第十八話 アミューズメントビスマルク
【フランク王視点】
温泉を堪能しても晩御飯とやらの時間まで、まだ時間があったので、妻と共にアミューズメントエリアなるところへやってきた。
「アナタ、あの一列に並んでいる人たちは何かしら?」
妻の指し示す方では、冒険者たちがお行儀良く一列に並び、何かをしていた。
「クソッ!新入荷されたクワモグラのぬいぐるみが取れねぇ!取れたらモグラ好きの彼女にサプライズプレゼントからの告白しようと思ってるってのに!あー俺の銅貨が溶けて行く…。」
「早く変われよ!一回につき10プレイまでだろうが!とっとと退け!」
冒険者たちを見て、妻の目が輝いていたので、俺は聞いてみた。
「俺たちも並んでみるか?」
「良いのアナタ?」
「あぁ」
行列が消えて行くに連れて、冒険者たちが熱中していたものが現れる。
そこには、街一つを滅ぼしたと言われるスコティッシュケルベロスに吐く息はドラゴンに匹敵すると言われているチワワヘルハウンド…それとアレはヘルメットを被ったモグラの手にクワ?
それらがガラスの中に入っていて、アームのような奴で、冒険者たちが取ろうとしていた。
「お母様、今度はクワモグラだって!?欲しいのですルイーゼは物凄く欲しいのです!」
「はいはい。ママが取ってあげますわね」
そこには楽しそうに話すヴィクトリア王妃とルイーゼ王女を楽しげに見つめるゲオルクもいた。
ゲオルクと視線が交錯する。
「クローヴィス、お前もこちらにきたか。ワシは、このUFOキャッチャーに負けっぱなしだが、妻は大の得意でな。今日は、クワモグラとやらが新入荷されたとかで、ルイーゼのためにゲットしにきたのだ」
「ルイーゼは、スコッティちゃんとチーちゃんと毎日寝てるです。そこにクワモグラちゃんも加えるのです」
「はい。取れたわよ」
な、成程。
アームで直接掴みに行くのではなく…取りやすい位置に動かしたり、端の方を持って転がしたり、テクニックも重要なのだな。
一回につき10プレイまで…か。
良し、10プレイだ。
成程、見てるのとやるのとでは大きな違いだ。
全然、まーったくアームとぬいぐるみとやらの距離感も掴めぬまま10回が終わった。
次は妻の番だ。
「な!?ぬいぐるみとやらのタグに引っ掛けるなど!?」
妻は最初の何回かで要領を掴むといとも簡単にスコティッシュケルベロスのぬいぐるみとやらを手に入れてしまった。
「まぁ。世間では恐ろしい魔獣でもぬいぐるみだとこんなに可愛らしいのね。それにフカフカで気持ち良い。ルイーゼ王女が毎日抱いて寝てるのも納得ですわ」
立て続けにチワワヘルハウンドのぬいぐるみとやらも。
最後に手に入れたクワモグラのぬいぐるみとやらを持って、さっき項垂れていた冒険者に渡した。
「間違えて取ってしまったの良かったら貰ってくれないかしら?」
「い、良いんですか!?ありがとうございます!ありがとうございます!」
深々と頭を下げて、クワモグラのぬいぐるみを手に持った冒険者が帰って行く。
「そうだクローヴィス。時間はあるか?さっき言った卓球とやらをせぬか?」
そう言えば、上の食堂とやらであった時、そんな話をしていたな。
「御教示、願うとしよう」
案内されたところでは…。
「そこだ!行けスコッティ!」
「負けるんじゃねぇぞチー!」
何故、1匹で街を滅ぼすと恐れられているスコティッシュケルベロスと吐く息はドラゴンのブレスに匹敵すると恐れられているチワワヘルハウンドが仲良く口で何かを咥えて、弾のようなものを打ち返しているのを、奴らの危険性を良く知る冒険者たちが囃し立てているのだ?
「おーやってるやってる。ほぉ。今日の卓球初心者の教師役は、スコッティちゃんとチーちゃんで、スコッティちゃん優位か」
「チーちゃん、疲れてて調子悪そう。誰かと勝負した後かも」
「この前は、スコッティちゃんの方がへばっていたな…成程成程」
ゲオルクは何を言ってるのだ?
アレが、とんでもないヤバい魔獣だと言うことすら忘れてしまったのか?
「スコッティちゃんの勝ち。まぁ、こんな感じで、このピンポン弾をラケットで打ち返すのを卓球と言います。2人ともありがと」
何故、誰も止めない!
あのままでは、ルイーゼ王女よりも少し幼い女の子が食べられて…あの化け物みたいな魔獣が幼い女の子に甘えるように顔を舐めているだと!?
「おぉ。そうであった。クローヴィスが驚くのも無理はない。スコッティちゃんとチーちゃんは、あの幼い女の子がテイムしている安全な魔物なのだ。ヴィクトリア王妃も分かったら風の魔法を止めてくれんか?スコッティちゃんもチーちゃんも主人に危険が及ぶと何をするかわからんのでな」
はっ?
テイム?
災厄のスコティッシュケルベロスと大地を焦がす炎獣のチワワヘルハウンドが?
「す、すみません。勇者とは、こんなことまで…できるのですね」
「いや…普通スコティッシュケルベロスとチワワヘルハウンドをテイムすることなど不可能だと思うが」
それよりも驚いたのは、我が息子の腹に一撃で風穴を空けたメイドが卓球で負けた腹いせに拳だけで、殴り飛ばしたスコティッシュケルベロスとチワワヘルハウンドを見た時だった。
あのメイドは、何者なのだ?
災厄を恐れずそれどころか殴り飛ばせるなど…。
「さて、ではクローヴィス。お互い夫婦同士でダブルスはどうじゃ」
「あ、あぁ」
俺は放心状態で頷いて、卓球をすることになったのだが…これが意外と面白い。
ラリーを続けてのスマッシュ…なんと勝ってしまった。
「初心者に負けるとは…やれやれ秘密兵器を出す時が来たようじゃ。頼むぞルイーゼ」
「うん。パパとママの仇を取っちゃうぞ〜」
その後、出てきたルイーゼ王女に俺も妻も全く手が出ず完敗してしまったのだが。
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それでは、次回もお楽しみに〜




