第十四話 ギフト付与の反応
【ラルク視点】
トントンとコアルームの扉をノックする音が聞こえる。
ここは、僕のクラスメイトと家族たちしか知らない。
「ま、丸美屋です。そのラルク君にお話ししたい事が」
「丸美屋さん?今、開けるね」
遠隔操作で扉を開けると丸美屋さんが入ってきた。
「その、いつの間にかギフトが2つも増えてて…いえ2つともとても私と相性が良くて…その…困ってるとかでは無いのですけど…その…」
「僕が丸美屋さんに付与したんだ。僕のギフトは吸収だって事は言ったよね?」
「あ、はい…聞いてます」
「吸収するだけじゃなくて誰かに与えることもできるんだ。偶然、2つのギフトを手に入れたから丸美屋さんと相性が良さそうだと思って、勝手なことしてごめんね」
「い…いえ!勝手だなんて、私のことを考えてくれて…その…あの…とても嬉しいです!」
「なら、良かった。そのギフトで畑の管理を宜しくね」
「はい!今まで以上にお世話します…ご…御主人様」
丸美屋さんは最後に僕のことをそう呼んで顔を赤らめて出て行った。
丸美屋さんは僕の使用人では無いのだからラルク君で良いのに。
最近、僕のことをクラスメイトたちが御主人様と呼ぶ事が多くなってきて、実は困ってる。
また、ドアをノックする音?
「ユウだけど…ちょっとラルク…いや…御主人様に聞いてもらいたい事があって…今、お時間は宜しいでしょうか?」
「ユウ、ここにローザもメアリーも居ないから普段通りで良いよ。今開けるね」
「お、おぅ」
入ってきたユウは、メアリーに俺のメイドとして指導を受けてる。
確かにユウに女の子っぽい服を着させて上げたいとは言ったけど…メイド服を着せてメイドとして採用するという話では無いんだけど…。
「ラルク、そのアタイってさ。方向音痴だったじゃん?」
「そうだね」
「なんか同意されるのはムカつくんだが…まぁ良いや。なんかさ。さっきから目の前にナビみたいなのが現れてさ。迷わなくなったんだよ。おかしいと思って、ステータス確認したらギフトが増えてるんだよ。なぁ、アタイ何かヤバいもんでも食っちまったのか?」
「あ、気にしなくて良いよ。僕が偶々手に入れたマッピングというギフトを付与しただけだから」
「そうだったのか…良かったぜ…!?付与した!?ラルクのギフトは吸収だよな?どうなってんだ!?」
「吸収には付与も付いてて、奪うだけじゃなくて与えることもできるんだよ。そのギフトで、僕とみんなのことを今まで以上に守ってねユウ」
「おぅ!アタイがみんなを守ってやるから大船に乗ったつもりで…イタタッ」
「言葉が過ぎますよユウ。坊ちゃまの前です。貴方は、主人を呼び捨てにする駄メイドになりたいのですか?それでは、坊ちゃまのお側から離れてもらうしか…。」
「す、すいませんメアリーメイド長様!それだけは御勘弁ください!御主人様、先程の失言、お許しください!私はこれで失礼致します!」
メアリーの登場にユウは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
それを見届けた後、メアリーは俺に近付き、後ろから抱きついてきた。
「スーハー。坊ちゃまの匂い、安心します」
ローザも珍しくメアリーの好きなようにさせてあげてくださいって言ってたから、まぁいいけど。
僕、臭く無いよね?
それだけが心配なんだけど。
「メアリー、お帰り。冒険者の皆んなを引率して、怪我人を運んでくれて有難う」
「スーハー。いえ、坊ちゃまのためならこの程度のことなど造作もないことです」
「メアリーは頼りになるなぁ」
「スーハー。もっと褒めてくださっても良いんですよ坊ちゃま」
なんかずっと匂いを嗅がれていて、落ち着かないんだけど…これで良いんだよねローザ?
「僕、臭く無いよね?」
落ち着かないからこんなことを聞いてしまう。
「スーハー。とても良い匂いですよ坊ちゃま。あ!そうでした。私にスキルを付与してくださり有難うございます。これで今まで以上に坊ちゃまの治世を脅かすクソ…ゴホン…ゴミ…ゴホン…不埒者を罰せます」
面と向かって臭くなくて良い匂いって言われたなら大丈夫だよね?
それにしても汚い言葉をわざわざ言い直してくれるあたり、僕が悪い言葉を覚えないように気遣ってくれてるのがわかる。
まぁ、僕の中身は前世も足したら40を軽く超えるおじさんなんだけど…。
「スーハー。しっかりと坊ちゃま成分を補給できました。これで、暫くは働けます」
僕の成分を補給って?
男が良く言う目の保養みたいなものなのかな?
まぁ、メアリーが満足したのなら良いけど。
また、扉をノックする音が…。
「あの?ラルク君、居ますか?西方寺です。お話ししたい事がありまして…。少しだけ開けてもらっても構いませんか?」
西方寺さんもスキルが増えた事の報告かな?
「どうされますか?扉を開けますか坊ちゃま?」
「うん。メアリー、お願い」
「かしこまりました」
扉が開くと西方寺さんが入ってきた。
「ラルク君!ラルク君!聞いて!聞いて!私ねギフトが増えたの!布から糸を生成できるようになったの!これで、破けた服をリサイクルしてリメイクできるよ!このダンジョンの皆んなの服事情に関わることだから真っ先にラルク君に知らせたくて、急いで来ちゃった!」
「うん。気に入ってくれたのなら良かったよ」
「えっ?」
「あれっ?言ってなかったっけ?僕の吸収は奪うだけじゃなくて与える事もできるんだよ。ちょうど西方寺さんと相性の良さそうなギフトが手に入ったから」
「ありがとう!ありがとう!ラルク君!私、すっごく嬉しい!今まで以上に皆んなの服、頑張って作るから!期待しててね!じゃあ、服作りに戻るね!」
言うだけ言って西方寺さんは去って行った。
皆んな喜んでくれてるみたいで、嬉しい。
「あ!メアリー!ユウのこと、あまり厳しくしないでよ。僕の大事なクラスメイトなんだからね」
「それは坊ちゃまの頼みでもお聞き入れできません。いざという時は、坊ちゃまを守るのがメイドの務め、ユウもマドカも坊ちゃまのメイドになることを御自分で選択したのです。ならば先輩として、坊ちゃまのメイドがなんたるかを教え込まねばなりません」
うわぁ。
これは、何を言っても無駄だね。
ごめん、ユウも委員長も耐えて。
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