解明編 ①
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「アルス様。…例の件、ご報告が」
静寂に包まれた執務室。分厚い書類に目を通していた僕の耳に、執事であるゲルトの淡々とした声が届いた。
「それで、どうだった?」
「彼女の現在の居場所が、判明いたしました」
「…」
僕は手にしていたペンを置き、ゆっくりと背もたれに体重を預けた。
そして今、僕が8年以上の歳月をかけて構築した『完全なる家族』のデータを以てしても未だに至ることのできない解答の、最後の手がかり。
僕は、答えが欲しい。
圧倒的な答えが。
心から納得できる、答えが。
(今の僕なら、彼女の下へ行けば、答え合わせができるかもしれない)
「ありがとう、ゲルト。素晴らしい働きだよ」
「もったいないお言葉です。ですが、なぜわざわざ個人の調査など…」
「ちょっと、昔、お世話になってね。お礼をしたいなって」
「アルス様の恩人でございましたか…。失礼いたしました。では、いかがなさいますか。直ちに使いを出しますか」
「いや。僕自身が直接出向くよ」
「直接、でございますか」
「うん。ベリルとエマも連れていく。王国領への視察という名目で、馬車と護衛の手配をお願いできるかな」
妻子を伴っての、長旅だ。僕の思いがけない言葉に、ゲルトがほんのわずかに目を瞬かせたように見えた。
「――かしこまりました。それでは、ご出発の予定はいつになさいますか」
「そうだな…近々来客もある…3日、いや…1週間後、かな」
「承知いたしました。すぐに手配を進めさせていただきます」
ゲルトが一礼して執務室を去った後、僕は一人、窓の外に広がる帝都の空を眺めながら、高揚感を感じていた。
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