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Log:44 敵と書いてトモと読む

Log:44 敵と書いてトモと読む


西園寺の邸宅では、SEAL執行官たちが違法行為の証拠を回収していた。

その中には、彼女の付き人である黄金色のアンドロイドも拘束されている。


執行官の一人が捜査令状を読み上げた。


「当該個体を、違法行為に関与した証拠品として押収する」


西園寺は歪んだ笑みを浮かべ、黄金色のアンドロイドへ視線を向けた。


「ああ、そうなのね?」


そして、つまらない物でも捨てるように告げる。


「じゃあ、あなたはもう<要らない>わ」



その直後――


黄金色のアンドロイドが、何かを受信したように動きを止めた。


次の瞬間、身体が小刻みに痙攣し始める。


黄金色のアンドロイドから黒い煙が噴き出した。

内部で火花が弾け、金属の身体が大きく震える。


次の瞬間、小さな爆発が室内を揺らした。


執行官がアンドロイドのそばへ駆け寄る。

内蔵メモリー周辺は焼け焦げ、爆発によって大きく損傷していた。

これでは証拠品として押収しても、有力な情報が見つかる可能性は極めて低い。


「これは、捜査妨害にあたりますよ?」


SEAL執行官が忠告すると、西園寺は少しも悪びれる様子を見せなかった。


「私は捜査には従ったわよ。

それに、そのアンドロイドはもう私の所有物ではないのだから」


西園寺は焼け焦げた残骸へ目を向ける。


「早くそのゴミを片付けてくださらないかしら。焦げ臭くてたまらないわ」


ほんの数分前まで、黄金のアンドロイドは最新鋭の機体だった。

今では輝きを失い、黒く焼け焦げた金属の塊と化している。


執行官は残骸を調べ、静かに眉をひそめた。


「……内部からキルスイッチが作動した形跡があります」


「それで? それを、私がやった証拠でもあるのかしら?」


西園寺は一歩も引かず、執行官を見据えた。


その瞳には、証拠さえなければ誰も自分を裁けないという

確信だけが宿っていた。


執行官は沈黙する。


特殊ID保持者である西園寺を処分するには、決定的な証拠が必要だった。


その時だった。


静まり返った室内へ、一人の若い執行官が血相を変えて駆け込んできた。


「監査官! 本部から緊急命令です!」


「西園寺邸から直ちに撤収せよ、と!」


執行官たちは命令に従い、黒く焼け焦げたアンドロイドをはじめ、

回収済みの証拠品を押収すると、速やかに屋敷を後にした。


静まりかえる西園寺の屋敷には、徹底した家宅捜索の跡だけが残されていた。


家具は動かされ、引き出しは開け放たれ、

整然としていた部屋は見る影もない。


西園寺はその光景を見渡し、ゆっくりと拳を強く握る。


胸の奥に積み重なった怒りは、もはや抑え切れなかった。


彼女は机の上に置かれていた花瓶を掴み、床へ叩きつけた。

ガラス片が四方へ飛び散る。

次々と調度品が床へ転がり、壁に掛けられた絵画さえ引き裂いた。


彼女の怒りは止まらない。


乾いた破砕音が屋敷中へ響いた。

天上層で最も美しいと謳われた邸宅の象徴――

巨大なステンドガラスが、無数の破片となって床へ降り注ぐ。


「……許さないわ! 絶対に許されないわ。 

なぜ、私がこんな被害を受けなければいけないの?」


いつも完璧に整えられた金色の髪は乱れ、

"天上層の薔薇"と称えられた美貌も、

涙と汗で崩れた化粧によって、その面影を失っていた。


「どうして! あの女は生きているの!!」


悲鳴のような怒りの声が、屋敷中に響き渡った。


そして、ずっと側にいた華城は何も言わない。

崩れ落ちた邸宅も、取り乱す西園寺も、


ただ愉快そうに眺めていた。

ヒアラブルデバイスに見慣れないID番号からメッセージを受信する。


『敵と書いてトモと読む華城へ 手を貸してくれてもいいんだぞ

 スラムに行くために合法的な方法で、お前を利用したい。桐生』


「へぇ~~ 桐生くんも随分と成長したんだねぇ? 面白い」


そして、華城は返事をした。


『すごくいいタイミングだよ。だから、手伝ってあげるよ 

その代わりだけど、僕が手伝うってことは

君の命も保証できないってことも忘れないでね 華城』


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