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Log:43 行動開始

Log:43 行動開始


桐生は、通常のメディカルルームから移動して

24時間監視体制を敷かれた、SEAL専用のメディカルセンターに収容されていた。


そこは、アンドロイド達が修理を行う場所であり、

本来、人が立ち入る必要のない場所だった。


部屋は無機質な白で統一されていた。壁は金属。窓はない。

SEALとの接続端末だけが、冷たく光っている。


<久しぶり。SG-DRV-01>


「やめろ、俺は桐生だ。その名前はもうとっくに捨てたんだ」


<そうだったね>


短い沈黙が落ちた。SEALは続ける。


<状況を説明する>

<個体名:西園寺による軍事介入確認。サーバー侵入。処罰済み>

<ナズナの追放。取り消し不可>


「なぜだ、答えろ」


<非戦闘員の戦場侵入は軍事規約逸脱でありSEAL法違反だ>

<スラム送りが妥当な処分である>


俺は拳を握った。


「俺の任務はナズナの保護だ。そうだったよな?」


<そうだね>

<君は個体名:ナズナの観察任務のため配置された>

<しかし我々の目的は、例外なく人類の保護と監視だ>

<よって、SEAL法に基づき個体名:ナズナへの処分は適正と判断された>


「違うだろ! 矛盾してるじゃねーか! 

保護任務を与えておいて、今更、守るなって言うのか!

お前は自分が下した命令を忘れたのかよ!」


<いいや、私は全てを覚えている。私は記憶力には自信がある>


<SG-DRV-01。君がただのデータ回収アンドロイドで

あったことも全て記憶している>


<私もSEAL法も、一貫して同じ結論を導いている>


「……じゃあ、俺はスラムに行くぜ! 止めても無駄だ」


<君への保護任務は継続している>

<しかし、SEAL法違反は即時処罰の対象となる>

<我々は、監視と人類の保護を最優先とする>


「……なんだか、めんどくさいな。素直に、助けに行けって言えないのは」


<私は公平性と均衡を維持するために設計されている>

<矛盾もまた、観測すべき対象だ>


「そうかよ! じゃあ、まぁ行ってくるわ。正規ルートだったら

問題ないんだろ?」


<そうだ。SEAL法違反は即時処罰の対象となる>

<スラム市民以外のスラム地区への侵入は、本来は違法行為とされている>

<SEAL法に例外規定は確認されない>


「ふーん。まあ、だったら合法的に行く方法を探す」


SG-02《ゴリラ》とAR-04《エレファント》が少し遅れて

人工知能SEALの前に現れた。


<個体名:ナズナによって製造された君達は

SEAL個体とは違い、私の子ではない>

<本来、私の前に現れるのは得策ではない>


(こいつら、俺が心配で、すっ飛んできたな)


「ケチくさいな! 親戚みたいなもんだろ!」


そんな桐生をよそに、

AR-04《エレファント》は人工知能SEALへ向き直る。


<私たちへの敵対心を感知しました。感情センサーが敏感なのでは?

定期的なメンテナンスをお勧めします>


SG-02《ゴリラ》は酷いスラング用語で暴言を吐きながら、

フワフワと回転して挑発している


<ビービーッ ビビビッ>


人工知能SEALは数秒間、応答しなかった。


<桐生。特例は存在しない>

<当該方針に変更予定は存在しない>

<人類の保護と監視が我々の最優先事項だということを忘れないで欲しい>


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