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〜32話〜カスミンの三つ目の顔と依頼

メタモルフォーゼスライム、メタスラの皮膜での特訓が始まった。

魔晶石と同じように魔素を注ぐと膨らみ、魔素を纏わせると属性によって様々な色が付く。


「まずは棒を作って少しずつ複雑な物に致しましょう。」

「どうやって棒の形にするの?」

叡斗が魔素を注ぐが風船のように膨らむばかりだ


「作りたい形を明確にイメージしてその形に魔素を循環させるのですわ」

「イメージ…循環…」

メタスライムの風船がグニャリと形を変え、いびつな湾曲した棒になる


「ではその棒に土属性の魔素を纏わせてみましょうか?」

「循環させながら、纏わせる・・・難しいな!」

棒が更にいびつに曲がり、所々がカラフルな土色に着色される。


叡斗が棒を見て難しい顔をしているとメイサが

「最初はこんな物でしょう。」

「これは何の特訓になるの?」

「今までの総合的な技術を磨いてますのよ?」

「難しいな…」

「ダーリンならすぐですわ!」




ちなみに前列のドラゴンアイズの面々はメイサに言われ、体内の魔素を循環させようと、静かに瞑想している。

ヘソの辺りの魔素を認識して循環させる事で『魔力操作』を会得できるらしい。

後から聞いた話だが、バッポ達のように魔素を纏った武器で殴るのが一番早いのだが、危険すぎて大昔になくなった訓練法らしい・・・メイサさん何を俺にやらせてるんですかね?







その後も平和に旅が続きカスミンの街へ着くと、門でバッポが何やら揉めている

「ですから、兄貴はお疲れなんで明日伺うように伝えますって!」

「緊急の指名依頼なんだ!頼むよ!」

叡斗が御者台に顔を出すと、バッポと門兵が言い合いをしていた


「バッポどうしたんだ?」

「兄貴!今すぐにギルドに来いって言うんですよ!」

「あなたがエイトさんですかな?緊急の指名依頼が来ておりまして御同行願えますかな?」

門番が丁寧にお辞儀をしてくる



「ですから兄貴は長旅でお疲れなんで今日は休ませてあげてください!」

「わかった、同行するよ。バッポは宿の手配を頼むよ!」

「兄貴ぃ・・・無理しないでくださいよ?」

「わかってるさ!」



叡斗とメイサは車を降りて門番に連れられ冒険者ギルドへ向かう

ギルドに入ると一直線にギルドマスターの部屋は通される。



「バッケ??」

バッケそっくりの筋骨隆々ないかついハゲのおっさんが立っていた

「俺はバッケの兄で、カスミン支部ギルドマスターのビッケだ!すまんな!急に呼び出しちまって!」

「そうですか・・・」

「お前が困難な依頼を受けてくれるって聞いちまってな!」

「はぁ・・・とりあえず座っても?」

「おっとすまんすまん!座ってくれ!」

叡斗とメイサは、やっぱり同じ建物で配置も同じだなと、思いながら3人がけのソファに座る


「それで?緊急依頼とは?」

「緊急じゃねんだがな?ゴーレム退治を頼みたいんだ!」

「は?緊急って言われて無理矢理連れてこられましたよ?」

「バッケが気に入ったヤツを見たくてな!ガハハハ」

快活に笑うビッケ、バッケそっくりのウザさだ



「もういい!早く依頼内容聞かせろ!」

対応はバッケと同じでいいかと開き直る叡斗

「5年程前にゴーレムが大量発生して廃坑になった鉱山がある、そこのゴーレムを退治して欲しい」

突然真面目な顔になるビッケ



「廃坑になるくらいにゴーレムは強いのか?」

「奥に特別個体のミスリルゴーレムがいてな!そいつが厄介なのよ!」

「ミスリルゴーレムか」

「あぁ、他にも鉄と黒曜石のゴーレムも確認されている」

「報酬は?」

「金貨50枚だ!ゴーレムの素材代は別に出るぞ!」


メイサを見ると難しそうな顔をしている

「どうした?」

「ミスリルゴーレムは、ダーリンでも相応の準備が必要ですわね・・・」

「なるほど、ビッケ?準備が出来てからでいいか?」

「いいぞ!いつでも言ってくれ!」

「あとこの街は鍛冶の街とも聞いたが、街一番の鍛冶屋を教えてくれ」

「なら変わり者だが、ザギオンの所だな!場所教えてやるから行ってみろ!」

「ありがとさん!」




ギルドから出てザギオンの鍛冶屋への道中

「メイサ?相応の準備って何するの?」

「私は少し調べ物を致しますので、ダーリンは武器のハンマーを作ってくださる?」

「ハンマー?」

「ゴーレムは切るよりも叩き壊す方が有効なはずですの」

「なるほど!じゃあ明日試したい事もあるし作ってみるよ!」

「ダーリンの魔素で覆えばまず問題無いと思いますが丈夫な物が好ましいですわね。」

「わかった!」


街行く人々がメイサを見て振り返るが、慣れた叡斗とメイサは気付かず話しながら街を進んで行く。




叡斗とメイサは一軒のあばら家の前で止まる

「ここだよな?ビッケの教えてくれた店って」

「間違いなくここですわ。」

ぼろぼろで看板も無く店どころか人が住んでるようにも見えない。


メイサに間違えでは無い事を確認してあばら家に足を踏み入れる、中に入るとカウンターがあり、刀が何点か飾られている

「こんちわー!!」

「なんだぁ?」

カウンターの奥で寝ていたのだろう、ヒョッコリと帽子を目深に被り、残りの皮膚は髭で覆われている顔が現れた。


「刀を作って欲しいんですけどー!」

「刀だぁ??」

叡斗の足の先から頭の先まで値踏みするように見て

「やめとけやめとけ、刀なんて折れやすいしお前じゃ扱いきれねぇよ!」

そう言って手を振りながらカウンターの下へ消える



叡斗は腰に差しているオリハルコンの剣をカウンターに置いて、

「これを刀にして欲しいんだが?」

「あぁ?・・・これは!??」

カウンターから顔を出したザギオンらしき人物が剣を見ると帽子と髭の間にある目が見開いた

「出来るか?」

「この剣を鋳造するんだな?」

「そうだ!出来るか?」

「お前・・・召喚人か?」

「おう、だから故郷の剣が欲しいんだ!」

「日本刀か!久々に本気だすか、炉をオリハルコン用に改良だな・・・金貨100枚は掛かるぞ?」

「任せた!金は今出した方がいいか?」

「いや!出来てからでいい!3日後にまた来なっ!」

そう言って、叡斗の剣を掴み店の奥へ消えるザギオンらしき人



「ダーリン?刀ならダーリン作れませんの?」

ビッケに聞いた宿への道中でメイサが聞いてくる

「ロングソードは構造が単純だからか、なんとか作れたんだけど、日本刀は作っても全く切れないしすぐに折れちゃうんだよ・・・」

「『創造魔法』でもダメですの?」

「あぁダメだった・・・」

「ならあのお髭の方が作れたらいいですわね!」

「あぁ!楽しみだ」

2人は和やかに見知らぬイチャイチャと街を歩いて行く



宿に着き、表で待っていたバッポと共に食堂に入ると、すでにドラゴンアイズとカイジンが宴会を始めていた。



叡智とメイサも席に着き宴会に参加する

用意された酒を飲むと、荒くれの鉱山夫の街らしく、酒精のきついウィスキーの様な味の酒だった。


「エイト!依頼は何だったんだ?急ぎか?」

「そんな急ぎじゃなかったから3日くらい準備するつもりだよ」

「そうか!なら俺達は明日色街に行ってくるとするぜ!」

「色街だと??」

「この街は3つの顔があってな!3個目が荒くれ者の鉱山夫のオアシス色街カスミンだ!」

「なるぼど納得だな!」

「って言ってもエイトにはメイサがいるから関係ねぇか!俺達は寂しさを癒して貰うとするぜ!」

ベックがからかってきて、メイサがポツリと呟く


「私生娘ですわよ?」

全員が会話をやめ、叡斗を見る

「色々事情があんだよ!!」

「私サキュバスの血が少々入ってまして、まだ力をコントロールしきれませんの…」

「って事は、おっぱじめたら…」

「ダーリンを殺してしまうやも、分かりませんのよ・・・」

ベックの下世話な問いにメイサが目を伏せ悔しそうに答える



「という訳でダーリン?」

「ん?」

「色街に行かれてはいかがですか?」

「はい?」

「あのエルフはダメですが、相手が商売人なら…いいですわよ…」

渋々といった様子でメイサが言ってくる、ライラが怒るかと思ったが何やらブツブツと考え込んでいる

「まぁ考えとくよ!」

「じゃあ明日俺達が出発する時は一応声かけるな!」

「お?あぁ・・・」

ベックの言葉に、曖昧にしか返事が出来ない叡斗だった



その後メイサは酒精の強い酒を一心不乱に飲み続け、叡斗に絡む事なく潰れた。

叡斗はそれを見て

「ベック…お誘いはありがたいが、今回はやめとくよ!」

と耳打ちし、ベックもメイサを見て優しく頷く


「じゃあ金置いとくから!」

そう言ってメイサをお姫様抱っこして、部屋に戻り、久々に普通に寝る叡斗だった。








目覚めるとメイサが真顔で何も言わずにジッと俺を見ていた

「おはよう、どうしたの?」

「いえ、何も。」

真顔のまま視線を外さず答えるメイサ、叡斗は微笑みメイサと唇を合わせ

「今日は2人で何しようか?」

叡斗が問うが、言葉の意味を理解できず唖然とするメイサ



「メイサ?」

叡斗が呼ぶと、メイサは泣きそうな表情で

「私の事は気にせず、お行きになればいいのですよ?」

叡斗は何も言わずにメイサをギュッと抱きしめる、瞬間扉が開け放たれ誰かが部屋に入ってきた。


「誰だ!」

叡斗が扉へと向き直ると、外套を羽織ったライラが立っていた

「よかったぁ、まだ出発してなかったんですねぇ?」

ライラが安心した表情をして外套を脱ぐと、上下黒の下着姿だった。

端正に整った顔立ちでスタイルも引き締まった体に主張しすぎないがしっかりとある胸とお尻、メイサとは違った色気がある。



「私商売女ですぅ!買いませんかぁ?」

ベッドに両手を突き、叡斗に胸の谷間を強調しながら言うライラ

「何を言ってんの?」

「これは…逆に…そうね」

後ろでメイサが何やらブツブツと言ってる


「エイトさんなら銀貨1枚ですよぅ!」

「安っ!」

日本円で約千円だ

「ダーリン丁度いいのでは無いですか?」

「え?」

メイサがベッドから立ち上がり、備え付けの椅子に腰掛ける

「ライラさん!あなたを買います、どうぞダーリンのお相手をなさって上げて下さい!」


ライラは驚くがすぐにニタァっといやらしい笑みを浮かべ、ベッドで寝転ぶ叡斗の上に四つん這いで這い寄る。

「ライラ?ちょっと待とうか!」

「買われたから待ちませんよぅ!」

そう言っていやらしい腰付きで叡斗に馬乗りになる


「ふむふむ、こういうのが興奮されるのですね…」

メイサが真剣な面持ちでメモをとっている


「メイサさん?なんでいるんですかぁ?」

「後学のために見学ですわよ?」

「え?」

ライラが顔を真っ赤にして言葉に詰まる

「あ!勉強料として私の代金もお支払いしますわよ?1人の相手で2人分のお値段、商売女さん悪い話ではないでしょう?」

「え・・・」

ライラは目をぱちくりさせながら百面相になり、すばやい動作でベッドから立ち上がり

「アイルビーバックですぅぅぅぅ!!」

部屋から飛び出していく、外套を置いて下着姿で。



「ちっ!貴重なお勉強の機会が・・・」

「メイサこれは何もしないよりもキツイよ・・・」

「なら私が続きを!」

鼻息を荒くしたメイサが迫ってくる

「それじゃ興奮しないな・・・勉強がんばってね。」

「はい」

わかりやすくシュンとしおらしくなるメイサ

「で?ダーリンは今日は何をされるのかしら?」

四つんばいになり叡斗に詰め寄る、谷間が強調されて非常にエロい

「今のこの角度興奮するね!」

すぐに自分の状況を確認してメモをとるメイサ、真面目である。



「今日はハンマー作るくらいかな?メイサは?」

「私は今日は、ダーリンが出かけてる間に図書館に行こうかと思ってましたの」

「ならハンマー作ったら付いていくよ!普段メイサが何してるのか知りたいし!」

「それならば、早速ハンマーを作って朝食に致しましょう!」

メイサに急かされ、『創造魔法』の準備をする叡斗。


「材料はこちら!メイサが魔王城から持ってきた武具の成れの果てと・・・土の魔石です!」

「土の魔石ですの?」

「これを使えば属性武器作れないかな?って思って」


叡斗はまずメイサによって宝玉を取り去られた武具を魔力成型で一塊の合金のインゴットに変えて、魔石と魔玉を上に乗せて『創造魔法』を発動させる。

光が収まると全金属製の柄が1m程の戦槌が出来ていた



<大地の槌>

鉱物に対して威力大上昇。魔力を流すと魔力量に応じたアースクエイクの効果を付与。



柄に滑り止めの皮を巻きつけながらメイサに質問する

「メイサ?アースクエイクってどんな魔法?」

「アースクエイクでしたら、地震を起こす上級魔法ですわよ?」

「この武器は魔素を流すとそれを付与だって」

「魔物にアースクエイクすると、どうなるか想像出来ませんわね・・・」

「鉱物特効だしゴーレム相手には十分だよね?」

「問題ないと思いますわ。」

「じゃあ朝食食べて、図書館に行こっか?」

「はい!」




手を繋いで食堂へ向かうバカップル。

マジックウェポンがこの世界ではどれほどの価値なのか、叡斗が知るのはもう少し先である。

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