〜15話〜俺の常識外魔法
頭が痛い、飲みすぎた。
試しに自分にエクストラヒールを唱えると、治った。
昨日の体調不良は治らなかったんだけどな・・・
と思いつつ、宿の食堂に行くとドラゴンアイズがみんなで朝食を食べていた。
ベックが手を上げて
「エイトこっちだっ!」
と呼んでくれたので、遠慮せずに一緒の机に座らせてもらい、店員に朝食セットを注文する。
「ライラは昨日あの後大丈夫だった?」
「はい・・・部屋に戻った途端に体調が戻りましたぁ・・・」
俯いたまま返事をしてくる、顔が真っ赤だ。
「俺も一緒だ、体調が戻ったら腹が減ってたから、ベック達と飲んだけど、体調は崩れなかったし、なんだったんだろうね?」
本当になんだったんだろうか?
それに関係無いだろうけど、異性と話していると視線を感じる時があるんだよな。
周りに感知をかけても、視線の正体は掴めないし・・・『危険感知』にも反応無いから大丈夫なんだろうけど、いい気分はしない。
朝食セット(パンとスープとフルーツ)を食べ終わるとベックが
「そうだ!これが分配金と預かったマジックバックだ!」
そう言って、皮袋を2つとマジックバックを机の上に載せる
「こんなに?」
「金貨11枚と銀貨35枚だ!詳細は・・・」
「リザルトはいい!信用してるからいいよ!」
「でもよー、よかったのか?モンスターハウスの分も全部合わせて6等分で」
「いいよ。そんなキッチリキッチリ分けてたら肩が凝るだろ?それに俺も色々と教えてもらったしな!」
そう言って金貨と銀貨の袋をマジックバックに入れてマジックバックを腰に装着する。
「エイトはこれからどうするんだ?」
「とりあえず、近くに高ランクダンジョンがあるらしいからそこを踏破してから、旅に出ようと思ってる。」
「やはり「ドラゴンの塔」に行くのか・・・」
「ドラゴンがいるのか・・・楽しみだな!」
「楽しみかよ!ドラゴンつってもリザードマンとかの爬虫類系の魔物が多いダンジョンのはずだぞ!」
「なるほど・・・今日はゆっくりして、明日か明後日にでも出発するかな?」
「そうか!エイトさえよけりゃパーティーをと思ったが、レベルが違いすぎるもんな・・・」
「すまない・・・俺の旅に巻き込む訳にはいかない・・・」
「そうか!なら今日は改めて祝杯するから夜はここで集合だぞ!」
「わかった!今日はゆっくりと観光でもするよ。」
そう言って立ち上がると
「師匠!昼ご飯の後にでも魔法を見せて欲しいです!」
ダーニャが頭を押さえながら言ってきた
「俺の魔法見ても楽しくないだろうに・・・」
「いえ!ダンジョンで見たこと無い魔法に、ファイアーボールの見た事無い使い方・・・ご教授お願いしたいです!」
「教えれるかわからんが、俺も色々魔法の事教えてもらいたいし・・・いいよ!」
「じゃあ昼ご飯・・・13時に東門で待ってます!」
おう!っと声を掛けてメグミ亭を出ると、ライラがいきなり飛びついて
「じゃあお昼まで、街を案内しますよぉ!」
と言って、腕を組んできた、呆気に取られた俺は
「え?あ?・・・じゃあお願いします。」
っと気の抜けた返事をするしかなかった。
まったりと街を二人で歩きながら、魔道具屋とか武器屋に連れて行ってもらったり、冒険に必要な物を教えて貰いつつ買物を楽しんで、ライラお勧めのメグミンパスタ(烏賊や貝の具沢山シーフードパスタだった)を食べて、デートを楽しんでから、二人で東門へ向かうと、ターニャとマリアが待っていた。
こっちに開けた場所があるんですよ!っとターニャに案内してもらい10分ほどで東の森の近くの開けた平野に着いた。
「で?俺は何をしたらいいのかな?」
「とりあえず料理の時のファイアーボールを見せて欲しいです!」
20cmくらいのファイアーボールってよりは爆発もしないし、ただの火の玉なんだけどな・・・を出して、自分の周りを2周ほどさせて、右手を軽く前に突き出し、人差し指を空に向けて、その上に火の玉を滞空させる。
3人は同様に口を空けて、呆けた表情で火の玉を眼で追っている。
ターニャが我に返り
「師匠!これどうやってるんですか??」
「どうって・・・イメージしたら動いてくれるんだけど・・・普通じゃないの?」
「普通じゃないですね!無詠唱ですし!」
確かに『無詠唱』スキルは持っている、だけどそれを盗る前からイメージしたら魔法が出てたんだけどな・・・
「じゃあ普通のファイアーボールを見せてくれるか?」
「了解です!」
そういってゴニョゴニョと詠唱を始めて、両手の平を前へ突き出し
「ファイアーボール!」
っと唱えると、30cmくらいの火の玉が飛んで行き、50mくらい先の地面に当たり、爆発した。
「それを止まる・・・のは危ないから、曲がっるイメージをしながら撃ってみたらどうなる?」
ターニャが撃つと、今度は大きくカーブをして地面に当たって爆発する。
「じゃあ次は爆発せずに、当たったら火が広がるイメージをしてみたら?」
今度は地面に当たると、ボゥッっと落下地点を中心に10mくらいまで燃え上がる。
「次は心の中で唱えたら?」
ターニャの突き出した両手の平の前に10cmくらいの火の玉が現れて飛んでいく。
3人が驚愕の表情で、突然円陣を組み、ヒソヒソと「無詠唱?」「無詠唱だぁ」「無詠唱ね」と言い出したので、咳払いをして話を進める
「オホン!詠唱すれば出るんじゃなくて、詠唱は足りないイメージを補填してるのかもな?だから俺は火の発生までの過程とかをイメージしてるから、無詠唱で魔法が使えるんじゃないか?」
3人は、頭が取れるんじゃないかと思うくらいに高速で頷く・・・今考えた当てずっぽうだからわかんないよ?って言いたいけど言える雰囲気じゃないな。
その後もイメージのコツを教えた。
ターニャには、火が起きる原理を教えたりして
マリアには、治癒魔法で傷はどう治るのかっと
ライラには・・・ライラ魔法使ってるの見た事無い。
原理も人体構造も素人もいいとこ、のはずなんだけど、この世界の知識では、かなり詳しい方っぽい。
あとターニャの詠唱を教えてもらってファイアーボールを撃ってみる、両手の平を前に突き出し、詠唱を終えて、ファイアーボールと唱えると強制的に魔素がに前に出した手の平の前に移動して、1mくらいの火の玉が出現して、森の方向へ飛んでいく。いつも使う初級魔法の倍以上の魔素を持ってかれた。
「・・・でかくね?」
「初級魔法じゃないですね・・・師匠ちゃんと詠唱しました?」
「間違えてない・・・はずだよ?」
瞬間、森の中でバゴーン!!轟音の後に大爆発が起こり地面が揺れる、3人が尻餅を付く、俺は唖然として立ち尽くす。
数秒の後、ターニャが我に返り
「師匠!火事が!!!」
「お・・・おう!」
両手を天にかざし、15mくらいの特大のウォーターボールを頭上に出現させ、火事の上だろうと思う場所へ移動させ、破裂させる。
「師匠・・・雨魔法ですか?」
「ウォーターボールだ」
「あんなウォーターボール見た事ありません。」
「鎮火したな!よかったよかった!」
「あれだけの豪雨ですから、鎮火したでしょう。」
ホッと胸を撫で下ろしていると、3人がまた円陣を組み、ヒソヒソと、「常識外」「ちょっと漏れたぁ」「非常識人」
聞こえてるからね!?それ!ライラ漏らしちゃったの!??
火事の鎮火も済んだしいい時間なので、逃げるようにその場離れて、わざわざ北門まで回り込んで、メグミ亭へ向かった小心者一行。
メグミ亭に入ると、ライラが急いで部屋に戻って行ったけど、俺は何も聞こえなかったし、今もライラがいなくなった事には気付いてない。
気付いてないったら気付いてない。
さぁ!祝勝会だっ!




