表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
観測者アルスは解き明かしたい  作者: 邑沢 迅
淑女編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/123

淑女編 ⑦

※この小説の続きをスムーズにお楽しみいただけるよう、【ブックマークに追加】を押して設定を保存してください。

挿絵(By みてみん)

「――どうだい、ベリル。自分でも惚れ惚れするだろう?」


 鏡の前で髪を整える彼女の背後から、僕は静かに声をかける。視界に浮かぶ数値は、僕の予想した曲線を見事に描いていた。


 ただ、一点を除いて。



  【ベリル:自尊心 94、傲慢 98、アルスへの感謝 8、アルスへの愛情 21】



 彼女を、最悪の環境から、最高の舞台へ押し上げた。しかし、自尊心、傲慢といった数値と反比例するように、僕に対する感謝や愛情の数値が低下傾向にあったのだ。


 実に面白い。


 ただ単純に与えるだけでは、特別な愛情は芽生えないのか。


(そう、例えば、僕の両親のような…自己犠牲を伴う、愛情)


 僕という存在すら、自身の輝きを維持するための「舞台装置」程度にしか思っていない。だが、これはこれで実験のし甲斐がある。


「ええ。アルス様。…ですが、この髪飾りは少し地味ではないかしら?今夜の舞踏会には、もっと私に相応しいものを用意してほしかったわ」


 注文。

 そして、傲慢な一瞥。

 僕は更なる好奇心と共に、恭しく頭を下げて見せた。


「おや、それは失礼したね。ベリル、君の言う通りだ。君はもう、僕が横にいて細かく指示を出す段階は終わったのかもしれない」


 僕はわざと、少しだけ寂しげなトーンを声に混ぜる。彼女の自尊心を、最後にひと回しだけ煽るための調味料スパイス


「今夜の公爵主宰の舞踏会。あえて僕は同行しない。君一人で、帝国最高の宝石であることを証明しておいで。…僕の支えなどなくても、君なら会場のすべてを魅了できるはずだ」


「…私一人で?」


 一瞬だけ、彼女の瞳に不安の色がよぎる。だが、それはすぐに肥大化した「自負」によって塗り潰された。


「当然ですわ。ふふ。アルス様もようやく気づかれましたのね。よろしいわ。私一人の力で、あの方たちを跪かせて見せますわ」



  【ベリル:自尊心 94→100、傲慢 98→100】



「期待しているよ。ベリル」


 僕は彼女を送り出し、その馬車が屋敷の門を抜けるのを窓から見送った。

 彼女が”彼女”たることができたのは、管理者である僕が周囲に”そう”見せているからだ、ということを、彼女は理解していない。


 僕の予想の通り、破滅の道を往くのか。想像を覆す、淑女ぶりを発揮するのか。特等席から観劇させてもらうとしよう。


※この小説を面白いと感じていただけましたら、★★★★★の評価と【ブックマーク】で応援お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ