~48話~オリーブの食事情とゴウの疑問
メイサのお勧めに店に着くと入口で7人分の料金、銀貨14枚を支払い席に着く。
「入口で金を払うって初めてのシステムの店だな?」
「ここはビュッフェ?と言われる特殊は形式なようですわよ?」
「いらっしゃいませ!ビュッフェスタイルは初めてですか?」
若い娘の店員がすぐにやってきて、初めてだと答えると説明してくれたが、日本のビュッフェと一緒のシステムだった。
壁際にパスタコーナー、パン・ピザコーナー、スープコーナー、デザートコーナーの四つに分かれていてドリンクは店員に注文するようだ。
「オリーブ?好きなだけ食べなさいね?この中では仕事はしなくて結構よ?」
「かしこまりました奥様、では早速行って参ります。」
オリーブがパスタコーナーへ小走りに向かって行く。
「俺達も行こうか?」
「そうですわね!」
「パスタも種類が多いな?俺はクリームパスタ食べよ!」
「私はトマトのパスタに致しますわ。」
2人で選んでいると
「エイトさぁん両手が塞がっちゃって・・・パスタ入れてくださぁい!」
ピザを入れた皿とスープを入れた皿と空の皿を器用に三枚持ちするライラが来てメイサが舌打ちをする
「これでよろしいかしら?」
「メイサさん!そこにはピザが乗ってますよぅ!」
「ならこれでよろしいかしら?」
「あぁぁぁぁぁぁ熱いぃぃぃぃっ!スープのカップにパスタを入れないでくださぁい!」
「ウルサイですわ!さっさと席にお戻りなさい!」
ライラがパスタを盛られた皿を2枚と空の皿を持って席に戻って行く。
「オリーブ盛りすぎじゃない?」
オリーブが崩れないのが不思議なほどのバランスで盛られた皿に囲まれてオリーブの顔が見えない。
「食べ放題と伺って少々欲張りました。次はもう少し控えます。」
「まだ食べれるんだ・・・俺なら一皿も無理かな・・・」
「ダーリン?オリーブは魔族の血が濃いのです!『魔力操作』を教えて魔族の力に目覚めたので、魔族の力をヒトの体で維持するために食べて魔素を得るので、あれくらい食べなくては目覚めたばかりの力に飲み込まれて死んでしまいますの。」
「そうなのか・・・」
「オリーブ?体系は変わらないので安心してお食べなさいね?」
「かしこまりました。」
オリーブが清清しいほどの勢いで皿に盛られた料理を食べる。
「旦那・・・オリーブお替りに行ったぜ?」
「俺達は俺達のペースで食べるぞ?」
「あのパーティ全員規格外かよ・・・」
「俺は普通だ!」
「食べる量だけは普通かもな!!」
ゴウが酷い事を言う。
オリーブがお替りから戻ると器用に三枚持ちで戻ってくるが、顔を見えないくらいにパスタが盛られている・・・どうやって盛ったんだろう?
「ダーリンピザは食べられます?」
「俺も行くよ!」
2人でピザを選んでいると
「エイトさぁん両手が塞がっちゃって・・・ピザを左手の皿に入れてくださぁい!」
「これでよろしいかしら?」
「メイサさん!?ケーキと合体しちゃいましたよぅ!左手ですってばぁ!」
「ならこれでよろしいかしら?」
メイサが皿を持ち上げ左手にピザを乗せ、皿を下ろす
「あぁぁぁぁぁぁ熱いぃぃぃぃっ!」
ピザは熱々なようだ
「メイサ?こっちのベーコン乗ったのおいしそうじゃない?」
「美味しそうですわね!ダーリン?こちらにはオリーブが乗ってますわよ?」
「呼びましたか?」
オリーブがひょっこり現れてピザを根こそぎ皿に盛って行く
「食べ物のオリーブの事だ!お前まだ食べれるのか?」
「私も食べてもいいのですよ?まだ半分と言ったところでしょうか?」
「そうか・・・腹いっぱい食べろよ?ん?前半何か言ったか?」
料理を運んでいた店員が顔を青くして厨房へ走って行くのが見えた。
「ピザがなくなったな・・・スープついで行くよ。」
「ではこちらの皿を持って帰って待ってますわ。」
卵スープをついで両手に持って机に帰っているとオリーブとすれ違った。
「オリーブは?」
「最後のデザートを。と言って席を離れましたわよ?」
「ここまで元を取ってるビュッフェを見るのは初めてだよ。」
厨房から悲鳴が聞こえる店も初めてだ。
「ダーリン?オリーブは強いですわよ?大事にしてあげてくださいね?」
「強いの?一般人だったんだよ?」
「オーガの力を濃く受け継いでおりますので、きっとその力も使いこなしますわよ?」
「オリーブの武器をどうするか考えないとな??」
「フフ!あの子は器用ですので何でも使いこなしますわ。」
「まぁメイサが許すんならいくらでも好きなだけ食べればいいよ!」
「これからの料理は大変になりますわね?」
「俺も手伝える事があったら手伝うよ?」
「御主人様。私がお手伝いいたしますので心配無用です。」
オリーブが山盛りに盛られたフルーツとケーキの向こうから答える。
オリーブが更に一回デザートを取りに行き、もう少しと言ってパスタを取ろうと近づくと、店の責任者であろう人がオリーブに土下座をしていたので近寄ると
「もう勘弁してください!これ以上は!これ以上はぁぁぁぁぁ!!」
白髪の初老の男性が泣きながら土下座をして困惑するオリーブに懇願する声が聞こえた。
「オリーブ、ギルドまでの道すがらなんでも買ってあげるからこれくらいにしてあげようか?」
「御主人様・・・かしこまりました。」
オリーブと一緒に席に戻り
「俺達はもう出るけどみんなはまだいるか?」
「へい、オリーブの食べっぷり見てて全然食べられてやせんので。」
「エイト様はギルドですか?私ももう少しここで食事を楽しみます。」
「旦那・・・人間の証明してもらってないですよ?」
「エイトさんお別れなんですね・・・正直に寂しいって言えばいいんですよぅ?」
みんなが口々に好きに言う
「みんな達者でな?」
「精々死なないように精進なさい。」
「短い間でしたが、失礼致します。」
俺達も好き好きに勝手なことを行って店を出る。
「御主人様あれを食べたいです。」
「美味そうだな!親父!12本くれ!」
肉の串焼きをオリーブが所望するので買う。
内訳はオリーブが10本、叡斗とメイサが1本づつだ
「御主人様あれを食べたいです。」
ギルドに着くまでにオリーブは目に付く屋台で全部10人前を平らげながら歩いて行く。
顎は疲れないのだろうか?何十本も肉の串焼きを頬張って不思議である。
「いい買物が出来たようだね!?」
受付に行くとすぐに案内され、ソファに座り対面しているブルーノが笑顔で言う
「はい!で、車を買いたいのですが?」
「出発はいつになるのかな?」
「明日出発できればと思ってますが大丈夫ですか?」
「勿論です準備しておきます!」
「ありがとうございます。これが代金です!金貨200枚でしたよね?」
「そうです!では確かに!」
「数えないんですか?」
「エイト君を信じますよ!ハッハッハッ」
「有難い限りですね!」
「では明日の朝一に用意しておきます!」
「わかりました!お願いします!」
「あと・・・身体持ちの魔物の案件を優先して引き受けてくれると伺いましたが?」
「えぇ!困ってる人がいるなら動くつもりですよ?」
「それは有難い!ウラジールに向かうと聞きましたのでこちらがその方向の依頼があるメモを書いた地図です!」
「御者の私が受け取ります。」
横に立っていたオリーブが受け取る
「大丈夫か?」
「はい。奥様と地理の勉強も致しましたので。」
「本当にいい買物をしたようだね?」
「私達には勿体無いメイドですよ!」
「それで1つ懸念があるんだが。」
「なんでしょう?」
「この魔玉なんだが・・・」
ブルーノが直径5cmの魔玉を机に転がす
「これは?」
「オーバーフロー時のゴブリンの魔玉です」
「ゴブリンの魔玉にしては大きすぎません?普通は1cmくらいでしょう?」
「そうなんです!ですがエイト君とメイサ君が・・・その・・・豪快に倒したので誰も戦ってなくて、ゴブリンの強さがわからないのです。」
「かなり分厚いオブラートに包んでくれましたね?」
「魔玉通りの強さがあったならば見た目はゴブリンだが、オーガ並の強さだったかもしれないらしいのだよ。」
「そのゴブリンがこれから行く村で暴れていると?」
「そうなのです・・・お願いできますか?」
「勿論ですよ!なぁ?」
「困ってる方がいらっしゃるのでしょう?勿論ですわ!」
「私はお2人に尽くすだけですので。」
3人が快諾してブルーノが笑顔で手を差し出しながら
「よかった!では明日の朝待っているよ?」
ブルーノと固く握手を結んで宿へ戻る。
部屋に入るとメイサがマジメな顔をして
「ダーリン?お風呂に入りませんこと?」
「あ・・・そういえば昨日から入ってないな、行こっか?」
「ではオリーブを連れて来ますわ!」
メイサがオリーブを連れて来て、転移する。
「なんでお前がいるんだ?」
「オリーブと奥さんの声が聞こえまして、旦那!・・・俺も風呂入りたい。」
「やっぱり日本人だな?」
「日本人ですから!」
日本人の性だな。
転移の瞬間に飛びついてゴウが着いて来た。
お風呂を作って
「メイサどうする?飯作ってから入るか?」
「今日はオリーブと入ってもよろしいかしら?化粧水やシャンプーなどの使い方を教えたいので!」
「勿論だよ!ゆっくり入ってきな?」
メイサとオリーブがキャッキャと結界の中に入って行く。
「つかなんで宿にいたんだ?」
叡斗が調理の準備をしながらゴウに尋ねる
「昼食食べたら、今日はもう何もしねー!不貞寝だ!って宿まで引っ張られて・・・部屋で暇してたら奥さんの声が聞こえまして・・・」
「あいつら・・・どうだ?あいつらには馴染めそうか?」
「いい人達だね!女成分が足りないけど!」
「ならよかった!」
「女成分が足りないけどな!旦那なら今風呂に入っても許されるだろ!?」
「許されないんじゃないか・・・?」
「いや!金貨10枚賭けてもいい!許されるね!」
「それは大きく出たな?100万円だぞ?」
「それくらいに自信がある!」
「・・・もし許された時が怖いから、やめとく。」
「それがいいと思います、玩具にされるに決まってる!」
「お前敬語かタメ口がはっきりしてくれない?」
「難しいですよね!奥さんが絡んだら敬語が出ちゃいますよね。」
満面の笑みで答えるゴウ
「ダーリンいいお湯でしたわ!」
「御主人様お先に頂きました。」
「おう!」
「では御飯を作りましょうか?」
「かしこまりました。」
「宜しくお願いします!」
風呂に入ろうと結界に進む叡斗にゴウが声をかける
「旦那一戦でいいんで稽古つけてよ!」
「え?風呂入りたい。」
「召喚人の意地でカイジンさん達に負けてられないんですよ!」
「一回だけだぞ?」
「はい!・・・あの装備無いんで一回俺の部屋に飛んでくれません?」
「・・・めんどくせぇこいつ!」
「仕切り直しっす!」
完全装備のゴウが構える
「じゃあ行くぞー?」
「木刀ですか?」
「トレントの木刀に魔素通してるから固いぞ?」
「それも『魔力操作』ですか?」
「そうだ!じゃあ軽く行くから受けろよ?」
叡斗がゴウに斬りかかる
「最初から出し惜しみ無しだ!城塞!」
光る盾で叡斗の木刀を真正面から受け止めるゴウ
「おぉ?」
「なんだよこれ!?重すぎるっっ!」
ゴウが耐え切れず盾ごと吹き飛ばされ、ゴロゴロと転がる
「そのスキルいいな!?こうか?城塞!」
叡斗がゴウの盾を拾ってスキル名を唱えると盾が光りだす
「なんで聖騎士の技、使えんだよ・・・」
「俺が使えるって事は『盾術』のスキルなんじゃねぇの?」
「どっちにしろおかしいよ・・・」
「よし!いい汗かいたし風呂入るぞ!」
叡斗がゴウに『治癒魔法』をかけて結界の中に入って行く。
「旦那・・・今ので汗かいたのか?」
泥だらけになったゴウが首をひねりながら付いて行く。
「あー!生き返るな!」
「あー!とかおっさん臭いですよ?旦那」
2人で湯船に大の字に入る叡斗とゴウ
「おっさんじゃねぇし!まだ30だし!」
「旦那色々聞きたいんすけど、いいですか?」
「なんだ?」
「「水竜の地底湖」で魔物をおびき寄せたのってどうやったんですか?」
「あれは範囲指定して『簡易鑑定』したんだ。『鑑定』したら嫌な感じがして魔物が寄って来るんだ。」
「『鑑定』なんてスキルあったのかよ・・・俺に使って見てくださいよ!」
「いいけど気持ち悪いらしいぞ?あと『簡易鑑定』だから職業とレベルしかわかんえーぞ?」
「お願いします。」
白草 剛一郎 聖騎士 レベル130
「おぉう・・・」
ゴウが身震いさせながら声を漏らす
「聖騎士でレベル130だってよ?」
「聖騎士のままか、よかった!旦那のレベルと『魔力操作』のレベルはいくつですか?」
「教えない。」
叡斗がニヤニヤと言う
「じゃあ『魔力操作』って女神教で危険なスキルなんで上げることが禁忌とされてますけど上げても大丈夫なんですか?」
「禁忌なのか?俺もメイサも今の所問題ないぞ?」
「ふむ・・・じゃあ最後に、旦那の本当の目的は何ですか?」
「本当の目的?神ヨハンの信仰を広めるって言ってるじゃん?全ての知恵ある者が仲良く過ごす世界を作るんだぞ?」
「は?それだけの力を持ってて?世界滅ぼせの間違いじゃないの?」
「万年平の工場勤めがいきなり宗教の布教活動だぞ?かなりの難問だ!」
「いやいや!竜の魔族を素手でボコボコにして追いはぎする人が何言ってるんだか・・・」
「だからあれは、美人の竜人を紹介するって言ったらくれたんだって!」
「なんか聞きたい事聞いてるはずなのに聞きたい事が増えるからもういいです。」
「1つだけ教えてやる。俺とメイサはお前よりレベルが上だ。」
「んな事はわかってるよ!」
「もう1つだけサービスだ!別で何でも1つだけ答えてやるよ!」
「なんでも・・・?どうやって竜の爪やブレスを素手で防いだんですか?」
「『絶対防御』と『魔力吸収』のスキルで防いでた」
「ぶえおっ!?」
ゴウが湯船に沈んでボコボコと泡が立つ
「大丈夫か?」
「ぶいぇっほ!っほっほ!そんなの誰も旦那に攻撃出来ないじゃないですか!?」
「破る方法はあるぞ?よし、そろそろ上がるぞ!」
「はい!」
着替えお風呂を片付けているとゴウがまた聞いてくる
「旦那?なんで風呂のお湯だけを持ち上げてられるんですか?」
「『錬金術』と『水魔法』と『魔力操作』の複合技だ。」
「『錬金術』まで持ってるんすか・・・チートですね。」
「神から貰ったスキルの恩恵だ!」
「どんなチートスキルもらったらそうなるんだ?」
「心の声が漏れてるぞ?内緒だ!」
「旦那?作ってるときも思ってたけど、湯船が消えたのは?」
「『土魔法』だ!」
「この前『風魔法』も使ってたよな・・・どんだけ魔法適正持ってんだ?」
「だから心の声だだ漏れだぞ?ほら!メイサが晩飯出来たって言ってるぞ?」
メイサが手を振って呼んでいる
「今日は豚カツか!」
メイサが王都で買った机とお洒落な陶器のお皿に豚カツが盛られていた
「おぉー!美味そう!」
「明日からの新しい旅に勝つ!ですわ!」
「嬉しい心遣いだね!」
オリーブが配膳を済ませワインを注いでくれる。
「あれ?俺だけ木の皿と箸ですか?」
叡斗達は陶器の皿に銀の食器を使っている。
「3人分の食器しか購入してませんの、嫌ならばダーリンに宿に帰して頂いてどこかで食べればよろしいのではなくって?」
「不満なんでどんてもない!奥さんの御飯を食べたいです!」
「メイサいいじゃないか!食べようぜ?」
「そうですわね?オリーブ?もういいですわよ?自分の事をなさい?」
「かしこまりました。」
オリーブが自分の配膳を始めるが、どうやって盛ったのか絶妙なバランスに豚カツをもった大皿を机に置き、祈ってから食べ始める。
「ゴウ?不貞寝してる2人には内緒だぞ?」
「勿論です!」
叡斗の問いにゴウが豚カツを頬張りながら答える。
「よし!明日からオリーブ大変だけど頼むぞ!?」
「お任せ下さい。滞りなくこなして見せます。」
「それフラグじゃね?」
「フラグですね。」
「フラグって何ですの?」
叡斗とゴウが不安そうに顔を見合わせ、食事を終えメイサとの特訓をして一日を終える。




