Log:47 着ぐるみ
Log:47 着ぐるみ
「大丈夫。きっと似合うよ」
ああ、これは嫌な予感しかしない!
「待て。まず説明しろ。ぬいぐるみって何だ」
「そのままの意味だよ?」
「そのままの意味だから聞いてんだよ!」
華城は楽しそうに笑いながら、ヒアラブルデバイスを操作した。
空中に一枚の広告が投影される。
そこには、やたら爽やかな笑顔を浮かべた華城がいた。
『子供たちに笑顔を――スラム地区支援チャリティ』
「…………」
俺は広告と、目の前の男を交互に見る。
「お前、こんな仕事してたの?」
「失礼だねぇ。僕だって一応、好感度の高い舞台俳優なんだけど?」
「一応って自分で言ったぞ」
華城は気にする様子もなく、広告を指先で拡大した。
「今度、スラム地区でチャリティ公演があるんだ。僕も出演する」
<スラム地区への進入許可は取得済みですか?>
「もちろん」
華城が別のデータを表示する。
<……認証を確認>
<SEALによる正式な活動許可が発行されています>
<登録スタッフおよび搬入物資についても、
スラム地区への入域が承認されています>
「ほらね」
「なるほど……」
例外規定を使うわけじゃない。
最初からSEALの許可を取った上で入るのか。
確かに、それなら違法じゃない。
俺が欲しかった合法的なルートそのものだ。
「いや、待て」
肝心な問題が何一つ解決していない。
「それと俺たちがぬいぐるみになることに、何の関係がある?」
華城は俺たち三人を順番に指差した。
「僕一人で行くわけじゃないからね。スタッフも入るし、
支援物資も運ぶ。それに今回のチャリティでは――」
華城が楽しそうに笑う。
「子供たちと触れ合うためのマスコットも連れていく予定なんだ」
「…………」
俺はゆっくりと隣を見る。
エレファント。
ゴリラ。
そして自分。
嫌な点と点が、一本の線になり始めた。
「まさか……」
「そう」
華城は満面の笑みで俺を指差した。
「桐生くんには、着ぐるみの中の人になってもらいます」
「ぬいぐるみじゃねえじゃん!!」
<正確には着ぐるみです>
「ビビビーッ!」
「エレファント! 今そこ訂正しなくていい!」
華城は腹を抱えて笑っている。
「いやぁ、いいね。想像以上に似合いそう」
「まだ着てねえよ!」
「ちなみにエレファントちゃんとゴリラくんにもファンシーなものを
用意してあるよ」
<拒否します>
「ビビビーッ!!」
即答だった。
「お前ら! 俺だけに押しつける気だろ!」
華城は、愉悦に歪んだ笑みを浮かべた。
「本当に助かるよ~! 僕って、
どういうわけか子供受けがあんまり良くないんだよねぇ」
「……理由に心当たりしかねえよ」
そして、俺たち三人を順番に見渡す。
「その点、子供たちに好かれる君たちなら、安心して任せられるねっ☆」
「…………」
<…………>
「ビ…………」
「お前、最初から俺たちをチャリティ要員としてコキ使うつもりだっただろ」
「え? 今気づいたの?」
「この野郎……!」




