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~41話~王都防衛戦

「エイトさん禄に指示を出して無いようですが大丈夫なんですか?」

声をかけられ振り向く叡斗

「あ、マー坊ヤン坊」

「私はマイオールです!いや・・・いいです。」

マー坊ヤン坊ことマリアンヌの弟子のマイオールとヤンガーム兄弟がいた

「素直ですね?どうしてここへ?」

「ポーション作りでも負けましたからね・・・錬金部隊の隊長として来ました」

「あぁポーションか・・・錬金部隊って?」

「錬金術師じゃないと、扱えない薬品があるので。」

「なるほど・・・指示ね・・・メイサ?」

「私達が成功すれば一網打尽に致せます、そうなれば素材拾いが仕事になりますわ!失敗の場合は壁を各自死守ですわね。」

「はっはっはっ!そんな事が可能とは思えませんが、マリアンヌ様が信じているのです!私も家名に誓って信じましょう!」

「出来るだけ引き付けるつもりだから、みんなが先走らないようにしてくれ!あと魔法の衝撃に備えるようにお願いします!」

「かしこまりました。」

マイオールとヤンガームがお辞儀をして去って行く。


爆発音が1回鳴る

「あと10分だ!」

叡斗とメイサが2人でメドゥーサの杖を両手で握り締め集中する

「北門で開戦だぁー!」

「何?10分の知らせが出たばかりだぞ?」

「魔物の侵攻が早いみたいだぞ!?」

回りから早馬の伝令が届き口々に状況を話している


「見えたぞー!ゴブリンだぁー!」

「何も指示が無いが大丈夫なんだろうな!?」

「ビルマー!何をすればいいんだ!?」

「マイオール様!?」

「黙っておれ!Sランカーを信じて待て!」

「名無しを信じろって言うんですか!?」

禄に指示をしていないので、士気は低い。

そもそもド素人に隊長を任せる時点でおかしいと思う、と開き直った叡斗はメイサと静かに集中する。



「ダーリン行きましょう!」

「おう!」


叡斗がメドゥーサの杖の風の魔素を流す

「もっと流してくださいな!」

「これくらいか?」

「もっとです!」

「わかった!全開だ!」

叡斗は全力で『風魔法』を発動し風の魔素をメイサにすべて送る

「今を維持してください!」

「わかった!」

メイサが目を閉じ集中する。

メイサの全身から大量の汗が噴き出している。


「ゴブリンが上ってくるぞー!」

「おい!まだ待機なのか?街を滅ぼしたいのか!?」

「マイオール様!」


周りから阿鼻叫喚の声が聞こえる

「サンダーイラプション!」

メイサが目を見開き魔法名を唱える

「ダーリン!?魔素を流し続けなさい!」

「はい!」


メイサが唱えると、いつの間にか空に広がっていた暗雲が稲光、直後大きな雷の柱が暗雲から降り注ぎ、1拍置いて凄まじい轟音と共に空気が震える。


地にそそり立ったたくさんの雷柱が空中に雷の枝を生やして、地面に雷の根を張り、地面を覆い尽くしていたゴブリンの絨毯がはがされて行く。



肩で息をしながらメイサが

「はぁはぁ・・・もう魔法が安定しましたので魔素は大丈夫ですわ。どうですダーリン?空から雷が噴火している様でしょう?」

「俺には噴火ってよりも・・・雷の森に見える」

そう森に見える。

空中から雷柱に集まる雷が木の枝に、雷柱は幹に、地面に広がる放射状の雷は木の根に見える。

その木が平原に何十本も乱立していて、その間を縦横無尽に雷が往来している。


「雷龍がいるぞ!」

「龍だ!」

「隊長が龍を召喚したぞ!」

サンダーイラプションを見ていた者は大多数は先程の衝撃で尻餅を付いて呆気に取られているが、冒険者達から声が上がり始める。



改めてサンダーイラプションを見ると木々を往来する雷が龍に見えない事も無い

「あ、確かに雷の森を泳ぐ龍にも見えるな・・・」

「ダーリンにそう言われると雷の木に見えますわね!」

「これいつまで続くの?」

もう5秒くらいは大地を焼き続けている

「もう効果が切れる頃ですわ。」

メイサの言う通りすぐに雷の森は何事も無かったように平原に雷柱の落ちたクレーターを残して、消滅する。

「倒しきったかな?」

「ゴブリンの最後尾が見えてましたので倒しきったと思いますわよ?」

「なら俺達の仕事は終わりか?」

「そのはずですわよ?」

よしよし!



「マイオールさん!ビルマーさん!来て下さい!」

叡斗に声に反応して、呆けた表情でよろけながら歩いてくるマイオールとビルマー

「これからゴブリンの生き残りに注意してドロップアイテムの回収をお願いしてもいいですか?」

「「かしこまりました!」」

2人が跪いて答える

マイオールとビルマーが去って数秒後


「オォォォォォォ」

誰かが雄叫びを上げそれを皮切りに壁の上の冒険者が全員で雄叫びを上げる

「うるさいですわね!」

メイサが不機嫌に言う


「伝令伝令!北門が突破されましたぁ!」

「なんだって!?」

「皆さんゴブリンは!?何をしているのですか!?」

ドロップアイテムの回収のために壁から降りて門から出ようとしている冒険者に伝令係りが尋ねる


「ゴブリンは全滅した!これから素材回収だ!」

「え?何を言ってるんですか?」

「いいから伝令に行け!南門は殲滅完了だ!」

「何が起きたんですか?ゴブリンが消えたんですか!?」

「隊長がイチャイチャしてたら雷龍が現れてゴブリン全滅だ!」

「意味がわからない!」

「事実だ見てた俺達も意味がわからん!」


それを聞いた叡斗が呟く

「酷い報告だな。」

「フフフ、それよりも小僧達はどうしますか?」

「どうするもこうするも、ほっといたら結局街は壊滅だろ?」

「では行きましょうか?」

「マイオールさん!ビルマーさん!いませんか!?」

「はい!マイオールがここに!」

「よかった!ビルマーさんに俺達は北門の援軍に行くからここからの指示は2人にお願いしますと伝えてください!」

「かしこまりました!エイト様お気をつけて!」

マイオールからの名称が様に変わってしまった。



「メイサ行こうか!」

「はい!ダーリン!私は北門の内側を処理しますので、ダーリンは外をお願いしてもいいですか?」

「わかった!」

叡斗が『風魔法』を発動させ2人で北門の方向へ飛んで行く


「兄ちゃん飛んだよ?」

「マリアンヌ様が気に入る訳だ・・・」

マイオールとヤンガームが2人で呟く



北門の広場の手前まで飛ぶと空も地上も魔物で埋め尽くされた地獄絵図となっていた

「邪魔ですわね!」

メイサが『風魔法』を発動して北門広場の上空を飛び交う人型の魔物のハーピィや2mを越す巨体の鷲の上半身に獅子の下半身の魔物グリフォンを北門の外へと吹き飛ばす


「ダーリン?私はここでお掃除致します!」

「分かった!俺は魔物が戻ってくる前に壁の上に行って掃除してくるよ!」

「後武運を!」

メイサが北門の広場に向かって落ちて行く。




北門の外は、魔物で空が黒く染まり、壁の上には壁を上ってくる魔物と上空から襲ってくる魔物に冒険者達が応戦しているが、魔物に捕まって空から落とされる者や、傷付き倒れている者も見え、正に戦場と言った場景が広がっている。

「さすがにこういうのは慣れて無いから、見てて居たたまれないな・・・」

悲痛な表情の叡斗が1人ごちる



メイサの『風魔法』で飛ばされた魔物が襲い掛かってくるが、『絶対防御』スキルと結界でごり押して近くの敵を一文字で斬りつつ、壁の上で応戦していたライラの隣に着地する。

「エイトさぁん!」

即座にエイトに背中を預けて、魔物に矢を放つライラ

「なんでここに?もう南門終わっちゃったんですかぁ?」

「ライラは話が早くて助かるな!終わったよ!」

「さすがはエイトさんですぅ!」

「風の弓貸してもらっていい?」

「どうぞ!」

ライラが今まで使っていた弓を叡斗に手渡す

「なんで魔法使わないんですかぁ?」

「今日特大のやつ使ったからちょっと魔素がね・・・」

『風魔法』の最上級魔法、通常は何十人もの宮廷魔術士が5分以上詠唱して発動できるかというレベルの魔法である。


「それに魔法使ったら魔物に捕まった人が確実に被害受けるだろ?」

叡斗はそう言って弓を構えて、指を器用に使って、3本の魔法の矢を同時につがえては放って行く。

「どんどん魔物が減っていきますぅ・・・」

矢が魔物に命中しても速度はそのままに、次々に魔物を貫通して飛んでいる魔物を貫いて行く。

「まだまだ減らしたいな!」

叡斗は間断なく矢を射る

矢を矢筒から取る必要が無いので、射った後にそのまま弦を引っ張り魔法の矢を作り出して射る、恐ろしい速度で魔法の矢を撃ち出していく。

「これが・・・この弓の本当の性能・・・」

ライラが叡斗に魅入って言う。





「こんなもんか?」

魔物で覆われて見えなかった空が見え出した。

周りの冒険者も空からの襲撃が減り、救護をする余裕が出来て、復帰した冒険者のおかげで先程に比べると顔にも余裕が見え出している。

「半分以上減りましたねぇ・・・」

「俺は行っても大丈夫かな?」

「はい!任せてくださぁい!」

「三銃士どこか知ってる?」

「真下の門の前で戦闘中のはずですよぅ!」

「わかった行ってみる!ライラ無理すんなよ?」

「エイトさんも無理しないで下さいねぇ!」



ライラに言われた通りに壁の外に身を乗り出して下を見ると、巨大なオオサンショウウオの魔物やリザードマン、大きい蜥蜴とかげに囲まれた三銃士が戦っていた。

ちなみに魔物は体が水なのだろうか?全ての魔物が半透明だ。

叡斗は身をひるがえし壁から飛び降りて三銃士のところへ『縮地』で飛ぶ



いきなりの叡斗の出現に戸惑う三銃士、叡斗は気にせず3人に結界を張り、ウォータードラゴンに向かって魔法名を唱える

「コキュートス!」


叡斗は魔法名を唱えると氷で出来た槍が、空中に出現し叡斗がそれをウォータードラゴンに向けて飛ばす。

氷の槍が巨大なオオサンショウウオ、ウォータードラゴンに刺さるとウォータードラゴンが凍結し苦しみの声を上げる暇も無くウォータードラゴンが氷像になる


凍結はウォータードラゴンだけに留まらずそのまま地面へと伝播し、近くにいた魔物も凍結して行く。

ウォータードラゴンから街の外側に向かって十数m円形に凍ってゆき、夥しい数の魔物の氷像が出来上がった所で地面の凍結が止まり、叡斗は凍った地面に手を当て

「アースクエイク!」

と唱えると、地面が波打ち揺れて、凍った地面が割れ、氷像の(ことごと)くが地割れに飲み込まれ光の粒子に変わって行く。

「もっと数を減らしとくか?」

叡斗が結界に守られた三銃士に尋ねるが答えが返ってこない。

三銃士は目の前で起こった事が現実と捉えられないのか、三人は直立不動で頬をつねっている。

「もういい!」


一文字を横薙ぎにスラッシュを街とは反対側に放つと、放射状に風の刃が飛んで行き、触れた魔物が上下に分かれて光の粒子に変わって行く。

「『魔力操作』のおかげか?威力が違いすぎるだろ危ねぇよ・・・」

頬から血が出そうなくらいに指に力を入れる三銃士の3人

「じゃ!後は任せたぞ?」

そう言って叡斗は北門へと入って行く


「あ・・・え・・・やるぞ!?」

「なんだよあれ・・・人間か?」

「【魔帝】・・・俺よりすご・・・すごすぎる」

三銃士が突然の出来事に意味がわからず、襲い掛かってくる魔物を撃退してゆく。










=======少し前のギルド本部=======

「報告します!北門魔物が到着!開戦しました!地上はウォーターリザードマン多数、空からはハーピィとグリフォンが多数です!数は数え切れない大群です!」

早馬が届く



「早いな・・・わかった!ご苦労!」

「南門!ゴブリン確認!今頃が開戦かと!」

「エイト君・・・大丈夫だろうね・・・」

「エイトなら大丈夫じゃねぇの?

「エイトちゃんだからねぇ!」

「あんた達!今回異例の速さでオーバーフローして、住民の避難も出来なかったから防衛失敗したら王都壊滅なんですよ!?」

お洒落な口ひげのダンディーな男ブルーノと赤髪の坊主のいかつい男バッケと老婆マリアンヌがテーブルに広がった街の地図を囲んで報告を受けていた。




「なんだ!?揺れたぞ?」

「エイトかな?」「エイトちゃんだろうさ!」

「一体何をしたら街が揺れるんだ・・・」

サンダーイラプションの揺れに狼狽するブルーノと達観の表情のバッケとマリアンヌ





「報告!北門が突破されました!地上からウォーターリザードマンなどが多数進入!三銃士はウォータードラゴンの相手をしています!」

「ウォーターリザードマンにウォータードラゴンだと!?」

「ガハハ!水の体だから物理攻撃が効かねぇし、魔法抵抗力も高い厄介なやつだな!?」

「バッケさん!笑い事じゃないですよ!我々の命もかかってるんですよ?」

「ブルーノ!エイトがいりゃ大丈夫だ!」

「そうそう!エイトちゃんは非常識だからやらかしてくれるさヒッヒッヒッ」

「マリアンヌさんまで・・・属性攻撃ができる冒険者を集めて三銃士がウォータードラゴンを倒すまで、北門の広場で魔物を抑えろ!」

「了解しました!」




「報告!ゴブリン殲滅完了です!隊長がイチャイチャしてたら雷の龍が現れたとの事!」

「はぁ????」

ブルーノが理解不能すぎて頓狂な声で言う


「ガハハ!あいつの常識外は成長してるみたいだな!」

「エイトちゃんさすがだねぇさっきの揺れはこれだね!ヒッヒッヒッ」

「なんなんだ・・・エイト君って・・・」




「報告!Sランカーエイトは北門にて謎の弓で空の魔物を約7割討伐しました!」

「謎の弓!?いや待てエイトと言ったか!?さっきまで南門にいたはずだぞ?見間違いではないのかね?」

「どう移動しかはわからんが、エイトだな!」

「エイトちゃんらしいねぇ、謎の弓って何を使ったんだろうねぇ?ヒッヒッヒッ」

ブルーノは意味がわからす、バッケは納得して、マリアンヌは楽しそうに笑う




「報告!北門から侵入した魔物は緑髪の美女が突如舞い降りて踊りだし、見惚れてたら魔物が全滅していたそうです!」

「・・・はぁ!??」

「メイサか・・・」

「メイサちゃんだろうねぇ!」

「なぜあなた方は平然としていられるんですか!?」

髪の乱れたブルーノが机を両手で机を叩きながら問う

「エイトとメイサは常識外れな奴らだからな。」

「エイトちゃんとメイサちゃんは非常識だからねぇ・・・」

バッケとマリアンヌが言う



「報告!突如地面が凍り、ウォータードラゴンとその一帯の魔物が氷像になって、直後に地震が起きて全ての氷像が地割れに飲まれたそうです!」

「・・・意味わからん・・・」

ブルーノが憔悴した顔で頭を掻き毟る

「エイトだな」「エイトちゃんだろうね」




「報告!Sランカーエイトが剣を振ったら地上の魔物の約7割が光に変わりました!」

「振っただけで!??・・・何を言ってんの?」

「申し訳ありません!私も分からなかったので聞いたのですが、現場の人間もそれが事実だ!と言うばかりでして・・・」

「エイト人間卒業だな。」

「あの子みたいなのが本当の超越者なんだろうねぇ・・・」

お洒落に決まっていた髪形がぐしゃぐしゃのブルーノが焦点のあってない目で建物の壁を見つめ、バッケとマリアンヌが遠い目をして言う。





「報告!三銃士の活躍により北門防衛成功しました!」

「あ、はい、ご苦労様」

焦点の合ってない目で伝令係りを労うブルーノ





「ベックさん!マリアンヌさん!エイト君とメイサ君は何者ですか!?」

我に返りブルーノが机から身を乗り出して聞く

「女神じゃない別の者による召喚人だ!メイサは獣人以外知らん!ガハハ」

「腕のいい錬金術師だよぉ?いい子さね!ヒッヒッヒッ」

「女神以外?錬金?意味がわからない!」

ブルーノが頭を掻き(むし)

「ガハハ!あいつと付き合うコツは深く考えんな!」

「良い事いうさね!面白い子だよぉ?ヒッヒッヒッ」

「なんなんだ・・・あれでSの鉄色とCランクだと?おかしい・・・おかしい・・・」


「おい!マリン!こいつブツブツ言ってるぞ?」

「マジメな子だからねぇ!本当に弱い子だよぉ!」

「おいブルーノ!街が助かったんだ!とりあえず喜べや!」

「その通りだよ!あんたとりあえず喜びなっ!」

「はっ!?そうだ!街は助かった!それが重要ですよね!」

バッケとマリアンヌの言葉にブルーノが縋るように賛同する


「これで明後日の会議は無事に開催だね?楽しみだねぇ!ヒッヒッヒッ」

「開催出来るな!エイトの二つ名どうなるだろうな?ガハハハ」

「あたしゃ【非常識】推すよ!」

「俺は【常識外れ】だ!」

「私は【理解不能】を推しますよ・・・」

戦闘の表現描写って難しいですね。

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