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~55話~ユーリの特産品とソウルフードうどん

試作を食べ終わったメイサとオリーブがお替り!お替り!と呟きながらうどんを作っている。


「ダーリン?こんな感じですか?」

「いいんじゃない?オリーブ水が多かったからと小麦粉を足すのはダメだ!」

「ですが御主人様・・・」

「なら寝かす時にボウルをせずにタオルを巻きなさい!少しは水分が飛ぶだろう。」

「かしこまりました。」

「ダーリンは簡単そうにしてましたが難しいですわね・・・」

「さすがに年季が違うよ!それに『料理』スキルのおかげかいつもより上手く出来た気がするし。」

「では私はダーリンに認められるくらいに上手く作れるようになりますわ!」

「力仕事だから作るときは手伝うよ?」

「フフフ!共同作業ですわね?」

メイサがうどんをこねながら嬉しそうに微笑む




なんとかうどんが完成して改めて晩御飯を食べる3人。

「歯ごたえが物足りませんわね・・・」

「柔らかすぎますね・・・」

「そうか?これはこれでおいしいよ?」

「ダーリンのに比べて歯ごたえが無さ過ぎますわ!」

「心なしか風味も弱い気がします。」

「そう言って貰えると作った甲斐があったな?」

叡斗が嬉しそうにうどんをすすっていると


「エイト様!メイサ様オリーブ様!」

ユーリンが大声で叫びながら門から駆けて来る

「どうしたのユーリン?」

「日暮れになったのに調査隊の方々が戻ってこないんです!」

「他の冒険者は?」

「残った6人とジャックさんとアンナさんが探しに行きましたが御三方にもお願いしようかと・・・」

「どこの辺りだ?」

「南の畑を抜けた森を調査してくださっていたはずです!」

「なら行くか!オリーブは食べてていいぞ?」

「かしこまりました。」

「重ね重ねで・・・申し訳ないのですが!」

「気にすんな!うどん食べて待ってなよ?」

「この白い麺料理は?」

「小麦粉で作ったうどんっていう料理だよ?」

「是非いただきます!」

「じゃあ行って来るよ!メイサ?」

「はい!」

「行ってらっしゃいませ。」

オリーブが礼をして見送くられ、『風魔法』で南門の森へと飛んで行く叡斗とメイサ。



森の上に到達するとメイサが

「ダーリン?生命反応がありますわ!」

「どれだけいるかわかるか?」

「人が13名、魔物が6体」

「よし行くぞ!」

「防御力を高めます!そのまま突っ込んでいいですわよ?」

「わかった!森に入るぞ!?」

「はい!」

結界とステータスの防御力に任せて木の枝を折りながら生命反応の近くの地面に衝突して着地する。



「なんだ!?爆発したぞ!?」

「ロビン!確認しろ!他はゴブリンの迎撃だ!」

「はい!」

ギレンが指示をする声がする

「【無双】エイト参上!」

「【舞姫】メイサ同じく参りました!」


冒険者達がどよめくが、倒れて動かない人間が見える

「メイサゴブリンお願いしていい?俺は治癒する!」

「お任せください!」

傷付き倒れている冒険者3人にエクストラヒールをかけるが、4人目の女性にかけようとした時に思わず手が止まる

「これは・・・」

必死に『治癒魔法』をかける女性の前には、両足両腕が無い裸の女性が地面に転がっていた。

「ゴブリン達にいたぶられて犯されてたようだ!」

「私の技量では止血と現状維持が精一杯で・・・」

「ちっ!ゴッドブレス!」

ゴブリンに対して苛立ちを覚えた叡斗が神の祝福(ゴッドブレス)を唱える

「なん!?無茶苦茶だな!」

「嘘っ!?」

ギレンと治癒士が手足が生えていく女性を見て、目を剥いて驚く。



「メイサ!手伝うぞ!」

「終わりましたわ?」

治癒が終わってゴブリン達がいた方向を見ると涼しい顔をしたメイサが歩いて寄って来る

「そうか・・・お疲れ様?」

「ダーリンこそ!この女性は骨が折れたのでは?」

「少し惨状をみて動揺したけどな・・・」

メイサがそっと女性の体に布をかける


「メイサ?他に魔物の反応は無いけど、メイサの感知にも無いよね?」

「無いですわね。」

「ギレンさん?帰りましょうか?」

「お?あぁ!みんな!引き上げだ!」

ギレンが唖然として立ち尽くす冒険者に指示を出して村へ帰る



「エイトさんよ・・・」

帰り道にギレンが話しかけてくる

「なんですか?」

「今回はすまなかった・・・だがあれはなんだ?」

「あれと言うと?」

「最初の登場にドーラの手足が・・・」

「冒険者が手の内を明かすと?」

「・・・そうだな、で治療代金なんだが・・・」

「え?いりませんよ?」

「は?命を救って無償だと?」

「困っている人がいれば助けるのが当たり前でしょう?」

「なんと・・・ビッケに聞いた以上だな!ガハハ」

「あの女性ドーラと言いましたか?お礼と言うなら俺の信じる神、ヨハンにお礼の祈りをするように伝えて貰えますか?」

「ガハハハ!そんなもんなら俺達もしてやるさ!なぁ?」

ギレンが振り返って言うと後ろを着いていた冒険者達が頷く



「それじゃあ俺達は北門の外に戻りますんで!」

「おうよ!早速晩飯で感謝の祈りを捧げるぜ!」

「女神様の祈りのついででいいんでお願いしますね?」

「お安い御用だ!ガハハハハハ」

ギレンが笑いながら冒険者を連れて宿へ戻って行く。



テントへ戻ると

「エイト様!製法を教えて下さい!」

ユーリンが土下座で待っていた。

「え?何?」

「御主人様、ユーリンさんがうどんを食べて驚いていたので小麦粉で作ったと言うとこうなってしまいました。」

「どうか!このうどんの製法を!!!」

「ユーリン?椅子に座って話そうか?オリーブお茶をお願いできるか?」

「かしこまりました。」

オリーブが礼をして、ユーリンが泥だらけの顔で席に座る



「で?なんでそんなにうどんの作り方を知りたいんだ?」

「これは小麦粉で簡単に作れると伺いました!」

「まぁ麺は小麦粉と塩と水だけで作るね。」

「お許しくだされば、この村の名産にしたいのです!」

「名産にするのは構わないけどめんつゆとかの醤油がないから汁どうすんの?」

「この味を知らなければ、村で試行錯誤すればどうにかなります!」

ユーリンがどんぶりの汁をすすりが胸を張って言い切る


「わかった!いいよ?」

「ではいつ教えて下さいますか?」

「明日のユーリンの空いてる時間っていつ?」

「午前中ならいつでも!夜伽でしたら今から空いてますが!?」

「じゃあ朝御飯食べたら宿に向かったらいい?」

「お願い致します!夜伽をして一緒に向かってもよろしいですよ?」

「じゃあ暗いから気をつけて帰ってね?」

「・・・はい。」

ごめんユーリン・・・お誘いはありがたいけど、メイサとオリーブの視線が突き刺さってるんだ。


風呂に入ってテントに入るとメイサが前のめりに詰め寄ってくる

「ダーリン?」

「は、はい?」

テントの端に追いやられた叡斗が答える

「私我慢出来ません!今日何かあっても私が対処致しますので!」

「わかった!任せたよ?」

「では・・・」

「待って!」

「何ですの?」

「限界って魔素的に?メイサ的に?」

「・・・ま!・・・魔素的にです!」

「えらく間があったね?」

「うるさいですわ!」

メイサがキスをしてくるので

「ずるいぞ!答えてから!」





と言うが、メイサが激しく舌を絡めて来て、すぐに意識がなくなる。

「限界ですの!とにかく限界ですの!!」

メイサの声が聞こえた気がした。




朝目が覚めるといつも通りにメイサが微笑んで目の前にいた

「メイサおはよう、ゴブリンは大丈夫だった?」

「何も異常ありませんでしたわよ?」

「じゃあ朝御飯だね?」

「準備は出来てますわよ?」

「え?もう?」

「2人で張り切って作りましたのよ?」

「嫌な予感がするんだけど?」

無言で微笑むメイサの隣で寝間着から着替える叡斗



「さぁ行きましょう!」

着替えるとメイサに手を引かれテントから出ると

「うどんパーティーか?」

「パーティーではありませんがうどんの練習を致しましたの!」

机の上はうどんうどんうどん、うどんで溢れかえっていた。


「どんだけ作ったらこんな事になんだよ・・・」

「オリーブの分を考えて作りましたわ。」

「本日は私達も講師が出来そうですね?奥様。」

うどんはコシもあっておいしかった・・・が夜からの連続のうどんはやめて欲しい。




「なぁ?昼飯もうどんかな?」

「みんなに教えながら作るのでそうなるでしょうね?」

「晩御飯はうどん以外でお願いね?」

「約束し兼ねますわね」

「約束してよ・・・」

「では村に向かいますわよ!」

今日の献立に絶望した叡斗がメイサとオリーブに引っ張られて宿へ向かう。




宿に着くとユーリンを先頭に女性陣が並んで出迎えてくれ、宿の調理場へと入って行く。

叡斗は手早く、女性陣を5人一組に5グループに分けて作っておいた平型のボールと材料を渡す。

ちなみにメイサとオリーブはそれぞれにマイボールを用意している。



「ではまず小麦粉と塩を混ぜ合わせて・・・」

叡斗が女性陣に教えつつ実演し、女性陣はしっかりと役割分担が出来ていて。

実際にうどんを作る係りと、叡斗を見てメモする人に別れている。

「ここから2人に教えたのと変わるぞ?」

叡斗がメイサとオリーブに言い、一回寝かしたうどん種に薄い布を敷き、足を洗った女性陣とうどん種を踏む。

メイサとオリーブなら腕の力で捏ねられるだろうが、普通の村人には無理だろうと思い足で踏む製法に切り替えた。



「平べったくなったら、纏めて3回繰り返します!」

みんな真剣な顔で頷きうどん種を踏んでいる。

「3回繰り返したら夏が1時間、冬は3時間寝かします、で?ユーリンその間につゆか汁を作りたいんだけど案はあるの?」

「はい、色々と考えました!」

うどん種を踏むユーリンが答える

「じゃあ俺は昨日のを作ろうかな?」

「是非お願いします!是非!」

「ユーリン?涎拭こうな?」

ユーリンはよほど気に入ったのか涎が止まらないようだ。




「では試食会を開催します!」

女性陣と冒険者達から歓声があがる。

「ギレンさん?なんでいるんですか?」

「ドーラ達治療組はまだ寝てるが、他がどうしてもお礼にってな。」

「それで?なんでみんな箸の練習をしてるんですか?」

ギレンを含めて全員が箸を持ってぎこちなく動かしている

「ユーリンから試食して欲しいって頼まれてな・・・」

「ふーん?ユーリン?」

「いや・・・あの・・・」

「お礼に来たとか言って、お礼もせずに試食するんだし俺でもどういう事かわかるよ。」



「違う!昨日は本当に助かった!礼を言う!」

ギレンが慌てて叡斗に頭を下げる

「気にしなくていいですよ?あと涎の跡が付いてますっ!」

「はっ!?」

慌てたギレンが口元を腕でごしごしと擦る。

「あの・・・開催していいですか?」

ユーリンが気まずそうに聞いてくる。

「すまなかった!始めよう!」

「はい!では順番に出します、まずはエイト様の打ったうどんとお出汁でございます!」


みんなが食べて大絶賛してくれる。

なぜかメイサとオリーブが胸を張り、誇らしげに微笑んでいる。


「では次からが試作品です!」

野菜スープにうどんが入っている。

野菜スープのダシが弱く、あまり汁の味が感じられない。

「これはダメですわね・・・」

「奥様私が食べましょう。」

冒険者達も微妙な顔をしている。



「ダメみたいですね・・・では次を!」

次も少し味付けの変わった野菜スープにうどんが入っている

「さっきと変わりませんわね・・・」

「私が食べましょう。」

その後も色々出てくるが、全部野菜スープがベースになっていて代わり映えのしない品が続く。



「では・・・最後です!」

険しい顔をしたユーリンが言うと、うどんが運ばれてくる

「これは・・・」

「独特な匂いですわね・・・」

「香草まみれですね。」

釜揚げうどんに香草やスパイスを絡めた一品だった。

「さっきのエイトさんのやつ食べてーなぁ・・・」

1人の冒険者が呟いて、ギレンに拳骨されている。

確かにスパイシーだがうどんに合わない。


「ユーリン?」

「はい・・・」

険しい顔のユーリンに話しかける

「この世界にカレーってあるの?」

「カレー?ですか?」

「じゃあスパイスって何に使ってるの?」

「はい!肉などの匂い消しにクミンやターメリックなどを使っています。」

「それって気軽に手に入るの?」

「はい!レベッカまで行けばウラジールからの輸入品が手に入ります!」

「それを一式全部くれないか?」

「はい!喜んで!」

「じゃあテントに運んでもらっていいか?」

「勿論です!」

「メイサ、オリーブ戻るぞ!」

「料理なさるのですね?」

「カレー作るぞ!出来るわからんけど・・・」

「お手伝いしますわ!」

3人でテントに戻り、まずは出汁の改善で味が薄い野菜スープを煮詰めていると、ユーリンが女性を引き連れてやってくる。

「お待たせしました!」

「これがこの世界のスパイスか・・・失敗したらごめんな?」

香草のような物もあれば、木の実っぽものや根っこみたいなものと多種多様なスパイスが並んでいる。

「勿論です!見ていても?」

「どれだけかかるかわかんないよ?」

「はい!村の未来がかかっていますから!」

「じゃあ・・・メイサ?オリーブ?これを食べてくれ!」

京平に渡されていたレトルトカレーを食べてもらう


「これは!?おいしいですわね・・・」

「御主人様、スプーンが止まりません。」

「君達の鼻を頼りにこの香りにスパイスを調合してほしいんだが?」

「これを食べられるのならお安い御用ですわ!」

「御主人様の命とあらば!」

2人が頭を突き合わせて、スパイスを嗅ぎ、叡斗は2人に言われるままにスパイスを受け取り、スリコギで粉末にして混ぜ合わせて行く。

1時間程、混ぜては2人が味見を繰り返して


「ダーリンこんな感じではないでしょうか・・・」

「匂いすぎてよくわからなくなりました。」

「ありがとうね?」

煮詰めた野菜スープにスパイスを味を見ながら少しずつ加えていく。

「こんなもんか!?」

「少し違いますが美味しいですわ!」

「御主人様スプーンが止まりません。」

「オリーブ待て!無くなる!」

出来上がったカレースープに先程作ったうどんを投入してユーリン達に食べてもらう


「これは・・・」

「肉の匂い消し用の食材でこんなものが・・・」

「おいしいねぇ!」

ユーリンとおばちゃん達はすぐに完食した。


「じゃあ採用でいいか?」

「勿論です!これなら村は大繁盛間違い無しです!」

「じゃあさっきのスパイスの量をレシピに起こそう!」

「はい!メモをしてましたのですぐに出来ると思います!」

みんなでスパイスの配合表を作り、ユーリン達はすぐにカレーうどんを作ってみんなに食べてもらうと意気込んで宿へ戻って言った。



叡斗が椅子にもたれて、ふぅと一息つき

「メイサ?今日はカレーライス食べたいな?」

「ライス?確かにこれはお米が合いそうですわね!」

メイサがうどんを捏ねながら答える。


「そのうどんはオリーブの分だよね?米貴重だし。」

米はこの世界のどこかにあるらしいがまだ見た事なく、京平印の米を食べている。

「カレーライス用のはカレースープに小麦粉入れてとろみ付けてね!」

「なるほど・・・絡みやすくなるのですね?」

「さすがメイサ!その通りだ!」

晩御飯が一気に楽しみになる叡斗であった。

私事、今日四国へ行ってうどんを5杯食べてきました。

うどんの登場秘話です。

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