Log:46 最悪の協力者
Log:46 最悪の協力者
翌日。
俺は、指定された待ち合わせ場所で華城を待っていた。
もちろん、一人ではない。
右側にはAR-04《エレファント》。
左側にはSG-02《ゴリラ》。
両方とも過保護の完全武装。
「……お前ら、昨日俺が言ったこと覚えてるよな?」
<はい。記録されています>
「ビビーッ」
「じゃあ、その殺気をどうにかしろ」
<殺気ではありません。警戒です>
「ビビビッ」
「ゴリラ。『いつでも撃てる』は警戒とは言わないんだよ」
SG-02《ゴリラ》のガトリング砲が、ガラガラと小さく回転する。
やる気満々だった。
「だから回すなって!」
<ミスター桐生。接近反応を検知しました>
エレファントの声色が変わる。
俺も振り返った。
足音が近づいてくる。
「やあ、桐生くん。待った?」
まるで友人との待ち合わせにでも来たような軽い声だった。
華城は片手を上げて、笑っている。
「いいや。今来たところだ」
「へぇ。デートみたいだね」
「お前とのデートなら今すぐ帰る」
「残念」
その瞬間。
ガララララッ――!
「ゴリラ!!」
「ビビビーッ!」
華城へ向かって、SG-02《ゴリラ》のガトリング砲が展開された。
<SG-02《ゴリラ》。射撃を禁止します>
「ビビービビッ!」
<気持ちは理解します。しかし禁止です>
「エレファント! お前まで『気持ちは理解する』とか言うな!」
華城は目の前に向けられた銃口を見ても、笑顔を崩さなかった。
むしろ楽しそうに、SG-02《ゴリラ》へ顔を近づける。
「君がゴリラくん?」
「ビ――」
SG-02《ゴリラ》は明らかな不快音を流した。
「やめろ! 煽るな!」
俺は二人の間に割って入った。
華城は肩を竦める。
「相変わらず面白いねぇ。ナズナちゃんの作った子たちは」
<警告します。個体名:華城>
<ドクターナズナに対する敵対行動を確認した場合、あなたを脅威対象として認識します>
「あはは。怖いなぁ。僕はまだ何もしていないよ?
そんなに警戒するなんて、期待に応えたくなるじゃん」
笑っている。
やっぱり、こいつは信用できない。
「華城。遊びに来たわけじゃない。話を進めるぞ」
「ああ、そうだったね」
華城の笑みが、僅かに変わった。
「スラムへ行きたいんだろ?」
俺は答えなかった。
華城はそんな俺を見て、楽しそうに目を細める。
「しかもSEAL法に違反せず、堂々とね」
「……方法があるのか?」
「あるよ」
華城はやけにあっさりと答えた。
<ミスター桐生。警告します>
<個体名:華城の発言を無条件に信用することは推奨できません>
「分かってる」
「酷いなぁ。僕は桐生くんを助けようとしているだけなのに」
「昨日、俺の命は保証できないって言った奴が何言ってんだ」
「それとこれとは別だよ」
華城は笑った。
そして、俺の肩へ腕を回そうとして――
ガラララララッ!!
「ビビビーッ!!」
「ゴリラァ!!」
華城は伸ばしかけた手を引っ込めた。
「……過保護だねぇ」
「誰のせいだと思ってんだよ」
「それで、スラムへ行く方法なんだけど――」
華城は俺たち三人を順番に指差した。
「君たちには、ぬいぐるみになってもらうよ」
「…………は?」
<説明を要求します>
「ビビーッ?」
人間一名、アンドロイド二体。
珍しく意見が完全に一致した。
華城はそんな俺たちを見て、楽しそうに片目を閉じる。
「大丈夫。きっと似合うよ」
ああ、これは嫌な予感しかしない!




