~44話~ゴウとオリーブ
本日2話投稿です。
「大変御見苦しい所を申し訳ありませんでした。」
パブロフが青年へのお仕置きを済ませ言ってくる
「いえいえ!で?この子達の罪とは?」
「こっちの女性が殺人未遂、こっちの男性が国家反逆罪です。」
「中々ヘビーだな!」
「はい!あとこちらの女性は房事の類は一切出来ませんのであしからず。」
「話はできる?」
「よろしいですが、犯罪奴隷なので、犯罪に関すると判断した場合は止めさせて頂きます。」
「わかった!」
青年と向かい合い
「見たってなんだ?」
「ユニークスキルで見たんだ旦那と旅してる自分を!」
「お前は黒髪だが召喚人か?」
「召喚人です!女神に召喚されました!」
「お前のレベルと職業は?」
「捕まる時は130レベル、聖騎士だった。」
「だった?」
「この首輪でステータス閲覧が規制されるんで今はわかりません。」
「わかった」
「次は君だな、レベルと職業は?」
かろうじて髪の色がくすんだブロンドと認識出来るようになった肩から右腕が無い女の子に聞く
「わかりません。」
「種族は?」
いつの間にか隣に来ていたメイサが突然質問する
「オーガの獣人です。」
「家事などは出来ますの?」
「メイドとして働いておりましたので一通りは嗜んでおります。」
「オーガ?」
「はい。髪で隠れていますがここに角があります」
左手で髪を掻き分けて1cmほどの尖った角を見せてくれる
「それは隻腕ですが、力も強く力仕事もさせられるのでお勧めでございます。」
すかさずパブロフがセールストークを挟んでくる
メイサが叡斗に向き直り
「ダーリン!この小娘は買いますわ!あの小僧はどうなさるのかしら?」
「いいのか?」
「重要だと思われてるんでしょう?」
「あぁ・・・なんとなくだがな・・・」
「お金はあるのでしょう?」
「多分ある。」
貧乏性の叡斗は金貨1000枚に踏ん切りが着かないでいる。
「店主!両方買いますわ!ダーリンお金を出して下さいな!」
「わかりました!」
メイサには勝てないなと悟る叡斗であった。
パブロフはコインチェッカーのような物で手早く金貨を数え、すぐに手続きに入った。
パブロフが2枚の契約書を取り出して
「それで、奴隷の制約は如何致しますか?命令に逆らうと首が絞まるなど色々と設定でしますが?」
「じゃあ、自分を含めて俺達が関係する事の緘口令だけで、他の制約は一切無しって出来ますか?」
「お客様は本当に変わった方ですな!承りました。」
パブロフは契約書に怪しく光るインクで契約書に何かを書くと
「ではこちらに、親指で血判をお願い致します。」
言われるままに親指で血判をすると契約書のインクが怪しく光り出し、光が収まると、パブロフが
「これで貴方様の所有物でございます!毎度ありがとう御座いました!」
「え?終わりですか?」
「はい!正式にあなた様の所有物で御座います。連れて行ってもらって構いませんよ!」
とパブロフは満面の笑みで見送ってくれた。
メイサの指示で2人を連れ小鳥の巣へ帰り、新たに2部屋借りて、誰もいなさそうな場所へと転移する。
「え?」「はえ?」
2人揃って頓狂な声を上げて辺りを見渡す。
「ダーリン!お風呂を作ってこの子達を入らせなさい!異臭が致します!あとこの腕治して差し上げなさいな!」
「はい!」
叡斗はすぐさまお風呂魔法を発動し
「おい青年!話は後だ!タオルも石鹸も置いてるから風呂入れ!そこの女の子!こっちに来なさい!」
戸惑いながらも青年は半透明な結界の中へと恐る恐る入って行く。
女の子が叡斗の隣に来ると、叡斗はその場に座らせゴッドブレスをかける
叡斗から光の粒子が女の子へと飛んで行き、今は無い右腕がある所に優しく光を放ち纏まって行き、腕の形へと形を変えていく。
「えぇ・・・」
女の子から驚きの声が漏れ、腕を残して光は完全に消える。
女の子は驚愕の表情で右腕を動かしたり、手を開いたり閉じたりしている。
「伝説の『神聖魔法』神の祝福始めて見ましたがすごいですわね・・・」
「バッケの毛根の時はこんな事にならなかったんだけどな・・・」
「ではダーリン!ご飯を作りますから準備してくださいます?今日はビーフシチューを作り置きがあるはずなのでそれとパンを出しておいて下さい。」
「はい!」
メイサが女の子と話している間にテキパキと準備をする叡斗
「メイサさん準備完了です!」
「ありがとう!オリーブまた後でね?」
メイサが手を振って、調理場へと向かう
「オリーブか・・・」
「あの・・・ありがとうございます。」
右腕を見ながらお礼をするオリーブ
「いいんだよ?お風呂入ってすっきりしておいで。」
丁度青年が結界から出てきた。
「はい!」
オリーブが結界に入って行く
青年がオリーブと入れ替わりに叡斗の隣に来たので
「青年!名前は何だ?」
「あの子腕生えてなかったですか?」
「それは後だ!お前と世間話するために金貨千枚払ったんじゃないぞ?」
「はい!白草 剛一郎です!」
「そうか!俺は田中 叡斗だ!」
「旦那宜しくお願いします!」
「で?何で国家反逆罪になったんだ?」
「まず俺のスキルが『未来視』って言うんです!いつも見える訳じゃなくて、人生のターニングポイント…って言うんですかね?死ぬ時の状況と、こうすれば助かってこうなる。って言う2個の映像が見えるんです。」
「そりゃ便利だな。」
「で、ここからは長くなりますがいいですか?」
「飯までには済ましてくれよ?」
剛一郎が意を決したような表情で話し始める
「はい、始まりは約3年前に女神に転移されて、女神にアラクム砂漠のダンジョンの家畜を殺してアガテアに行けば帰れる、って言われて、一緒に転移した友達と魔族を殺して、アガテアに行く途中に『未来視』が発動したんです!
このままアガテアに帰ったら、真っ暗な空間にいる死にかけの俺が見えて、そしてアガテアに帰らなかったら、旦那といる俺が見えました。
だから俺は真っ暗よりも旦那といる事を選択して帰らなかったら、いつの間にかお尋ね者になってて、先月捕まって今です」
「『未来視』が本当なら、女神は召喚人を帰してないってことか?一緒に旅した仲間は?」
「俺は『未来視』を見て直感でそう思いました。仲間は全部話したけど、帰れるんだぞ!?っと言って聞いてくれなくてそこで別れました。」
「・・・別れたのは1年前か?」
「大体1年前のはずです!」
三銃士の転移が5年前って言ってたな、その2年後に剛一郎、で確かあの将達は1年かかったって言ってたな・・・2年ごとに召喚を行うのか?
「旦那?」
「ん?あぁ!すまん考え事してた。」
「さ!御食事の準備が出来ましたわ!そろそろオリーブも上がるでしょう、2人分の配膳なさりなさい!」
叡斗と剛一郎が返事をして立ち上がると
「ダーリンは座りなさい!小僧!奴隷が配膳なさいな!」
「はい。」
叡斗は座り、剛一郎は配膳をする
配膳が終わった頃にオリーブが上がって来て、配膳されているのを見てメイサに頭を下げている。
シャンプーとトリートメントを使ったのだろう、メイサより背は低いがくすんだブロンドヘアーがさらさらと風で揺れる可愛らしいとても魅力的な女性だ。
「さぁ!あなた達!量は存分に御座います!お食べなさい!」
「奴隷の分の配膳だったんですか!?でも美味そうだ!頂きます!」
剛一郎は両手を合わせて、オリーブは額に手を当て何やらブツブツと唱えてから食べ始める。
「ダーリン私達もお風呂にしません?」
「お?おぉ!」
「あなた達?お替りはあの鍋から勝手にお取りなさい!」
2人は口いっぱいにメイサが作ったビーフシチューとパンを頬張って何度も頷く
お風呂でメイサがオリーブの事を教えてくれた
オリーブはオーガとヒトのハーフであり、感情が高ぶると普段は隠れている角が伸びて凶暴化すること。
昔貴族の家でメイドをしていて、ある日家主の馬鹿息子に襲われた時に凶暴化してしまい、息子を返り討ちにしたら後日腹いせに右腕を斬り飛ばされ、貴族裁判で有無を言わせず有罪にされて犯罪奴隷にされたこと。
叡斗もお返しとばかりに剛一郎の話をメイサにする。
「あのお2人も大変なのですね・・・ですが2人はいらないですわね?」
「あぁ剛一郎はバッポ達と行動させるつもりだ。」
「御馬鹿コンビにつけて大丈夫ですの?」
「だからこそ『未来視』が役に立ちそうじゃないか?」
「考えが足らなくて、力量に会わない仕事請けそうですものね・・・」
「オリーブはメイサに任せるよ!」
「畏まりましたわ!」
「明日はどうされますの?」
「明日はあの子達をゆっくりさせようと思うんだけど・・・?」
「確かにそうですわね!図書館に行きませんこと?」
「わかった!2人は自由にさせて俺達は図書館に行こうか?」
「やっとですわね!」
いつものフォーメーションでメイサがエイトに振り返り胸に抱きつく
2人が風呂から上がると、オリーブと剛一郎は寝ていた。
「奴隷生活で疲れてたんだろうな・・・」
「そうですわね・・・ご飯食べましょう?」
2人で仲良くご飯を食べ宿に戻って部屋に戻る。
「ダーリン?何をしてますの?」
叡斗は前に勇者達一行から盗った元太の装備を取り出して魔力成型をしていた。
「あいつ聖騎士って言ってたからこの装備を上げようかと思ってね!同じデザインだったら不味いだろ?剣はオリハルコンは目立つから勇者の将の剣にしとこう。」
「優しい事ですわね!」
「他にもオリーブのマジックバッグと結界魔法が張られるアクセサリーとかも作るぞ?」
「指輪以外ですわよ?指輪は私だけですわよ?」
「モ・・・モチロン腕輪とかにするつもりだったよ?」
目を泳がしながら必死に平静に答える。
「ダーリン?ほどほどにして倒れないようにしてくださいよ?」
「わかってる!明日と分けて作るつもりだよ!」
「ならよろしいですわ!」
しばらく『創造魔法』をした叡斗が
「よし!そろそろ今日はお仕舞いにしようかな・・・」
「では秘密の特訓をしましょうか?」
「お願いするよ・・・何か掴めそうなんだ。」
「では・・・」
ベッドに防音の結界が張られ、夜の特訓が始まり、すぐに意識が遠のいて行く。
翌朝叡斗が目覚めるといつも通りメイサが目の前で微笑んでいる
「おはようメイサ。」
「おはようございますダーリン。」
2人は唇を合わせ
「じゃあ行こうか?」
「はい!」
叡斗とメイサが手を繋いで2人を起こして宿で朝食をとる
「おい?何してんだ?これ食えよ?」
叡斗が机の隣で立ったまま動かない2人に聞く
「え?奴隷ですから主人の食べ残しを頂きますが?」
「旦那の食べ残しが出るまで待ちます!」
「ダーリン?奴隷ってめんどくさいですわね・・・」
メイサが嫌そうに呟く
「いいから座って食え!この料理はお前たちのだ!」
「え!でも・・・」
「俺達は食べ残しはしない主義だ!それに食べ残し以外食べれないんなら昨日の時点で奴隷失格だろうが?」
「あれは・・・我慢出来なくて・・・旦那いいんですか?」
「奴隷失格だからな?もうお前らを奴隷として扱うつもりはないから安心しろ!」
「そんな・・・」
オリーブと剛一郎は叡斗の言葉に困惑しながらも叡斗とメイサの隣に座って朝食を食べる
「食べ終わったか?ならコイツを渡す。悪用すんなよ?」
叡斗がネックレスを剛一郎とオリーブに渡す。
「付けて、首輪が付いてない自分を想像してみろ!」
訳が分からないと言った様子の2人はネックレスを付けて目を閉じる
「いいぞ?目を開けてみな?」
「なっ!?」
「オリーブ外れてるぞ?」
2人が目を開け、正面のお互いを見て声を上げる
「それは<幻影のネックレス>見た目しか変わってないけどまぁばれないだろ!」
「これであなた方は一般人のオリーブとゴウですわよ?」
「え?私如きがいいのでしょうか?」
「ゴウ?ですか?」
オリーブと剛一郎が困惑する
「2人には冒険者ギルドに登録してもらうからな!それで剛一郎は罪が罪だから偽名のほうがいいだろ?」
「なるほど!」
「これから登録して、図書館行くぞ!」
「兄貴じゃないっすか!?」
「おうバッポ!カイジンも!丁度よかった、話がある。」
「なんでやすか?」
バッポがゴウの隣に座って聞いてくる。
「明日からこいつをパーティに入れてやってくれ!」
「はい?旦那何言ってんの?」
ゴウが思わず聞き返す
「あぁん?なんだお前?兄貴になんて口の聞き方してんだ?」
「エイト様を舐めてんのかコラァ!?」
いつの間にかオリーブの隣にカイジンが座っていた。
「お前ら待て!特にカイジン!オリーブが恐がってる!」
オリーブがメイサの腕に抱きついて無表情だが微かに震えている
「旦那・・・俺も恐いです。」
凄まれたゴウも脂汗を流している。
「馬鹿なお前らのブレインになる男だ!大事にしてやれ?」
「兄貴までそんな事言うんでやすか!?」
「こいつはお前らよりも強いぞ?」
「はぁ?こんな小僧が!?エイト様ご冗談を!」
カイジンとバッポが笑う
「ゴウ・・・お前のレベルと奴隷になる前のランクは?」
「130レベルでSランク、冒険者名【鉄壁】剛一郎でした。」
「なっ!?」
「どひぇっ!」
カイジンは聞いた名前なのか目を見開き、バッポは椅子からひっくり返った。
「てか旦那?俺旦那と旅するんじゃないんすか?」
「オリーブだけだ!お前は召喚人としての情報の為に買ったんだぞ?」
「そんなぁ・・・」
「大丈夫だ!なぁ?お前ら明日ちょいと仕事しないか?」
「仕事でやすか?」
「「水竜の地底湖」知ってるか?あそこでのドロップアイテム拾いだ!」
「あそこはオーバーフローの直後ですし魔物で溢れているでしょう!危ないですよ?」
「だからだ!我が家は金が無いのだよ!魔物をガッツリ倒して金を稼ぐのだ!」
「俺といる時だけで金貨1500枚は稼いでやすよ?何買ったら無くなるんでやすか?」
「奴隷買ったら無くなった。ちなみにゴウは金貨1000枚だ。」
「高ぇぇぇぇ!」
「って訳でゴウ?今日はゆっくりして少しでも英気を養えよ!」
「旦那・・・「水竜の地底湖」って確かSランクですよ?やばいですって!」
「大丈夫だ!2人もそれでいいか?」
「へい!準備して待ってやす!」
「エイト様と共に出来るのならば喜んで!」
バッポとカイジンが即答で快諾してくれる。
「ならば私達は明日はオリーブと買出しに行きましょうか・・・ダーリン?今のうちに有り金全部下さる?」
「どうぞ!」
叡斗が皮袋をメイサに差し出す
「全部だと・・・驚くくらいに尻に敷かれてらっしゃる。」
ゴウが思わず言う
「ゴウ!カカア天下が一番平和なのよ?豊臣秀吉もカカア天下だったって言うぜ?」
叡斗がドヤ顔で言う
「さぁ!ダーリン私達は行きましょう!オリーブに御馬鹿が移りますわ!」
「メイサ様酷い・・・」
オリーブをカイジンから引き離しながら言うメイサに悲しむカイジン
「よし!明日頼んだぞ?」
「へい!」「はい!」
「じゃあとりあえずギルドに登録に行こうか?」
そう言って宿から出ながらフードを深深と被る叡斗とメイサが2人を引き連れ街を歩いて行く。




