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Log:37 KAIZEN、SALT & SUGAR

Log:37 KAIZEN、SALT & SUGAR


カイゼンは改造されたデジタルパッドを何もない黒い空間から取り出した。

もうそういう光景を何度も見てしまったので今更、驚かない。


「お前たちが売った奴は、この中にいるか?」


カイゼンは素早く画面を操作している。


そこに表示された人物は、どいつもこいつもスラムで

有名なクソったれな連中だった。


表示された一人に目が留まる。

顔色が悪く、眼鏡で白衣を着た背の高い男。


「コイツ! コイツだ」


俺とソルトは同時に指を指して、画面を止めた。


「……ここで嘘を吐くほど愚か者じゃないと信じたいが

念の為、確認する」


カイゼンはデジタルパッドを持ったまま

SEALの監視カメラに向かって、何かの小型スイッチを起動させた。


一瞬、デジタルパッド画面表示が歪むとターミナル文字が一斉に動き出し、

高速にスクロールし始める。


監視カメラの映像がいくつも表示され、すぐに消える。


カイゼンは慣れた手つきでナズナの認識コードを打ち込むと

監視カメラの1つがロックされ、中央に大きく表示された。


「な、ナズっち!!」


監視カメラには、ナズっちが映っていた。


そして監視カメラに向かって、不自然に指で伝えようとしている。


カイゼンはナズっちの指の動きを拡大し、画像処理をした後でスロー再生して、

何度も何度も確認している。


「ナズっち……すっかり痩せちゃって……」


「この監視カメラの映像は、俺たちと別れて

2時間しか経ってねーぞ。馬鹿言うな!……あ、でも少し痩せてるな」


ソルトも俺も気が気じゃなかった。


なにせ罪悪感で吐きそうだったし、監視カメラに向かって健気に

何かを伝えようとしているナズっちに、今すぐ助けに行きたい気持ちが

ますます強まる。


「カイゼン、何か手掛かりはあったのか? 俺たち、ナズっちが

何かしているのは分かるけど、それ以上のことがわからねーんだ!」


俺は食い入るように画面を見つめていたが、唸りながら苛立ち

頭を激しく掻いた。


「悔しいけど、俺もわかんねーな。この映像に映っている場所なら

ある程度絞り込めたが……」


ソルトは嬉しそうに俺の顔を見て


「さっすが、シュガー。どうだカイゼン、俺の相棒は優秀だろ?」


カイゼンは、デジタルパッドに何かを打ち込むと

何種類もある指信号のパターンを解析しはじめた。


「ハンドサインの救出信号は昔から変わっていないが、問題はその後

ナズナはまだ何かを伝えている。おそらく敵の情報だろう……」


『救難』『救難』『男プロ傭兵7人』

『誘拐』『拘束』『東方面』『緊急事態発生』


カイゼンは、解読されたコードを冷静に読み上げ、

ナズナの危機的情報の解読に成功した。


「お前、おおよそでこの場所が分かるって言ったな?

東方面、SEALの監視カメラが手薄な場所、違法行為を行えそうな

建物……と言ったら何処が可能性が高い?」


俺は、少ない脳みそをフル回転した。


あの監視カメラに映っていた建物は、昔よく使われていた

ナチュラル&シンプルを基調とした、環境に配慮した無垢材づくりの建物。


確か、東地区の古い元病院の近くだったはず。


「たぶん……いや、ここしか思い出せん。元リンクス総合病院跡地だ。

研究員なら、高電力が使える建物を選ぶはず。

スラムにそういう場所は少ないだろ。違うか?」


ソルトは尊敬の眼差しで俺を見つめながら


「シュガー! お前ってやつは、賢いナズっちみたいだったぞ!」



カイゼンがSEALの監視カメラを元リンクス総合病院跡地近くにアクセスする。


「……あたりだ。良かったなお前ら、首の皮一枚つながったぞ」


監視カメラの映像には、元リンクス総合病院跡地の入り口を

警戒する傭兵の姿が映し出されていた。


物々しい警備状況が、ここに何かがあると語っていた。


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