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朝、7:00。起床。


桐生は既に負荷運動をしていた。

目は充血している。


汗が床に落ち、

体幹トレーニング――プランクの姿勢を維持している。


「おはよう。桐生、君は寝たのか?」


「寝ましたよぉ。およそ20分くらい」


「……起こしてくれれば、話相手くらいにはなれたが……」


数秒の沈黙。


「……ナズナって時折、殴りたくなるほど憎らしいときがあるよね」


寝起きの鈍い思考で考える。


「君は、好意的対象に殴りたいというのか、

なるほど、支配的で危険な思考だ。一度、話を聞こう」


桐生はプランクの姿勢のまま、額を床に打ちつけた。

「だからそういう所だって言ってんだよ……」


「桐生。プランクの姿勢を正しく保たなければ、それは運動として成立しない」


桐生の体幹が、限界に近い振動を始める。

彼のスマートウォッチからアラームが鳴った。

直後、桐生は床に倒れた。


「……次は絶対に起こすよ」

「その方が君の精神状態は安定するだろう」


すると、玄関で宅配サービスの通知音が鳴った。


桐生の着替えと朝食を届けに来たアンドロイドが、

ID認証を待っている。


「桐生。彼に手間を取らせるな。早く起きたまえ」

「おまえ、アンドロイドにだけ優しいの差別だからな!」

「つべこべ言わずに、早くしたまえ」

「起こして。俺、疲れて起きれない」


宅配アンドロイドがビービーと威圧的な

機械音を出している。


「すまない。彼はちょっとアレなんだ」


私が宅配アンドロイドに謝ると


宅配アンドロイドは同情的な機械音に変化し、

ナズナに荷物を渡した。

そしてID認証システムをパスさせる。


その後、桐生の方を見つめ、

宅配アンドロイドは「やれやれ」という眼差しで立ち去った。


「おい、あの生意気な宅配アンドロイドに

何を言ったんだ。正直に言え」

「そんな事より、シャワーを浴びてきた方がいい。

筋肉の疲労回復にも必要だ」

「一緒にシャワー入る?」


私は桐生の顔を眺める。


「わかった。一緒に入ろう。その方が時間効率が良い」

「ナズナちゃん大胆。でもね、きっと君は

何も考えていないだろうから、俺は一人で入ります」


わたしは首をかしげる。


「……ああ、欲求不満を解消するための

性的接触を目的とした提案だったのか?

すまない。そこまで推測できなかった」


「口に出すんじゃありません! 破廉恥ガール」


「しかし、君は"手"を出そうとしていた」

「誰がうまいことを言えと言った」


桐生が私に詰め寄り、壁に押し付けながら言う。


「じゃあ、どうする? 一緒に入るか?」


わたしは、しばらく考えた。


「破廉恥ガールは、大人しく朝食の準備を整えておく」


桐生は一瞬だけ固まった。

その後、顔を覆って深くため息をついた。


「良くできました。


一緒に入りたくなったら、

いつでもどうぞ」


わたしの認識では、破廉恥なのは桐生の方だ。

彼がわたしの家のシャワールームを使うのは

初めてではないが、あれほど堂々と

自分の家のように扱うのだから、遠慮はない。


(なるほど、理に適っている)


わたしはパンと野菜とスープを用意する。

それから宅配アンドロイドから届いた

桐生の食事を並べる。肉づくしだ。


シャワールームから桐生の歌声が響いた。


今日は2人とも休日だ。

こんな平和な日が、いつまでも続くことを望む。



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