Log:22
Log:22
<ドクターナズナ。報告があります>
<SEALネットワーク内のサーバーの一つが
応答を停止しました>
<自己診断結果:
通常障害の可能性は低いと判断されます>
AR-04《エレファント》が
ネットワーク異常を告げた。
休日を台無しにされた桐生は機嫌が悪い。
原因は西園寺だ。
彼はわたしの研究室のホログラムディスプレイで、
今流行りのゲームをSG-02《ゴリラ》と対戦している。
「AR-04《エレファント》。
私の研究データを最優先で保護。
SEALサーバーとの接続を遮断。
オフラインバックアップへ移行できるか?」
「……それから、念のために
AR-04《エレファント》とSG-02《ゴリラ》の
内部ログもバックアップして」
<了解しました>
<ドクターナズナの研究データを
オフラインバックアップへ保存>
<AR-04《エレファント》及び
SG-02《ゴリラ》の内部ログも保護プロセスへ移行>
<処理完了予測:30分>
桐生はゲームを止め、
こちらの異常に気づいた。
「いつものサーバー管理アンドロイドが
サボってるだけじゃないのか?
ちょうどEXAスポーツ野球の時間だし」
時刻は18:34。
サーバー管理アンドロイドは野球好きで、
稀にこういうエラーを引き起こす。
「……そうだといいのだが。
華城の助言の後だ。
念には念を入れておく」
「……確かに。
あの愉快犯ならやりかねんな」
桐生は立ち上がり、
AR-04《エレファント》からパッドを借りる。
SEALネットワーク内の
該当ノードを確認した。
「うーん……原因不明のエラーだな。
高エネルギー粒子が電離層を乱したのかもしれない。
一時的な通信ノイズか、リンク遅延だろう」
「……通常の障害とは、
少し挙動が違う」
「……心配か?」
わたしはログの挙動が
どうしても気になった。
そのとき、
都市防衛システムが作動した。
研究室の壁面ディスプレイが
赤く染まる。
『緊急警報。
大型の汚染生物が
大群を率いて接近中。
現在、ZERO空域にて存在を確認』
『都市防衛ライン外縁への到達予想時刻
22時00分。
SEAL兵はただちに
部隊に合流してください』
桐生は
もう戦闘服を掴んでいた。
華城の助言。
突然のサーバーエラー。
そして大型の汚染生物。
わたしは死亡フラグの存在を確認。
ただちに除去する。
「桐生。嫌な予感がするわい」
桐生の好きな映画のセリフだ。
「バカ野郎。
また死亡フラグか?」
「<私の勇気は、君と共にあれ>」
桐生は噴き出し、
わたしの髪をくしゃくしゃと撫でた。
「”ナズーダ” これでフラグは折ったな。
じゃあ行ってくる。
いつものように
回線は開けておいてくれ」
わたしは通信回線を
開いたままにした。
桐生はSG-02《ゴリラ》と共に
出撃準備区画へ向かった。
~ふんわり観察メモ~
サーバー管理アンドロイドはEXAスポーツ野球が大好きだ。
試合の時間帯になると注意力が散漫になり、
サーバーを落としたことがある。
なお、その機体はスラム送りになった。




