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怒号と銃声が古びた施設に鳴り響いた。


「カ、カイゼンだ!」


建物の奥まで、男たちの叫び声が反響する。


錆びた鉄格子。壁際に並ぶ檻。

床には転がる医療器具と、乾いた血の跡。


死角から男が、カイゼンに向かって引き金を引いた。


弾は当たった。


カイゼンのこめかみに。


「……チッ」


カイゼンは足を止めない。

こめかみに食い込んだ弾を、男へ返す。


男の頭が弾けた。


返り血を浴びても、カイゼンは歩くのをやめない。


「ば、化け物だ……!」


「ウソだろ……なんなんだアイツ!」


男たちが一斉に銃を構える。


――次の瞬間。


見えない力が、男たちを床から引き剥がした。

操り人形のように身体が宙に浮く。骨の軋む音。


男たちは壁に叩きつけられ、そのまま動かなくなる。


カイゼンは、ただ歩いている。

まるで障害など、最初から存在していないかのように。


俺とソルトは、残った敵に銃をぶっ放す。


逃げ出そうとした男が一人。その足元の影が、揺れた。


「な、なん——」


影が突然膨張して男の身体が、影の中へ引きずり込まれる。


悲鳴は途中で途切れた。床には、何も残っていない。


カイゼンの視線は揺るがなかった。


「カイゼン! ナズっちの場所は分かるのか?」


「この奥だ」


カイゼンは、暗闇の中を警戒もせずに歩く。

悠然と。俺とソルトは、後に続いた。


恐れるものなど何もない――

王の背中だった。


部屋の奥へ続く通路。

空になった檻が並び、腐敗臭がどんどん強くなる。


「クセェ……本当にこんな所にナズっちがいるのか?」


ソルトが鼻を手で覆いながら言った。


「……いたぞ」


カイゼンの低い声が響いた。


俺たちの視界に入ったナズナは……


檻の中には、生臭い匂いが立ち込め、

殴られ動くこともできない俺たちの恩人がいた。


たった数時間、離れただけ。

だから、大丈夫だと思っていた。


考えが、甘かった。


俺たちが地獄に送ったんだ。


カイゼンが、檻の中に閉じ込められている彼女を見て

言葉が零れた。いつも冷静な彼の声が震えていた。


「お前、また檻の中なのか……」


人の声に反応した、ナズっちは


「……き、きりゅうなのか……?」


カイゼンは檻を破壊し、ナズっちを抱え上げた。


檻の中は、目を背けたくなるほど汚れていた。

腐敗臭がこびりついている。


ナズっちの手が、カイゼンの頬に触れた。


カイゼンの動きが、止まった。


赤い瞳が、わずかに揺れる。


「……寝ろ」


カイゼンの手がナズナの目を覆い、視界を塞いだ。

これから起きることを見せないために。


ナズナの力が抜けたのを見た。


カイゼンは静かに俺たちに告げた。


「破壊しろ。全てだ」



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