~94話~鬼ごっことヨハンの隠密の誕生
ハオの名前を原案変更せずに載せてしまっていました。
混乱した方もいらっしゃると思います、申し訳ありませんでした。
叡斗がバイクを作業場に戻して、メイサと食事を再開する
「ダーリン?フェイは反省してましたか?」
「かなり深く反省してたと思うよ?」
「ちゃんと腕を治して上げましたの?」
「治して、新しい転移石を渡しておいたよ?」
「転移石まで!?そこまでは言ってませんわ!」
「治せとも言われてないけど?」
「ダーリンは甘すぎますわ!」
「まぁまぁ・・・反省してたし大丈夫でしょ?」
「ならもう何も言いませんわ・・・で?昼からの特訓は何をしますの?」
「鬼ごっこかな?」
「鬼ごっこ?」
「後で説明するよ!」
「ふむ・・・」
すき焼きを堪能して、朝缶蹴りならぬ棒抜きをした場所にメイサと一緒に全員で訪れる。
「では昼からは個人戦だ!俺とメイサからひたすら逃げてもらう!」
「それだけですか?」
「逃げてもよし、隠れてもよし、反撃してもよし何でもありだ!」
「制限時間は?」
「約1時間!この砂時計が落ちきったら終了!捕まった人間はここに座ること!」
叡斗が巨大な砂時計を空納から取り出して結界を張る
「生き残ったら・・・どうしよっか?」
「ダーリン手作りのマジックアイテムなどでよろしいのでは?」
「よし!武器でもアクセサリーでも要望に出来る限り応えるぞ!」
「すごい・・・ではエイト様!逃走範囲はどこまで?」
「さすがカイル抜け目がないな?この砂時計が落ちきったら空にファイアーボールを打ち上げるから、それから10分以内にここの戻ってこれればどこまででもいいぞ!」
「なるほど・・・」
「あと村の中や一般人を巻き込む場所は禁止!じゃあ5分後に動き出すからそれまで各自逃げるなり好きに過ごしてね!」
叡斗がそう言って巨大な砂時計をひっくり返し、カイル達が四方に散らばって行く。
「ダーリン?本気で行きますの?」
「あいつらは攻めるのは得意だがこういうのは苦手だからな・・・」
「ではゆっくりと時間をかけて追い詰めて行きましょう。」
「最初の30分は遊ぼうかな?」
「そうですわね!」
「さて!5分経ったから開始の合図だ!」
叡斗が空にファイアーボールを打ち上げると同時に、2人の鬼が動き始める。
「そこ!それで隠れたつもりか!?今すぐに逃げるならチャンスをやる!」
叡斗が地面に向かって言うと、地面がもこもこと盛り上がりソフィアが顔を出す。
「なんでばれたのでしょう・・・」
「一発目で古参のソフィアかよ・・・先が思いやられるな・・・」
叡斗が次々と気配を殺して潜む奴隷達を見つけては指摘して逃がして行く。
「チュートリアル終了だ!みんな行くぞ?」
叡斗が宣言して、『魔力感知』の反応に向かって行き、片っ端から殴り飛ばして行く
「あと10分ですわね?」
「あと捕まってないのは誰だ?」
「カイルと・・・ハオとソフィアですわね?」
「ほほぅ!さすがはリーダーと副リーダーに元隠密だな!」
「ではラスト10分本気出しますわよ?」
「だな!誰か砂時計が落ちきったら合図してね?」
そう言うと叡斗とメイサが一瞬でいなくなる。
「ここらへんがあいつらの10分で駆けつける限界かな?」
叡斗が砂時計から一直線に離れて行き、大体の目算で見当を付けて、砂時計を中心に円を描くように索敵を始める。
「見つけた!」
「え?嘘?なんでこんな所まで!?」
ソフィアが目晦ましのファイアーボールを走る叡斗に連発するが、叡斗は意に介さずに一直線にソフィアに向かって行きそのまま殴り飛ばす。
「ソフィアアウト!砂時計まで戻ってな?」
「・・・はい。」
「さて!最後の手を使うか・・・」
叡斗が集中して『魔力感知』を限界まで広げる
「ハオは・・・メイサに任せればよさそうだな・・・カイル遠すぎないか?」
砂時計から更に倍離れた場所からカイルであろう反応があるので、『縮地』を使いつつ全速力でカイルの反応へ向かう。
「な、なぜここがばれたんですか!?」
「まぁ色々と手はあるよ?にしてもここからで間に合うのか?」
「フフフ!俺の足なら問題ないです・・・ほら!終了の合図です!俺の勝ちですね?」
「ハハハ!カイルは甘いな!」
「ぶっ!・・・何をするんです!?」
叡斗がカイルの足を引っ掛け、カイルが盛大に転ぶ
「ルールは覚えてるか?」
「10分後に砂時計の場所に戻れれば勝利・・・あっ!」
「俺はぎりぎりまで足止めして、転移で戻れば?」
「俺の負けですね・・・」
「さて!俺を出し抜けるかな?」
「・・・うぉぉぉぉぉぉ!」
カイルが全力疾走で砂時計に向かって走り出し、叡斗が後を追う
「おぉ!早くなったなぁ?」
「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
「ここらで邪魔しとこうか!・・・何!?」
全力疾走するカイルを横から飛び蹴りするが、叡斗の足はカイルをすり抜けてしまう。
「俺も成長してるんですよ!」
「みたいだな?本気で邪魔をするとしよう!」
叡斗がカイルにパンチや魔法を繰り出すが、全て全力疾走するカイルの体をすり抜けてしまう。
「なんでだ?」
「俺の勝ちです!」
「気になるなぁ・・・エイ!」
「ヘブオッ!?」
叡斗が『土魔法』で落とし穴を作ると、カイルがそのまま落ちて行く。
「ふむ・・・実体はあるんだな・・・」
「まだまだぁ!」
泥だらけになったカイルが穴から這い出てきて、そのまま全力疾走する。
「なら範囲攻撃は?」
「ぐあぁぁぁぁぁ!」
叡斗がカイルの足元にファイアーボールを打ち込むと、カイルは爆風で吹き飛ばされる。
「多分わかった!カイル『縮地』だろ!?」
「もうばれた!ちくしょぉぉぉぉぉ!」
開き直ったカイルが『縮地』を連発して、一瞬にして豆粒の大きさになる。
「当たる瞬間に短く『縮地』して避けてたのか・・・なるほどな?」
「なぜもう追いつかれてるのでしょう?」
「俺のほうが『縮地』を連発出来るからかな?」
「ちくしょぉぉぉぉ!」
「ヘヘヘ!今回はカイルの頑張りに免じてサービスだ!」
「へっ!?」
叡斗がカイルを連れて砂時計に転移する。
「今回の勝者はカイルだけだな?」
「ええ・・・ハオは私が捕まえましたわ。」
「カイル?研鑽をして獲得したスキルを上手く使った作戦見事だった!」
「え?ありがとうございます!」
「あとでマジックアイテムの要望を聞かせてくれ!一応3案くらい考えててな?作れない物もあるから・・・」
「エイト様にあるとは思えませんが・・・かしこまりました!」
「お前らもカイルを見習って、敵の裏をかける奥の手を持っておけよ?」
「そうですわ!では皆さん晩御飯のデザートをかけて特訓ですわよ?」
「メイサ様!今日の晩御飯は何でしょう!?」
「今日はラーメンですわよ?ソフィア。」
「ラーメン大好物です!」
「私に攻撃を当てられたチームはアイスクリームですわよ?」
「あんた達!?作戦会議よ!?」
「エイ!」
「なんですの?ダーリン?」
「当たった!俺御褒美だ、いえーい!」
叡斗がメイサにチョップをして喜んでスキップをする。
「もう!ダーリンのせいで開始してしまったではないですか!?」
叡斗の喜びの舞を見た全員が一斉にメイサに襲い掛かる
「こうやって敵の裏をかく事も出来るぞぉ?」
「出来るぞぉ?ではありませんわ、全く!」
メイサが攻撃の悉くを軽くいなして反撃して吹き飛ばす。
「なら俺はもう一品御褒美を作るかな?」
「楽しみにしてますわ?」
「ハオはどうする?俺に付いてくるか?」
「是非に!」
死闘を繰り広げる、みんなを横目に叡斗とハオが屋敷へ帰って行く。
「エイト様に何を作るのでしょうか?」
「クレープって言うデザートを作るぞ?」
「くれぇぷですか?」
「ハオ?この果物を一口サイズに切ってくれるか?」
「御意!」
ハオに果物を切ってもらい、叡斗が砂糖をふんだんに使ってホイップクリームを作る。
「次は・・・小麦粉に蜂蜜ですか・・・」
「それをこうやって薄く焼いて・・・」
「本当に薄いですね・・・どんな料理になるのでしょうか?」
「1つ試作品を作ってみよう!」
叡斗が薄く焼いた生地にホイップクリームと果物を一緒に巻いて、ハオに渡す。
「よろしいのでしょうか?」
「お前は奴隷じゃないからな!」
「では!・・・ほっぺが落ちそうです!」
ハオがそのまま一息にクレープを食べる。
「早すぎないか?」
「これは・・・魅惑の食べ物ですね。」
「魅惑って・・・大げさな。」
「ヨハン教の隠密として、一生を終える覚悟が出来ました。」
「重たい!クレープ如きで重たい決意出ちゃったよ!」
「どんどん作りましょう!私は何をしましょうか?」
「じゃあ一緒に生地を作ろうか?」
「御意!」
叡斗とハオが店を開けそうなくらいの量のクレープの生地と具を準備する。
「只今戻りましたわ!」
「メイサおかえり!」
汚れ一つ内チャイナ服のメイサがボロボロになった人達を連れて屋敷に戻ってくる。
「誰か御褒美はあるの?」
「誰もいません!」
叡斗とハオが山の様に作ったクレープの材料の前で顔を見合わせる。
「作りすぎた・・・メイサ、食べきれるか?」
「ダーリンの空間収納に入れれば問題ありませんわ?」
「そうだな!」
「では夕食に致しましょう。」
メイサがそう言ってクレープの生地達を眺めながら寸胴鍋に火をかけて、ラーメンの具の準備を始める。
「メイサ?気になるなら一個だけ食べてみな?」
「あら?よろしいのかしら?」
メイサが叡斗とクレープを交互に見ながら、手元を一切見ずに作業を進めるので、思わずクレープを1つ作ってメイサに渡す。
「とりあえずクレープを食べて、手元を見て欲しいな・・・見てて恐いから」
「これは・・・なんて美味しいのでしょう!」
「冷蔵庫で冷やしとくから食後のデザートは楽しみにしててな?」
「かしこまりましたわ!」
ほっぺにホイップクリームを付けたまま料理を再開するメイサを見てほっこりする叡斗
「くっ・・・どんな味か気になってしょうがないです・・・」
苦悶の表情を浮かべたソフィアがメイサの手伝いをしながら思わずと言った様子で呟く。
「オリーブが帰って来るまでに御褒美をもらえたらいいな?」
「ソフィアのチームが一番いい線行ってましたわよ?」
「がんばります・・・」
「まもなく出来ますのでダーリンは食堂でお待ちになってくださる?」
「了解!」
メイサに言われて食堂のいつもの上座の席に座ると、すぐに配膳が始まり晩御飯が始まる。
「あれだな?フェイが連れてきた奴隷達は毎日感動してるな?」
「泣いてないだけで、カイル達も大差ありませんわ。」
「まぁサーペントで作ったダシとチャーシューなんて食べれないもんな・・・」
「オリーブは食事が粗末になって大変でしょうね・・・」
「やっぱりメイサもオリーブが心配なんだね?」
「心配にならない訳がありませんわ?」
「探してみる?」
「信じて待つのもオリーブのために大事ですわ。」
「そうだね。」
「そういえばカイルの御褒美は何にしましたの?」
「聞いてなかったな?カイル要望は決まったか!?」
クレープ作りをして完全に忘れていた叡斗がカイルに声をかける
「はい!早く強くなるためにレベルアップしやすくなるアイテムが欲しいです!」
「わかった!」
叡斗がその場で<魔力吸収の腕輪>の腕輪を作ってカイルに投げ渡す。
「それを付けて魔物を倒すと、経験値量が増えるから!」
「いとも簡単に・・・エイト様してますね・・・」
「ご飯を食べる時は外せよ?一口で腹いっぱいになるだろうから栄養失調になるぞ?」
「かしこまりました!大事にします!」
「さっ!デザートにしましょう?」
メイサが冷蔵庫を取り出してアイスクリームを取り出す。
「メイサクレープにして食べよっか?」
叡斗がアイスをクレープに足して、メイサとハオに渡して食べる。
「美味しいですわ!アイスとクレープの相乗効果がすごいですわ。」
「言葉を失うとはこういう事を言うのですね?」
「誰か1人に食べさせてみるか?」
「奮起するかもしれませんわね?」
「じゃあ・・・」
叡斗が爪楊枝でクジを作ってみんなに引かせる。
「先っぽに色が着いてたらクレープだぞぉー?」
「俺の先が赤いです!!先が!」
「お?新人奴隷だな?初御褒美か?」
「ガイです!ありがとうございます!」
メイサが手早くクレープを作って渡すと、ガイが一口一口目を閉じてゆっくりと味わって食べ始める。
「おい?どうなんだ?」
「泣いてたらわかんねーじゃねぇか!」
「おいって!なんか喋れよ!」
叡斗作のデザートを食べた事無い、新人奴隷達がガイを取り囲んで騒ぐ
「始めて食べたらあぁなるよね・・・」
「そうだな、初アイスクリームは俺達も言葉が出なかったもんな。」
カイル達が席に座って懐かしそうに見やっている。
「俺・・・明日から死んでも一発当てるよ・・・」
「死んだら駄目だろ・・・」
ガイの決意の言葉に思わず突っ込む叡斗。
「私もエイト様の奴隷になりたいです!」
「別に奴隷にならなくても、デザートは食べられるだろ・・・」
「奴隷以外の生き方を知らないので・・・」
「ゆっくりと学べばいいさ!結婚して普通に生きるっていう選択肢もあるぞ?」
「そんな事、考えたこともありません。」
「ハオは焦らずに学べばよろしくてよ?ではダーリンお風呂に入りましょ?」
「ほいほい!ガイサービスだ!」
叡斗がガイにクレープを追加で渡して、メイサと食堂を後にする。
「ダーリン?甘すぎますわよ?」
「クレープが?」
「さすがのダーリンでも面白く無さ過ぎます。」
「思いつきで言い過ぎたな・・・」
「反省なさって下さい。ダーリンはいつもいつも奴隷を甘やかしすぎです!昼のフェイにしてもそうです!あなたが甘やかすから・・・」
風呂から上がり、メイサが魔素を吸う直前まで説教をされ続ける叡斗だった。




