表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
観測者アルスは解き明かしたい  作者: 邑沢 迅
解明編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
106/123

解明編 ③

※この小説の続きをスムーズにお楽しみいただけるよう、【ブックマークに追加】を押して設定を保存してください。

 馬車を降りた私たちが足を踏み入れたのは、賑やかで活気あふれる王都の城下町だった。


「凄い…!こんなに人がたくさんいるのですね」

「復興は着々と進んでいる様子だね。あの時の混乱など嘘のようだ」


 大通りには煌びやかな露店が立ち並び、人々の明るい笑い声がそこかしこから聞こえてくる。


「お母様、お父様、あれを見て!食べ物かな?」


 初めて見る鮮やかな異国の装飾や屋台の数々に、エマは目を輝かせてはしゃいでいる。


「エマ、迷子にならないでくれよ」


 アルス様はそんなエマの後ろを、ただ静かに、見守る保護者のようにゆっくりと歩きながら付いてゆく。あちらの通りで甘いお菓子を買い、こちらの広場で珍しい民芸品を眺め。


 その日の王都観光は、本当に、息をするのも忘れるくらいとても楽しかった。

 

 初めて触れる異国の文化。嗅いだことのないスパイスの香る食べ物。…でも、何といっても私を一番幸せな気分にさせたのは、『家族みんなでこうして並んで旅行をしている』という、ごく普通の温かい事実そのものだった。


 やがて日が暮れる頃、私たちは王都で一番だという豪華な宿へと戻ってきた。

 明日はアルス様の個人的な用事があるというが、それが終わった後、明後日は、また家族三人で、残りの時間を楽しく過ごせるのだ。


「…すう、すう……」

「一日中歩き回って、疲れたんだね」


 広々としたベッドの上。はしゃぎ疲れたエマは、当然のようにアルス様の太ももを枕代わりにして、静かに安らかな寝息を立てていた。アルス様は、動けなくて少しだけ重たそうな顔をしながらも、決して退かすことはせず、空いた手でエマの髪を優しく撫でている。


 …ああ、どうしよう。

 胸の奥から湧き上がってくる幸せで、本当にどうにかなってしまいそうだ。

 

 遠い異国で家族水入らずの旅行を楽しんでいる。神様、もしも本当に空の上にいらっしゃるのなら、どうか、この最高の幸せが、いつまでも、永遠に続きますように。


 私は彼らの温かい気配を感じながら、心地よい夜の眠りへと落ちていった。


※この小説を面白いと感じていただけましたら、★★★★★の評価と【ブックマーク】で応援お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ