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~46話~「水竜の地底湖」踏破

今話もゴウ視点です。

もし旦那が死ねば俺は奴隷商店に逆戻りだ・・・『未来視』が発動しないから俺は死なないだろうが、旦那はわからない。

俺は旦那が死なない様に祈りを捧げる。


祈っているとカイジンさんが呟く

「ほぅさすがはエイト様、ウォータードラゴンも巨大な蜥蜴(とかげ)と変わらんな。」

「嘘だ!・・・嘘ん」

祈りをやめて、旦那を見ると、剣を振り抜いた姿勢の旦那と上下に分かれて光の粒子に変わっていく5体のウォータードラゴン。

「旦那って人間ですか?」

「人間だと思うぞ?なぁバッポ?」

「おそらく人間でやしょ!この前も便秘で辛い!って言ってやしたし!」

「判断基準がおかしい!」

やっぱりこの人達は頭が良くないようだ。

「ほら!拾いに行くぞ!」



ドロップアイテムを拾っているとあることに気付く

「あれ?旦那湖の水位が下がってません?」

俺の気のせいでなければ水位が2mは下がっている

「気付いたか?あの水は全部魔物の体みたいだぞ?」

「え・・・」

「空っぽにしてやろうぜ!ウヘヘヘヘ」

「旦那・・・男前が台無しですよ・・・」

そこそこ男前の顔でいやらしく笑う旦那、残念です。

「ほら!戻るぞ!」

「はいバッポさん!」

洞窟の入口に戻り坦々と拾っては戻りを繰り返す。




大分水面がさがり、最初は半透明の(途中で魔物の体だと判明した)水で見えなかった底が今ははっきりと見える。

「水深3mくらいか・・・次が多分最後だ!気張れよ?」

「はは旦那、次最後ってまだ底まで30cmはありますよ?」

「反応が一体だけだから大物っぽいぞ?鑑定でアークウォータースライムだってよ?」

「へぇ?もう驚きませんからね。」

洞窟の入口へ戻る

「次で最後の大物だそうです」

「ほほぅ?楽しみだな!」

「エイト様が大物って言うってこたぁすげぇのが来るぞ?」

バッポさんとカイジンさん楽しそうですね・・・俺は疲れました。




湖を見ていると、地底湖にかかっていた橋を壊しながら水が集まっていき、10mを越える水の玉になり旦那に向かって数十本の触手が飛び出して行く。

「アークウォータースライムか?」

「え?スライム系最上位種の一歩手前じゃないでやすか!?」

「旦那はさっきそう言ってましたね。」

無表情で投げやりに答える


「あんな巨大な物理無効のスライム・・・俺はとてもじゃないが相手出来ねぇな。」

「しかもスライムって事は生半可な魔法じゃすぐに無くなった体を蘇生させやすよね?」

「アークスライムは蘇生速度半端じゃねぇぞ?」

「やっぱりこれは無理でしょう!旦那連れて逃げましょ!?今なら間に合います!」

「まぁエイト様を信じて見るぞ!」

「そうでやすな!巨大な水の玉如き兄貴の敵じゃありやせんぜ!」

「何を言って・・・」

やっぱりこの2人は馬鹿だ。


2人を見て呆れていると

「ほれ!勝負付いたみたいだぞ?」

「はぁ?・・・なんだあれ・・・」

アークウォータースライムの巨躯が凍っている。

「なんで凍ってるんですか!?」

「兄貴が槍を投げて、刺さったら凍ったぞ?」

「嘘ん・・・コキュートス使えるの・・・」

「なんだそれ?」

「『水魔法』の上級魔法です」

「さすがエイト様だな。」

「それで全部済ますつもりですか?」

その時何かが崩れる音がして音の方向を見る

「アークウォータースライムが粉々・・・」

旦那が10mを越える水の玉に槌を一振りするとスライムに亀裂が入り粉々に崩れて行く。



2人はその状況を見ながら

「さすがは兄貴だ。」

「大地の槌はあんな事ができるのか・・・」

とバッポさんが納得した表情で頷き、カイジンさんは自分の槌を誇らしそうに見つめる

「だからその言葉で済ますな!」

思わずタメ口で突っ込んでしまう。

「よし!行くぞ!」

「あぁぁぁにきぃぃぃ!」

「はぁ・・・」

カイジンさんとバッポさんは光の粒子へ向かって走って行くので、付いて走って行く。



「こりゃ巨大な魔玉ですね・・・」

「マジックバッグに入るか?」

バッポさんとカイジンさんがマジックバッグの口を1mくらいの魔玉に付けると

「兄貴俺のには入りやせんね・・・」

「ワシのエイト様のマジックバッグも無理ですな。」

「これの使い道も思いつかんが、置いとくのも勿体無いな・・・しょうがない!お前ら今からする事は何も見てない!いいな?」

バッポさんとカイジンさんが即答で返事をする。


「よし!」

旦那が魔玉に手を当てると魔玉が消える。

「はぁ!?」

「秘密のユニークスキルだよ!」

「本当に旦那は1ヶ月前に召喚されたんですか?」

「本当は2ヶ月前だけどな!」

旦那がウインクする


「変わんねーよっ!」

「ハハハ!よし!階段探すぞ!」

旦那が笑って湖の底を歩いて行く。

しばらく歩くと先行していた元気なバッポさんが叫ぶ

「あぁぁぁぁにきぃぃぃぃぃ!」

「うるせぇ!!どうした?」

「階段かわかりやせんが何かありやすぜ!」

「でかした!」

俺達はバッポさんの下へ行くと、湖があった場所に横穴が空いていた。

上機嫌な旦那を先頭に4人で横穴を進んで行くと巨大な門が現れた。

「門だな。」

「踏破でやすかね?」

「普通なら踏破ですね?」

「ちっ!前人未到の地に足を踏み入れて冒険気分高まってたのに!」

「旦那!ポイントズレてない!?」

「お?そのタメ口の砕けた感じいいね!これからそれで行こう!」

「旦那がそういうならそれでいいよ・・・もうなんでも。」



旦那が無用心に門を開ける

「おぉ!?面白そうなのがいるぞ!?」

カイジンさんとバッポさんも門を覗き込む

「えぇ・・・兄貴あれやばいっすよ・・・」

「エイト様・・・あれは魔族では?」

俺も覗いて見る、門の中は50mはあろうかという巨大な円形の部屋で天井が明るく水のように透き通りゆらゆらと波打って揺れている幻想的な部屋の中に5mを越す巨大な竜が鎮座していた。


「あれ水と風属性のハイドロアクアドラゴンでは?」

「ほぅ?」

旦那の目が光る



「おう!そこでチョロチョロせずに早く入んな!」

「喋りましたね。魔族ですよエイト様。」

「そうだな、入ってみるか。」

旦那が門の中に入って行くのであとに続く


「幻想的だな・・・」

「そうでやすね。」

「心が洗われるようだ」

「おう!オーバーフローの仕返しだろ?返り討ちにしてやんよ!」

痺れを切らした魔族が言ってくる


「仕返しじゃないぞ?金策だ!」

「え?仕返しで派遣された勇者じゃねーのか?」

「違うぞ?踏破コイン貰ったら帰るぞ?」

「っち!信じられるかよぉ!」

ドラゴンがブレスを吐いてくる

「ぎゃああああああ!」

思わず目を瞑り悲鳴を上げてしまうが、ブレスがこない。

恐る恐る目を開けると旦那は何事もなく立っていて、俺はバッポさんに鎧を掴まれ部屋の端に引き摺られていた。


「馬鹿野郎が!兄貴の足を引っ張んじゃねぇ!」

「すみません。」

旦那を見ると、旦那が消えたと思ったら、一瞬でドラゴンの目の前に現れパンチを繰り出していた。

「さすがはエイト様だ。魔族と素手で戦ってらっしゃる・・・」

「あの人頭おかしいだろ!」

「お前はまだ兄貴の事わかってねぇな!」


旦那とドラゴンは互角に・・・いや圧倒している。

「あ!あれ『竜魔法』使ったでしょう!」

「あれが災害級(カラミティ)と言われる竜の魔法か・・・」

「あれって周囲を自分に有利な地形に変えるんでやすよね・・・」

災害級(カラミティ)と言われる由縁。自分に有利な環境に変えるドラゴンだけに使える魔法。

その『竜魔法』を使ったのだろう・・・旦那とハイドロアクアドラゴンの真上の天井の波打っていた水が竜巻になって2人を囲んで行く。

「あれやばいっすよね!?」

「やばいからってどうするんだ?」

「今更兄貴を心配してもどうしようもねぇって!」

「だからって何もせずにここで見てるんですか!?」

「何もしてない訳じゃねぇ!信じて待ってんだ!ほらあれを見ろ!」

カイジンさんが自信満々におかしい事を言う

「見たって水の竜巻が・・・嘘ん」

竜巻が収まって旦那とドラゴンが戦っている。

頭のおかしい旦那は相変わらず素手だ。



「なんでドラゴンのブレス喰らってピンピンしてるんですか?」

「兄貴だから」

「なんで素手でドラゴンの爪を受けてんですか?」

「エイト様だから」

飛んでいたハイドロアクアドラゴンが旦那に素手でボコボコにされて地面に落ちる

「なんでドラゴンの鱗剥いでるんですか?」

「金策じゃね?」「金策だろ?」

「爪を剣で切ってますね・・・ドラゴンの爪ってダイヤモンド並の硬さなんですけど・・・」

「兄貴だからな」

「あ・・・牙も切ってる。ドラゴン泣いてないですか?」

「エイト様の糧になれて喜んでるんだろ?」

この人達は駄目だ。



「あれ?剥がされた鱗とか爪が光ったと思ったら元に戻りましたね」

「兄貴だから」「エイト様だから」


旦那が満面の笑顔でやってきて

「よし!帰るぞ!」

「踏破コインも貰ったんでやすか?」

「いい魔族でな!話したらいいやつで鱗とかもくれたぞ!」

「エイト様の人柄あってのものですな!」


「あんたらおかしいよ!旦那明らかに剥いでたじゃん!ドラゴンあそこで人化して三角座りで顔を膝に沈めてんじゃん!」

「違う!今度美人の竜人を紹介するって言ったらくれたんだ!」

「美人の竜人の知合いいんのかよ!あんた本当になんでもありだな!?」

「よし!帰るぞ!みんな俺に掴まれ!」

「流すな!」

旦那に捕まると一瞬で入口の湖の小島に移動した。



「で?なんだっけ?帰りながら話そうか!」

「じゃあまずは、さっきの『竜魔法』使われてましたよね?どうやって解除したんですか?」

「あれか?あれは俺がそれより高レベルの『竜魔法』を上掛けしただけだぞ?他には?」


『竜魔法』使える人間ってなんだよ・・・

「いや・・・もういいです。そんな事より今日は疲れたので、奥さんの飯を食べて寝たい。」

「ん?今日からお前はこいつらと一緒に行動するんだぞ?がんばれよ!」

「ちくしょぉぉぉぉぉぉ!」

旦那と旅する『未来視』は何だったんだよ!

「まぁまぁ!帰る前にメイサが昼食作ってくれてるから一服して行こうや!」

「本当でやすか!?」

「メイサ様はなんとお優しい・・・」

「やった!腹減ってたんすよ!」



「水竜の地底湖」から街へ帰る前に奥さんが旦那に持たしてくれた料理で、みんなと遅めの昼ご飯を食べる、もう驚かないが、どこからサンドイッチを出したんだろうか?

やっぱり奥さんの料理はうめぇ!

初日のビーフシチューも美味かったけど、このサンドイッチも美味すぎる!

サンドイッチに熱々のスープが最高だ!

なぜ熱々なのか気になるが、もう何も聞く気が起こらない。





「なぁカイジン?今回の素材いくらくらいになる?」

「ざっと金貨1000枚行くのではないかと思いますよ?」

「ならお前らは200枚か・・・」

カイジンさんとバッポさんがグフグフといやらしく笑う





「エイト様、素材の売却はワシらに任せて頂いてメイサ様のそばに戻ってはいかがでしょうか?」

「そうだな…任してもいいか?」

「任されたならば、ワシは信頼の証と受け取り粉骨砕身まっとう致しますぞ!」

「なら任せた!貸したマジックバッグは明日にでも返してくれたらいいよ!」

「はっ!ご厚意痛み入ります!」

「よし!帰るぞ!急げば日暮れまでには帰れるだろ!」

「旦那!転移出来るんでしょう?転移しましょうよ!」

俺は初日の瞬間移動とさっきの瞬間移動で旦那が転移魔法を使えること確信して言う。





「王都付近は人が多いから見られたら厄介だから使わない!」

「あ・・・旦那にもその程度の常識はあるんだ」

「常識人の俺に向かって、酷い言い様だ!なぁ?」

旦那がバッポさんとカイジンさんを見るが2人共、旦那と目を合わせようとしない

「バッポ?素材売却の手筈の確認をするぞ!」

「そ、そうでやすね!」

2人がわざとらしく話しをそらすと



「メイサァァァァァ」

旦那が途轍もない速度で街へ走って行く

「速っ!あの人エンジンでも付いてんのか?てか心弱っ!」

数秒で豆粒の大きさになった旦那





「馬鹿野郎!エイト様は繊細なんだよ!」

「兄貴はナイーブなんだよ!!」

2人から拳骨をされてしまう

「と・・・とにかく追いましょう!」

頭の痛みに耐え後を豆粒になった旦那の後を追う


急いで門へ向かうが旦那の姿はもう地平線の向こうへ消えている。





「門が見えやしたけど、結局兄貴いませんでやしたね。」

「ワシはエイト様になんと酷い行いを・・・」

「あれ?門の隣で三角座りしてるの旦那じゃないですか?」

「あ!本当だ!兄貴ぃ!」

バッポが手を振るが旦那は気付かず地面を触っていじけていた。




3人が叡斗のそばに行き

「旦那どうしたんですか?てっきりもう奥さんの所かと思ってましたよ?」

「金が・・・無いのだよ・・・」

「旦那本当に無一文だったんですか・・・」

旦那は街への入場料が払えず、しょうがなく3人を待っていたらしい。

昨日渡した皮袋は文字通り全財産だったようだ。



「兄貴なら事情を話せば、入れたんじゃ?」

「そうですよ!そしてメイサ様にお金を払って頂けばよかったのでは?」

「そんな格好悪い事できるかよ・・・と言うわけでお金貸してください!」

旦那が120度のお辞儀をする。

「旦那・・・どっちもどっちですよ・・・」



旦那と無事に街へと入り

「ありがとうな!それじゃ売却は任せたぞ?」

「はい!お任せ下さい!高く売って来ますんで!」

「おう!期待してるぞ!?」

「はい!エイト様はメイサ様とご一緒にごゆるりとなさってください!」

「おう!すまんな!」

そう言って旦那はフードを被り街の人通りに消えて行く


「よし!エイト様の期待に沿える様に気合入れて行くぞ!」

これから旦那とじゃなくこの頭の残念な2人と行動することになるんだなと気合を入れ俺も1mの魔玉を抱える2人の後を追って冒険者ギルドに向かって歩く。

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