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Log:41 執念深い女

Log:41 執念深い女


わたしは、ソルトとシュガーに聞かねばならない「ある1点について」を

躊躇っている。


おそらく、わたしの想像通りであると思うが……

彼らにとって、これは危険な橋を渡らせることになってしまうだろう。


「ソルト、そしてシュガー。君達に質問があるんだ……」


「おうなんでも聞いていいぞ。もう隠し事はしないから」

「そう、俺たちは兄弟みたいなもんさ」


(兄弟?)


わたしの中の何かが、一瞬だけ苦しくなる。


「……そ、そうか。まず、君達に質問はするが、答えたくない場合は

返答しなくても良い」


「まぁ、十分危険だったけど、俺達は生き抜いたぜ? 俺達は強い!」

「そうそう! カイゼンの無双ぶりは見せたかったなぁ!」


(――!?)


「……待て」

「今、君はさきほど何て言ったのだ?」


「俺たちは最強! そうだろ?」


シュガーとソルトは拳どうしをぶつけて、称え合った。


「そうじゃない! カイゼンと言ったのか?」


「なんだと……! いくらナズっちでも、それは酷いぜ。

俺たちは最強じゃないというのか? それはあんまりだ!」


「違う! それは誤解だ。や……ややこしいな。君達は優秀だ。素晴らしい! しかし、君が先ほど話した

カイゼンとは誰を指したのだ? もしかして先ほどの男か?」


「ああ、彼はカイゼン。スラムの王だよ。ナズっちの古い知り合いなんだろう?」


「……彼がそう言ったのか?」


シュガーとソルトは、首をかしげて不思議そうな目で答える。


「そうだよ。ナズっちがスラムに堕ちてからずっと探していたんだ。

なんの目的なのかは分からないけど……けど、悪い奴じゃないよ」


「ナズっちが、気絶した後は大変だったんだよ……あの施設はほとんど更地になった。

もう何も残ってないよ」


わたしは牢屋でのトラウマの記憶が蘇りそうになることを拒んだ。


「そ、そうか……カ、カイゼンにしっかりと……彼と話をしなければならない」


「うん。そうしたほうがいいよ。俺の勘だけど、カイゼンも何か隠してる感じだったからな。

それから……ナズっちが聞きたい情報ってさ、たぶんだけど俺らの依頼人だろ?」


「……そうだ。しかし、君達の守秘義務やモラルを優先してくれていい。

ただ、この名前に覚えがあるなら頷くだけでもいいし、何もしなくてもいい」


「もうそういうのは良いから! 聞けよ。俺達を信じてくれ」


わたしは彼らを巻き込むことで起こりうる損害や喪失を覚悟した。


(巻き込むならば、わたしは必ず彼らを守り通すつもりだ……)


桐生に続いて、大変な人達を抱えたが何故か気分は悪くなかった。


「……西園寺という名前の女性を知っているか?」


ソルトは歪な笑みを浮かべて言った。


「そう、その女が俺達にナズっちを殺せって命令したんだ。

スラムに堕ちた精神異常な科学者で危険人物だと言ってたな」


やはり、彼女か……執念深い女だ。


SEALのサーバーに直接介入できるIDを持った天上層の住人。

彼女はおそらく、攻撃の手を緩めることはないだろう。


そろそろわたしも反撃の狼煙をあげるときが来たのかもしれない……。


今は準備する期間。

わたしは確実に相手を仕留めるつもりだ。


そして、カイゼンと話し合わねばいけないだろう……

過去のことも含めて

わたしには、確認しなければならないことが多すぎる。


……すべて洗い浚い聞くつもりだ。

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