Log:DRONE-05《メディカルルーム》
Log:DRONE-05《メディカルルーム ミスター桐生の部屋》
ビーッビーッ ビーッビーッ
不快な電子音が鳴った。自動診断アームの警告音が鳴り響く。
桐生は、治療中であるのに拘束アームを無理やり
引きはがして、ベッドから起きようとしている。
「桐生! お前何をやっているんだ!」
俺は思わず大きな声をあげて、桐生をベッドに戻そうと
駆け寄った。
能力暴走の代償で筋肉がズタズタになった桐生は、
腕の立つ治癒師でも回復に時間がかかるほどの重傷だった。
「クッソ!……でも、このまま寝てるだけじゃ……」
桐生の苦痛に歪んでいる顔をみて俺は思った。
好きな女がスラムに堕とされて、黙って寝てられるほど
俺たちは馬鹿じゃない。
焦るに決まっている。
もしも長谷部がスラムに堕ちたなら、俺だって同じことをする。
「桐生……」
俺の、一瞬の判断が桐生に無茶をさせてしまった。
桐生は立ち上がった。
まだ立ってられるほど身体は回復していない筈だ。
桐生は歩こうとする。
筋肉が悲鳴をあげて、痙攣しているようで、両足が震えていた。
そこに、SG-02《ゴリラ》が目を赤くさせて飛び込んできた。
「ビービービー!」
SG-02《ゴリラ》は桐生の前に立ちふさがる。
「ゴリラ! 邪魔するな、そこをどけ!」
SG-02《ゴリラ》と桐生は睨み合い譲ろうとしなかった。
AR-04《エレファント》も遅れて病室にやってきた。
<ミスター桐生。警告します。これは、友人から託されたミッションです>
<貴方の生命維持活動を最優先にし、24時間監視体制に移行します>
「ああ? 何をふざけたことを言っている!
ナズナがスラムに堕ちたんだぞ!? 寝てられるわけねーだろう」
<はい。わたしの友人であるドクターナズナからのミッションです>
<貴方はそれに逆らいますか>
「……おい、それは卑怯だぞ。エレファント」
桐生が一瞬、ひるんだ隙にSG-02《ゴリラ》はスタンガンを放った。
ビリビリビリーッとスタンガンの凄まじい炸裂音が響きわたると
桐生は気絶した。
「ビーッ」
<ええ、まったく問題ありません。上出来です。SG-02《ゴリラ》>
俺は、とんでもない光景を目撃してしまった。
こんなに感情豊かに動く、アンドロイドを見たのは初めてだった。
俺は床で気絶した可哀想な桐生をベッドに戻そうと、
身体に触ろうとすると
SG-02《ゴリラ》が威嚇音と共にガトリング砲を俺に突き出した。
「ビーッ! ビーッ!」
<SG-02《ゴリラ》彼は敵ではありません。
彼はドクターナズナの友人です>
「ビビーッ」
<SG-02《ゴリラ》なるほど、その考えは確かに考慮する点でした。
ミスター間宮、貴方は敵対組織のスパイである可能性が1.25%示唆しております>
<我々の味方である証拠を提出してください。
これより5時間以内に提出が無かった場合、
敵対組織のスパイとして戦闘準備に移行します>
「ええ!? 嘘でしょ? まてまてまて! この顔を見てよ
俺が裏切り者にみえる?」
一瞬だけ空気が固まった。
「ビビーッ ビービービビビ」
<SG-02《ゴリラ》が「顔よりも証拠を出せ」と言っています。
本当はもっと酷いスラング言葉でしたが、意味は同じです>
「桐生お願い、助けて! こいつらに俺がスパイじゃないって説明してくれ!」




