべや!」
ガッツポーズをして部屋から出て行く青太
しばらくメイサと話をしているとショーが始まる。
その間オリーブは子供のように魔壁に張り付いて今か今かとソワソワと待っていた。
「御主人様!奥様!始まりました!」
「そうだな!」
「はぁ・・・凄かったですね?」
「オリーブの表情って豊かでしたのね・・・」
オリーブが恍惚の表情で惚けている。
「よし!テントに戻って準備をするぞ?」
「そうですわね。」
「・・・はい」
オリーブが後ろ髪を引かれながらも渋々抱きついて転移する。
「オリーブ?誰にも見られないからいつでも行けるから出発しよう?な?」
「はい!約束ですよ?」
「約束だ!なんなら明日も行こうな?」
「はい!では車の準備をして参ります!」
笑顔のオリーブが嬉しそうに走って村へ向かって行く。
「よっぽどオリーブ気にいったのですね?」
「みたいだな?あんなダンジョン増やしてみるか?」
「ああいう方法で人を集めて魔素を取る手段もありますのね。」
「人の欲望は尽きないからな!」
「ダーリンの深慮遠謀には感服するばかりですわ。」
「行き当たりばったりなんですけど?」
「そんな事ございませんわ!」
「メイサフィルターが分厚すぎて何も言えない。」
「では昼食を食べて出発致しましょう!」
メイサが手早く御飯を作り出す。
「もう食材が少ないですわね・・・」
「村に何回も振舞ったもんな・・・むしろそれでも尽きない量を入れてたってのもすごいけどな。」
「高級品が多いとはいえ今までの街の食材を合わせると金貨100枚は下りませんからね。」
「そんなに高級品が多かったの?」
「肉や魚はかなり高級な物が多かったですわ。」
「そりゃ村人が大喜びする訳だ。」
「さぁ!魚の塩焼きが出来ましたわよ?オリーブも食べなさい?」
オリーブはいつも通り無表情でお茶を注いでくれていた。
「いつのまに!?」
「先ほど車の準備を終えて帰って参りました。」
「お疲れ様!では頂きます!」
オリーブは大量の焼き魚とスープとパン、俺とメイサは焼き魚と味噌汁と米を食べる。
「よし出発するか?」
「問題無いですわ!」
「では出発いたします。」
片付けを終え、オリーブの操縦で外套と着たラプターが車を引く。
「っち!今度は何ですの?」
メイサが車の後方を見て舌打ちする
「ジャンさん達か・・・」
ドーラが必死な顔で御者をする馬車が後を追ってくる。
「ドーラどうした!?」
「ジャンさんがまだ金の匂いがすると!」
「さすがにもう金の匂いはせんだろ!」
「では・・・偶然行き先が一緒です!」
「ならゆっくり来い!護衛のやつらが死にそうな顔してるぞ!?」
「・・・お前ら根性だしな!行くよ!」
ドーラが後ろに振り向いて檄を飛ばす
「鬼だ・・・赤鬼がいる・・・」
「あいつらたるんで丁度いいです!」
「もう勝手にしろ!」
「あの方々は・・・」
「まぁ確かにサーペントなんかはジャンさんの勘のおかげで儲けたしな?」
「それはそうですが・・・」
「今回もひょんな事で儲けられるかもしれないぞ?」
「夕方にはレベッカですわ!もう御好きになさい!」
「明日はギレンに会いに行かないとな?」
「そうですわね、その後に色々と買出しをしたいですわ。」
「サーペントの解体も2頭くらいやっとくか?」
「そうですわね!レベッカからの食卓は贅沢になりますわね?」
「そうだな?2頭で金貨100枚分の肉だからな!」
「楽しみですわ。」
メタスラの皮膜も大分スムーズに形を帰れるようになった。
「メイサどうだ?」
「話しながらで上手くなりましたが、顔は合格ですが私はお腹そんなに出ていません。」
「ほんの1cmとかだろ?許容範囲だよ!」
「ほら!今度は脚がおろそかになってますわよ?」
「んがー!」
「子供では無いのですから癇癪を起こさないで下さいまし!」
『魔力操作』のメタスラの皮膜の特訓は終わりそうにない。
「御主人様宿に着きました。」
「あえ!?門通ったの?」
「はい。」
「私のギルドカードを見せるとすぐに通されましたわよ?」
メタスラの特訓に集中していると宿に着いたようだ
「では私は車を預けて参りますので御主人様達はお先にどうぞ。」
「すまんな!オリーブ頼んだぞ!」
「お任せください。」
2人で宿に入り部屋を取る。
シングルの部屋を2部屋とラプラーの預かり料金を合わせて1泊銀貨15枚だった・・・朝食付きという事だけど高いのか安いのかよくわからない。
「では今日はこちらで御飯に致しましょう。」
「そうだね!」
オリーブがやってくる前に注文を済ませる。
今回の注文は取り皿2枚と全メニューを満遍なく順番に下さいとお願いした。
あとメイサが酒を上から順にと注文した。
前回上から順に頼んだら、スープゾーン、サラダゾーンと同じ種類の料理ばかりが運ばれてきて、俺とメイサが辟易としたからだ。
料理が運ばれてきた頃にオリーブが席に着く。
なぜか隣に座ったジャン一行が俺達の机の上を見て驚いている。
「なんで宿まで一緒なんですか?」
「車を預かってくれる宿は少ないので・・・」
「俺から金の匂いがするんですか?」
「なぜでしょうかねぇ?サーペントの時よりも強く致しますね!」
「おそらく勘違いですよ?」
「外れても悔いは無しですよ!」
ジャンが快活に笑う。
「ダーリン?話し込むのもいいですが料理がなくなりますわよ?」
「何!?」
机に目をやると皿が積み重ねられオリーブが次の料理を待っていた。
「これはやばい!この机の上は戦場だな!」
次の料理が運ばれてくると全員が一斉に料理を取り一瞬で無くなる。
店での食事に関してはオリーブの遠慮が無くなり、もう俺達より早く食べる事しか考えて無いようだ。
「ふぃ!食ったな!」
「そうれすわね!」
「腹八分目です。」
「追加頼むか?」
「頼みらさい!頼みらさい!店員しゃーん!」
店員を呼びパスタと肉料理を5人前頼み、メイサは新たに酒を注文していた。
「隣の席はとんでもないね・・・」
ドーラが思わず呟き、ジャンを含めみんなが頷いている。
オリーブが食べ終わり、お会計をして部屋に戻る。
「普通の店で銀貨50枚・・・5万円分かよ」
数枚のお釣りの銅貨を受け取った。
「ダーリン!御風呂に入りましょう!」
呂律はかなりまともだが、テンションが異様に高い
「じゃあオリーブ呼んで飛ぶか」
「では参りましょう。」
「もう驚かないぞ?なんでいる?」
「御風呂かと思いまして。」
「いい読みだな!行こうか?」
3人が宿から消えて行く
「ダーリン御風呂はいいれすわね!ね?オリーブ?」
「そうですね奥様。」
テンションの上がったメイサが3人で入るぞと言い始めてオリーブも入っている。
「そうだな。」
「ダーリン?私に興奮してますの?」
「そりゃこれだけ胸を押し付けたらな!」
メイサが叡斗の股の間に向かい合わせに座って抱きついている。
「オリーブ?こういう場合はどうすればよろしいのかしら?」
「それは御主人様のこ・・・ッグ!今は十分かと愚考致します。」
水族館の約束が聞いているのだろうか?悔しそうに顔を顰めて無難な事を言うオリーブ
「そうだ!メイサは今で十分だぞ?」
「フヘヘヘ!それはよかったれすわ!」
今日のメイサは呂律はかなりまともだがテンションが異様に高いな・・・
「さ!もう上がって明日は朝一でギルドに言ってヨハンランドの宣伝するぞ?」
「そうですわね!」
「かしこまりました。」
風呂を片付けて3人で部屋に戻り、オリーブは自分の部屋に戻って行くとメイサが激しく抱きついて、唇を合わせてくる。
「メイサ?」
「何か?」
メイサの目が血走っている。
「何でもない・・・どうぞ・・・」
「では!」
諦めた叡斗はされるがままに意識を手放して行く。




