第四話 事後処理
【ラルク視点】
うわぁ〜これは流石にやりすぎだよメアリー。
右腕と左腕の複雑骨折に、右足と左足の複雑骨折、これ目を覚ましたとしても当分は動けないよね?
はぁ。
「メアリー、これはやりすぎ」
「申し訳ありません坊っちゃま。新たな力を試すのが楽しくて、ついつい」
メアリーってこんなに脳筋だったんだ…思えば良く花瓶や壺を割ってたっけ、あまりにも盛大に割るから、高価なものは全てメアリーの目に触れないところに移動させて、100均の花瓶とかを置いて、割るごとに僕にタダで仕える年数が一年増えるから気をつけてねと言ったら、これまでよりもたくさん割るようになってたっけ…というか何も無いところでどうやったらあんなに盛大に転べるのか理解不能なんだけど。
僕にドジっ子属性は無いから意図的なら何も意味はないよ。
「清瀬さんを呼んできて、目を覚さない程度に身体の傷だけ癒すよ」
「子供だけでなく女人にまで手を上げたクズを癒すのですか坊っちゃま!?」
「確かにコイツはクズだけど、必要以上に痛めつけて良いわけではないからね」
「ムムム。殺さない程度と言われましたからバキバキに骨を折ってやりましたのに」
「うん。それ、やり過ぎだから…今度は気をつけてね」
「はい。坊っちゃま♡」
「うん。分かったならもう離れて」
「えぇ!?今日はまだ坊っちゃま成分を完全に補給できてません!」
僕の成分って何?
メアリーは僕の匂いを嗅ぐことで元気にでもなるの?
うーん…これが匂いフェチって人種なのか…やれやれ。
「メアリー、命令だよ。すぐに清瀬さんを呼んできて」
「うっ…承知しました坊っちゃま」
こうしてる間にこの人が死んだらメアリー人殺しになっちゃうんだからね。
僕は嫌だよ。
クズでも殺すのだけは…。
でも、1発だけ…僕の前世の妻を殴った分だけ許して。
やがて、清瀬さんが到着した。
「ラルク君が呼んでるって聞いて、ええええ!?その人、顔も腫れてるし両腕と両足があらぬ方向に曲がっちゃってますけど!?い、生きてるんですよね?」
「女性と子供に暴力を働いていたからメアリーに仕置きさせたらこうなった」
顔の腫れは僕だけど、全部メアリーのせいにしておくね。
「どんな仕置きですか!?これ、拷問より酷いですよ!最悪、このままだったらこの人が目を覚ましても餓死しちゃいます!これを未必の故意って言うんです!もう!これが異世界で、私が偶々治癒の力を持ってるから良かったものの。メアリーさんはしっかり反省してください!ラルク君もです!」
「「はい」」
僕もメアリーも揃って清瀬さんに謝った。
その後、怪我だけを治して、炉端に放置して、僕たちはダンジョンを地中に潜らせて、洞窟のありそうなところへ移動を開始した。
「おい!喋る兎!俺様を背に乗せて走れ」
「何で私がそんなことしないといけないんですか?マスターの命令以外聞かないので、他を当たってください」
「な!?俺様の命令は絶対なんだぞ!俺様のパパはめちゃくちゃ偉いんだからな!お前なんて、直ぐに…イタタタタ。な、何すんだよ龍牙!」
「こんな見たこともない世界で、権力を振り翳してどうすんだよ馬鹿なのか?あー馬鹿だったよなお前。いっつも愛美先生のこと困らせて、立場が悪くなったら親を使う屑だもんな」
「言いつけてやる!お前のこと絶対にパパに言いつけてやる!」
「その頼みの親は何処にいるんだよ?お前、ここで態度改めねぇとろくな大人にならねぇぞ」
「知るかバーカ!」
なんか、明らかにチャラチャラしてそうな方が正論言ってて、いかにも陰キャそうなやつが駄々っ子って…。
確か愛美と一緒に保護した子供たちだよな。
「喋る兎さん、大変失礼しました。駒沢には言って聞かせます」
駒沢!?
代議士の?
うわぁ〜悪い噂しか聞かないあんな奴の子供を預かるとか…。
待て、確かアイツ金で女を買ってるって黒い噂もあった気が…愛美に限ってそれは流石に無いよな。
いや、僕が死んでお金に困ってやむを得ず駒沢代議士と愛人契約…。
愛美に確認を…いやでも今の僕から何か言われても何様って感じか。
「えぇ、そうしてください。次にこのような不愉快な思いをさせてきたらその時は、食べますので」
「えっ?」
「2度は言いませんよ」
「はい!必ず言って聞かせます!」
良し、さっきの子供、もう一回キャロットにやんちゃしろ…そして食われろ…ヌワーハッハッハッ。
勝手に死んだ人間が何を嫉妬してんだって話だね。
例え愛美が駒沢代議士と恋愛関係であったとしても今の僕が何かを言える立場じゃ無い。
「あの喋る兎さん、先程は私たちを保護してくださり本当にありがとうございました。何処か安全なところに降ろしてくだされば、構いませんので」
「アンタ、マジでそんなこと言ってんの?この世界に安全な場所とかここだけだと思うけど」
「えっ?あ、あの喋る兎さん、失礼を承知で先程と言葉遣いが違う気がするのですけれど」
「あー何そんなこと聞きたいの?さっきはマスターが分身体の私の身体を介して話してただけ。私の本来の人格はこっちだから。さっきのガキにもよーく言い聞かせといてね。次、不遜な態度取ったら食うからって」
「優君はいたずらっ子なだけで、悪い子では」
「あーそういうの良いから。魔物にそういうの関係ないから。鬱陶しかったら殺す。これが魔物だから。それよりさっきのガキあんな態度続けてたら遅かれ早かれ命落とすよ。ここだから許されてるだけ…いやマスターが優しい人だから許されてるだけって事を理解しておいた方が良いよ」
「わ、わかりました。優君にも良く言い聞かせておきます」
「うん。そうして」
「あの、話は変わるのですが改めて御礼に伺いたいのですが、そのマスターさんとやらとはお話しできるのでしょうか?」
「うーん。まぁ、大丈夫ならあの執事かメイドから連絡が行くと思うから待ってれば」
「はぃ」
まぁ、確かにこのまま放り出したら真っ先にさっきの調子乗った子供が死ぬ。
警戒もせずに外の魔物に近付いたら、ガブリだろう。
うーん、御礼なんて良いんだけどな。
愛美を助けたのは、夫として当然だし。
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