Log:45 過保護なアンドロイドたち
Log:45 過保護なアンドロイドたち
AR-04《エレファント》は、桐生が華城へメッセージを送ることに反対していた。
人間型研究補助アンドロイド。
正式名称――Assist Research-04《エレファント》
ナズナの研究を補助し、彼女自身から「親友」と呼ばれている個体だ。
そして現在、彼女は激怒している。
<ミスター桐生。あなたのIQは、140を超えているはずです>
エレファントは、桐生の前に立ち塞がった。
<その知能を有していながら、
なぜこれほど短絡的な選択に至ったのか、経緯を説明してください>
「激おこですか? エレファント? 怒らないで~~」
そして、俺の相棒が怒りだした。
飛行型戦闘ドローン。
正式名称――Security Guard-02《ゴリラ》
電子音で感情を伝えるポンコツロボであり、俺のバディポジションだ。
ゴリラはレーザー測距センサーを俺のこめかみに照射。
地味に熱い嫌がらせを始めやがった。
「あっつ!! おい! ゴリラ、レーザーはやめろ!」
「ビビビー ビビビー!」
<ええ、その通りです。私もSG-02《ゴリラ》と同意見です>
「まずは落ち着け、俺だって無策で突っ込むつもりはないんだ」
<……本当ですか? ミスター桐生>
<では、作戦内容を説明してください>
<成功率を算出し、最適化を行います>
「……成功率は、3%いや、もっと低いかも?」
<ミスター桐生。作戦の撤回を求めます>
「ビビビーッ!!」
<SG-02《ゴリラ》も『却下』との意見です>
「そもそも、俺達のナズナが未知数過ぎるのが問題だ。
アイツが分かり易く計算しやすい点といえば、
俺が無茶をすればアイツが死にもの狂いで止めることくらいだろ?」
AR-04《エレファント》は、まるでナズナの癖を真似するように
首を傾げる動作をしながらしばらく沈黙して、口を開いた。
<それは同意いたします。ナズナ博士はミスター桐生の安全を最優先
としています>
「ビビビビ」
「おい! ゴリラ! 男の癖に情けないなんて言うな!
俺だってそう思ってたんだから!」
<ミスター桐生。華城が裏切る確率は極めて高いと予測されます>
<当該任務の成功率を著しく低下させる要因となります>
<それでも、彼を利用するのですか?>
「そうだよ? 向こうが利用するんだから、
俺だって利用してもいいだろう? それに敵の敵は味方の場合もある」
<ミスター桐生。TVアニメの視聴時間を削減することを推奨します>
「それに、お前らだってナズナが心配で、このままでいいとは思ってないだろ?」
「だから多少無茶をするが付き合ってもらうぜ。もし、失敗してもスラム行きになるだけだ!
そしたら、正々堂々とナズナと合流できるじゃん」
俺は、AR-04《エレファント》が俺よりも優先して、心配しているのが
ナズナであることを知っている。
彼女は、ナズナの命令で俺を守っているに過ぎない。
<ミスター桐生。了解しました。
その作戦に同意しますが、いくつか修正案を推奨します>
AR-04《エレファント》は久しぶりに演算能力を最大限まで解放した。
救出ルートが次々と書き換わる。
華城が裏切った場合の代替案。
戦闘開始から撤退まで、数百通りのシミュレーション。
成功率がリアルタイムで変動していく。
数百通りのシミュレーション結果が、次々と桐生の前へ投影されていく。
「お、お前……本当にナズナみたいだね?」
<ありがとうございます>
<私は、ドクターナズナによって構築された私自身を誇りに思っています>
SG-02《ゴリラ》は、ガトリング砲をガラガラと回しながら、
鼻歌でも歌うような電子音を鳴らし、機嫌よく自己メンテナンスを始めた。
「ビビビ~♪」
「お前! 邪魔する奴らは全員打てばいい!なんて言うなっ!」
<SG-02《ゴリラ》の提案は過激ですが>
<本作戦の妨害要因を排除するという点については、私も同意します>
「いいか、俺たちは明日華城に会う。絶対にアイツに攻撃するなよ?」
<確認します>
<その発言は"お約束の掛け合い"でしょうか>
<それとも、本気でSG-02《ゴリラ》へ注意を行っていますか?>
「だめだ! って言ってるんです。言葉を通じていますか?
このポンコツども!」




