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~24話~魔導具職人になる

叡斗が1人で店で商品を物色し、カウンターに座る白髪混じりの男性に平べったい板のような物を渡す

「おっちゃんこれ頂戴」

「魔導コンロか金貨100枚だよ」


メイサは用事があると行って朝一で出て行ったので、今は別行動で叡斗は魔導具屋に来ていた。

目当ては魔導コンロ、前回ライラと来た時に見つけてたのだが、金貨100枚とお高く買えなかった。


じゃらりと金貨100枚入りの皮袋をカウンターに置く、前日のうちに数えて分けておいた。

「はい!数えてね!」

「あんたこんな高価なもん、物好きだね」

「これはなんでこんなに高いんだ?」

「ここに赤い石が付いてるだろう?これが高いんだ!他の魔鉄なんてオマケみたいな物だからな」


買う目的は勿論魔導具の構造を知れれば、俺の『創造魔法』でもっといい物が作れるんじゃ無いかと、いう目論見である。



「なるほど、魔鉄って?」

「魔力の篭った鉄だ、魔力が通りやすいんだ」

「そんな物があるのか、魔力の回路は・・・」

「それは分からねえ、錬金ギルドに行きゃ教えてくれるかもな!」

「なるほど!あ!あと魔晶石って売ってる?」

「お前さんは変わりもんだな、どれだけ欲しいんだ?」

「いくらくらいすんの?」

「一個銅貨50枚だ!」

「一個の大きさがわかんねーよ!これくらいの大きさの魔晶石をあるだけくれ!」

そう言って、京平に渡された魔晶石の大きさを手で形を縁取って伝える



「ちょっと待ってろ!」

そう言って奥の扉に入り、箱に一杯の魔晶石を抱えて戻ってくる、箱の中には京平から渡されたサイズの魔晶石が100個は入っている


「なんで都合よくこのサイズの魔晶石がこんなに?」

「これを半年くらい身につけてると、持ち主の魔力によってそれぞれ違う模様が付くんだ、だから子供に持たせて魔法適性を調べるために使うんだよ」

「え?魔石作りに使わないの?」


「魔石だと??んなもん作れる人間なんざ、伝説の錬金術師くらいのもんだよ!」

「そうなのか!?まぁいいや!これ全部頂戴!」

「魔導コンロも買って貰ったし、銀貨50枚でいいぞ!」


銀貨を10枚づつ5列カウンターに重ね、箱ごとマジックバッグに仕舞う

「おっちゃん色々ありがとね!錬金ギルドに行って見るよ!」

「おう!また来いよ!」







錬金ギルドの場所は冒険者ギルドの二件隣の建物だから迷うことはない。

建物には、ビーカーに棒が差し込まれた、絵柄の看板が付いている、それ以外は冒険者ギルドと変わりはない。


中に入ると目の前がカウンターで、周りは一面壁に覆われカウンター以外に見える物は扉が2つだけ、やけに狭く感じる空間だった

カウンターには、両端が吊り上がった眼鏡をかける、三角帽子が似合う気が強そうな老婆が座っている。


「何キョロキョロしてんだい?用があるんなら早くおしっ!」

強そうではなく、強い老婆だった

「はい!魔導コンロの構造を知りたくて」

と、魔導コンロを取り出しカウンターに置く




老婆は叡斗を品定めするように叡斗を舐めるように見る

「構造を知ってどうするつもりだい?」

「俺は『錬金術』使えるから作れるようなら、自分用に作りたいなって思いまして」

「レベル1じゃ話になんないよ?鉱物の魔力成型は出来んのかい?」


それなら何回か剣を作ったことがある

「なまくらでいいなら剣を作れます」

「教えてあげてもいいけど、あいにく魔石の在庫がきれててね無理だね!」

「魔石があればいいんですか?」

俺はニヤリと作った魔石を老婆に見せる


「な!なんだい!?その大きさは!?純度も高いねぇ!」

バンッ!とカウンターに手を突いて立ち上がり前のめる老婆


「あんた面白い子だねぇ!付いてきなっ!」

老婆がカウンターから出て、カウンターの隣にある扉を開けて入っていくので、付いていく


「婆さんここは・・・」

扉を抜けると、幅1m程の廊下が伸びていて、左右の壁はガラス張りになっていて、研究室の様な雑多な物に囲まれて実験する人たちが見える

「錬金室さねっ!あんたはこっちだよ!」

老婆は歳を感じさせない速度で奥へ歩いていき、突き当たりの部屋に入っていく



「なんだ?ここ?」

部屋に入ると真ん中に作業台があり、作業台を取り囲む様に様々な工具と思わしきものが乱雑に置かれている部屋だった。



「さて、と!魔導具を作りたいんだったね?」

「俺でも作れますか?」

「魔石と魔鉄に『錬金術』あれば作るだけなら、子供でも作れるさね!」

「え?そんな簡単な構造なんですか?」


老婆は鉄のインゴットを作業台に乗せ、金属成型で薄い正方形の板にする。

板には円形に突起が6本ならびその上に3cm程のの窪みがある。


「ここにさっきの魔石を置いて魔力を流してみな!」

と窪みを指差すので、魔石を置いて魔素を流して見ると、円形の突起の中央から天井に届きそうなくらいの火柱が上がり、驚いて手を離すと火が止まる

「馬鹿みたいな魔力を流すんじゃないよ!」

「ごめんなさい」

「全く!これが魔導具さね!」

「こんな簡単な物なんですか?」

「魔石の魔力を魔鉄に流して、どこかに穴を設定して空けてやれば、そこから魔法が吹き出す、魔導コンロの構造さね!」

「簡単だ!」


「作るだけならね?」

ニヤリと笑う老婆


「と言うと?」

「今のあんたみたいに使う人の魔力に応じて作らないと、さっきみたいに暴走するさねっ!」

「なるほど!」

「魔石の純度、大きさに使用者の魔力量そして、それらを用途に合わせて調整するのが一番重要さねっ!」



魔道具屋で買ったコンロを取り出して

「じゃあこのコンロも調節がいるんですか?」

「これは・・・ここを見るさね」

1cm角ほどの赤い魔石を指差す


「ん?よく見ると魔石の周りが白い?」

「これは妨害石って言う石で、これが魔力を調整してるから、魔力を多く流しても妨害して必要量しか流れない様に調整してるさねっ!」

「リミッターか!なるほど・・・単純だが面白いな!」


老婆はニヤリと笑い

「その魔石をうちに売ってくれるんなら、この部屋の物は全部好きに使っていいよ?」

「いくらで買う?」

「部屋と材料の使用料込みだからね、金貨50枚でどうさね?」

「いいよ!」

魔石を老婆に渡す


「取引成立さね!最後に出来上がった物は見せるんだよ?」

「いいけど、魔石の出所は企業秘密だからな?」

「わかったさね!金は帰るまでに用意しとくから、帰る時は声かけなっ!」

そう言って老婆は魔石を眺めながら部屋から出て行く。




「よしっ!」叡斗は気合を入れ直し、マジックバッグから魔晶石を箱ごと取り出し、魔石を作っていく。







何時間も作業に没頭した叡斗

「今作れる物は大体できたかな?」

叡斗は作業部屋を出て受付に向かう


「婆ちゃん!」

魔石をトロンと蕩けた表情で見つめる老婆に声をかける

「やっと、終わったのかい?」

「面白くて熱中しちゃってね!」

「なら見せてもらおうかね!楽しみさねっ!ヒッヒッヒッ」


魔女みたいに笑う老婆と作業部屋に戻る叡斗

作業台には、3つの魔導具が置いてある。

他にも作っているのだが、説明が簡単でわかりやすい物だけを残して、他は全部、叡斗の空納に仕舞っている。



「これはコンロさね?なんだい?このツマミは」

3口の魔導コンロを舐めるように全方位から漏らす事なく見ながらいう老婆


「魔力を流しながらツマミをひねってみなよ?」

「な!??火力が調節できるのかい!?たまげたね!」




鉄の板に魔鉄を回路みたいに通して、その途中に妨害石をツマミで動くようにセットしてみたら、上手くいったのである。



老婆は次に筒に取っ手がついた魔導具を触る

「この筒はなんだい?」

「取っ手の付け根のトリガーを引いてみな?」

「風が出るね・・・何に使うんだい?」

「風呂上がりに髪を乾かすのに使うんだよ」


ドライヤーである。

「面白い事を考える子だねぇ!じゃあこの箱は何さね?」

「氷の魔導具で冷やした空気を、風の魔導具で箱の中を循環させる魔導具だよ」

「魔石2個も使ってるのかい??贅沢な話さねっ!」


冷蔵庫だ、本当は常に稼働するように無属性の魔石もついてるので、3個使用しているが、余計なことは言わない方がよさそうなので、何も言わない。



『創造魔法』が何属性か気になったので、『創造魔法』で使う魔素で魔石を作ったら、無属性の光る透明な魔石が出来た。

これをセットすると、属性魔石が稼働するための、魔素を放出してくれるみたいだ。



「この3個を王へ献上すれば一生遊んで暮らせるさねっ!」

「俺はそういうの興味ないから!婆ちゃんは俺を売ったりしないよね?」

「条件次第さね!風の出る筒が欲しいねぇヒッヒッヒッ」


ドライヤーに目を付けるとは…婆さんも女だな!

「しょうがねぇな!ほら!」

ドライヤーを渡す叡斗

「あたしゃ物忘れが激しいから今日何したか全部忘れちまったよ、ヒッヒッヒッ」



「婆ちゃん今日は本当にありがとうね!」

「待ちな!」

部屋から出ようとすると老婆が呼び止める

「これが約束の金貨と、ギルドカード作ってやったから持っときなっ!」

老婆が皮袋とカードを差し出す


「あれ?カードに名前が入ってる?名乗ってないのになんで?」

「Sランクになった、エイトさんだろ?非常識だって有名だからね!」

「バレてたのか、まぁ隠してはなかったけども」

「このカードがあれば、他の街の錬金ギルドでも、錬金室を貸してもらえるさね!あとあたしゃ、婆ちゃんじゃなくてマリアンヌだよ!マリンと呼びな!」

「マリン婆ちゃんありがとうね!」

「婆ちゃんは余計さねっ!」


叡斗はマリアンヌに手を振って、錬金ギルドを後にする




外に出ると、日は暮れ辺りは暗くなりだしていたので、寄り道せずに宿に戻る。

メイサが部屋で待っていたので、とりあえず食堂でご飯を食べる事にする。



食堂に入ると

「エイト!ここ空いてるぞ!」

「エイトさーん!ここですよぅ!」

手を振るベックと自分の隣の席を叩いて呼ぶライラ周りにはドラゴンアイズの面々とバッポ。


「げっ!」

メイサがフードを取り、明らかに嫌そうな顔をしている。

「メイサ…『呪魔法』は禁止だよ?」

「わかっておりますわ!」



「こそこそ喋ってないで、早く来いよ!その美人の事も聞きたいしなぁ!」

快活に笑いながらベックが言う


ドラゴンアイズの面々が座っていた6人掛けのテーブルに2人掛けのテーブルをくっ付けて、リュート・ベック・バッポの順番に並んで座り、対面にマリア・ターニャ・ライラの順番に座っている、合コンか?


ライラから離れるのが怖いのでバッポをライラの隣に移動させ、リュート・ベック・叡斗・メイサの順番で座る。

ブツブツ言いながら移動したバッポは隣にライラ、正面にメイサとなり、「兄貴ありがとう」と呟いていた。




「エイトさんその女は何ですかぁ??」

隣がバッポになり、露骨に嫌な顔をしたライラが尋ねる

「色々あってな!俺の相棒のメイサだ!」

ドラゴンアイズの面々に紹介する。


ベックとリュートはニヨニヨして、マリアとターニャはチョーカーに気付いてヒソヒソと話している。


「その人は奴隷なんですかぁ?」

「俺がそう言うのに疎くて・・・知らずにプレゼントしちゃってね・・・奴隷じゃないよ!」


「ダーリンの正妻のメイサです、よろしくお願い致しますわ」

メイサは勝ち誇った顔をライラに向けつつ挨拶をする



「バクダン追加でぇ!」

「おっ!宴会だな!?バクダン8つだぁ!」

ライラが店員に叫びベックが宴会にする。



店員に聞くと、バクダンとは火吹酒と呼ばれる酒精が、べらぼうに高いお安めの冒険者御用達の酒にワインや蜂蜜を入れて飲みやすくした物で飲みやすいからと飲んでいると、爆発したように酔っ払う酒らしい。



30分もするといつも通りにカオスである。

いつの間にかベックの場所にライラが座り、叡斗の腕に絡んでいる

「あらた!ダーリンにたいふぃてふけーれすわよ!」(訳:あなた!ダーリンに対して不敬ですわよ!)

そう言って、腕を組んでるライラを指差すが・・・ライラはトロンとした目で見当違いの空間を指している


「エイトさん!正妻って本当ですかぁ?」

上目遣いで聞くライラ

「ふん!こりぇをごりゃんなはい!ちはいのゆびわれすのよ」(訳:これをご覧なさい!誓いの指輪ですのよ)

そう言って、左手のを前に突き出し、胸を張るメイサ



「師匠の指輪・・・オリハルコン?」

「まさかぁ!そんなはずないって」

「でも金の色じゃないっすね?」

「エイトならわかんねーぞ!」

「兄貴っすからね・・・」

コソコソと話すドラゴンアイズとバッポ



「ぐぅぅぅぅぅ!エイトさん王都行くそうですねぇ?」

悔しそうにしていたライラが突然笑顔で聞いてくる

「え?行くけどどしたの?」

「リーダー!そろそろ私達も次の街に行きましょうよぉー!」

「ガハハハハ!ライラ!そんな急には無理だ!」

「んぐぅぅぅぅっ!」

可愛く頬を膨らまして怒るライラ、その時叡斗の隣からゴンッ!と音がする、振り向くと


「今日もかよ・・・」

ライラが笑顔で机に突っ伏していた

「俺達はこの辺で失礼するよ!金置いとくな!」

銀貨20枚を置いて、メイサをお姫様抱っこして食堂を後にする叡斗。



「あんな美人抱いて、ライラに焼きもちやかれるなんて羨ましいかぎりじゃねーか!ガハハハハ」

その言葉に怨嗟の表情で同意して頷く食堂の客達、この後メイサファンクラブとライラ応援隊が結成すのだが、叡斗が知るのはまだまだ先の話である。

メイサファンクラブの合言葉はエイトモゲロです。

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