花嫁編 ⑧
嵐の前の静けさという言葉があるが、今の僕の心境はそれとは程遠い。
明日、僕は「清廉の白百合」を妻に迎える。
その事実を前に、僕の「正義」はかつてないほどの輝きを放ち、同時に得体の知れない「何か」が、全身の血を沸騰させていた。
深夜。
誰もいない自室のデスクの上に、いつの間にか一通の封筒が置かれていた。異様な存在感を放つ灰色の封筒。僕はそれを手に取り、中身を引き出した。
「…」
指先が、震えた。そこには、リリアの「記録」が、克明に記されていた。彼女がどのように青年の手を引き、どのように指を絡め、どのような淫らな声で僕以外の男を求めたのか。
そして、純白のドレスが、どのように深紅に染まったのか。
以前の僕なら、怒りに狂い、即座に剣を取って駆けていただろう。だが、今の僕を満たしているのは、もっと純粋で、もっと残酷な「確信」だった。そうだ。彼女は汚れていたのだ。穢れてしまったのだ。
僕が愛する「白百合」の皮を剥げば、そこにはドロドロとした醜悪な本能が、真っ赤な肉が、剥き出しで蠢いていたのだ。
確信した。自分自身の、この、感情を。
その事実に、僕はかつてないほどの絶頂にも似た高揚感を感じていた。
【レイ:正義 95→100、独占欲 72→92、興奮 15→78、リリアへの疑念 0】
僕自身の正義を、そして、愛を、彼女と青年に届けなければ。誠心誠意、真心を込めて、届けるのだ。
「待っていてくれ、リリア。明日、最高の愛を君に捧げるよ」
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