Log:34 <SAIONJI>
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(やっと、邪魔だった女をスラムに追放できる!)
こんなに心が軽くて、沸き立つ感情を抑えられないなんて久しぶりだった。
彼だけは、わたしを『西園寺』として見ている。
いまは私に抵抗や嫌悪感があっても、それは理解しあえば薄れていくわ。
鏡に映る華城が微笑みながら、何度も擦ったレコードのように話す。
「西園寺、今日も綺麗だね。さて、今日はいったい何をしたい?」
「......今日は、あなたの相手をしている暇はないの」
いつもより私が召使いに、髪の手入れとスキンケアを念入りにするように
命令していたので、華城はその様子を見ながら、嘲笑った。
「ああ~なるほど、分かった。君も懲りないね。
はい、これ君が欲しがっていたナズナちゃんの資料だよ」
華城は、ナズナの極秘資料を西園寺に手渡した。
「これ入手するの、すっごく大変だったんだよ?
僕の能力も一部使わなきゃいけなかったんだから......」
わたしは華城の言葉に苛立ちを隠せなかった。
「あなた......いま、何て言ったの?」
「ああ、我儘が発動しちゃう感じ?だって仕方ないじゃん。
いくら僕が世界的な有名人であっても
僕に好感がなければ、操作はできないって知っているよね?」
「あなたの『能力』は私のものよ!!勝手に使うなんて......
そんなことを許したつもりはないわ!!」
わたしは近くにあった手鏡を華城に向かって投げつけた。
鏡は、衝撃と共に大きな音を立てて割れ、華城の頬に小さな傷を作った。
「あ~~もう、僕の顔に傷をつけないで欲しいなぁ?」
華城は慣れたように、すぐに常駐している
治癒師を呼ぶと自分の頬の傷を治させた。
「ナズナちゃんに嫌がらせばかりしていると、桐生に嫌われるよ?
もっと上手にやったらいいのにね。普通の人のように愛の告白してみたらいいじゃん?」
「まぁ、君のプライドからしてそれはあり得ないよね。僕だけは
君の味方だから安心してね。僕は、絶対に君を裏切らないよ。本当だよ」
華城のうすら笑いを見て、ますます気分は悪くなる。
この男は、わたしが弱いと分かれば一番最初にナイフを突き立てる男だ。
「大きなお世話よ。あなたの相手はしていられないの。
報酬を受け取って、呼ばれるまで部屋で待機してなさい。」
「それと、次に私に無断で『能力』を使ったら、その顔の傷は治させないわよ」
華城は、わたしの召使いたちに不必要に愛想を振りまいて
部屋から出て行ったと思ったが、すぐに戻ってきた。
「ああ、ごめんごめん。忘れるところだったよ!
ナズナちゃんが落とされるスラム地区に
『カイゼン』っていうスラムの王がいるのは知ってる?」
「カイゼン? スラムの王? あははは。笑っちゃう! スラムの王なんて
知的レベルが低いだけの飾りの王でしょ?」
「そうだね。君の言う通りだ。何も心配はいらないかもしれない
けど、一応言っておくけど、彼はずっとナズナちゃんの生存ログを探して
いたみたいだったからさぁ、念の為だよ」
華城は歪んだ笑みを浮かべて話した。
「確かに君の言う通りだったね。君はいつも正しい選択をするからね」
わたしは華城の話に出た『カイゼン』の情報をすぐに集めるように手配した。
華城は絶対に信用できない男だ。




