Log:DRONE-04《SEAL研究室元・ドクターナズナの部屋》
Log:DRONE-04《SEAL研究室元・ドクターナズナの部屋》
研究室の灯りは消され、年中不眠症で立ったまま寝てしまう
部屋の主も消えてしまった。
ドクターナズナの研究資料は すべてSEAL執行代行に証拠品として押収された。
AR-04《エレファント》は ドクターナズナから預かったバックアップデータを
自分の耳の中に隠していた。
それはナズナからの命令ではなく、自らの意思だった。
<……>
暗闇の中、AR-04《エレファント》はログを確認する。
AR-04《エレファント》は研究サポートと
ドクターナズナの健康管理を任務にしていた。
ドクターナズナ最後のログ。
「AR-04《エレファント》、貴方は素晴らしい子です」
「行動すること、考えること、貴方は私に感情を教えてくれる友人です」
「私がいなくてもバックアップをいつも取ってメンテナンスを頻繁にして下さい。
それから……桐生をよろしくお願いします」
AR-04《エレファント》はこのログを日に何度も見る。
この行動は“非効率”だと理解している。
それでも再生を止められなかった。
AR-04《エレファント》は悲しみの感情を理解していた。
しかし、理解しているという事と、実際に経験する事は違い、
AR-04《エレファント》の処理速度を狂わせた。
微かなホバリング音が、暗闇を震わせた。
SG-02《ゴリラ》が光を当てながら現れた。
「ビビビビビー」
SG-02《ゴリラ》とAR-04《エレファント》は
ナズナの手で大幅に修復され、復活した特別な個体だったので
まるで兄と妹のような関係だと、よく話していた。
SG-02《ゴリラ》は、日に何度も研究室にいる
AR-04《エレファント》を連れ戻しに来ていた。
<……はい。そうですね、ドクターナズナは
それを望みません>
SG-02《ゴリラ》はホバリングをしながら
AR-04《エレファント》をそっと押した。
<そうですね。桐生のもとに行きましょう>
<それが、友人の頼みです>
AR-04《エレファント》はナズナの健康管理情報のバックアップをすませ、
メンテナンスを整え、ゆっくりと立ち上がった。




