第十三話 ギフトの付与
【ラルク視点】
ローザに呼び出されて、死体安置室へとやってきたラルク。
「こんなところに呼び出して、どうしたのローザ?」
「坊ちゃま、こちらへ」
ローザに促される方へ進むと、見慣れた顔がムンクの叫びのような表情を浮かべて安置されていた。
「校長先生に教頭先生、肝笠先生に汗山先生、地理田先生に胃火理先生、僕たちの学校の先生が6人も帰らぬ人に…ローザはクラスの皆んなに見せるべきか悩んで僕を?」
「いえ、コイツらを鑑定で見たところ地理田教師以外はクズでしたので、坊ちゃまの学友の皆様に知らせたところで大して悲しみもしないでしょう。それよりも、坊ちゃまのスキルで有効活用するべきかと思いお呼びしました」
そうだったローザは何処までも合理的な思考だった。
でも、やっぱり人が亡くなるのを見るのは辛い事で、僕はローザみたいに割り切れないよ。
前世が人助けを生業としていたレスキュー隊員だったから尚更、彼らをどうにかして救う事ができなかったのかと考えてしまう。
でも、僕たちが生き残るには、物も言えなくなってしまった先生たちのギフトを吸収して、有効活用しないといけないことも勿論理解している。
僕にとって、今ダンジョンで働いている従業員やクラスの皆んなが1番大事だからね。
「わかったよ。『吸収』」
校長先生のギフトは『脚技』…元エリート軍人のローザに付与かな?
教頭先生のギフトは『拳技』…これもローザかな?
肝笠先生のギフトは『肥料生成』…これは畑の管理をしてくれている丸美屋さんに付与だね。
汗山先生のギフトは『スプリンクラー設置』…何で特定のアイテム限定なんだろうという疑問は置いておいて、これも畑の管理をしてくれている丸美屋さんに付与だね。
地理田先生のギフトは『マッピング』…相性が良さそうなのはユウかな。
胃火理先生のギフトは『糸生成』…糸と布は西方寺さんが服作りでよく消費してるから片方だけでも無限に生成できるのは強いよね。
だって服も布だし、破けた服を糸にリサイクルできるって事だもんね。
その糸から服を作る…もしかして永久機関の完成なのでは…?
「じゃあ、『脚技』と『拳技』はローザに…」
「お待ちください。その2つはメアリーに」
「えっ?」
何でメアリーに?
確かに拳で犬みたいな猫を黙らせて…猫宮さんが泣きそうになってたけど…まぁその時の犬みたいな猫がアミューズメントエリアのUFOキャッチャーの1番人気スコッティなんだけど…顔は確かにスコティッシュフィールドと呼ばれる猫だけど身体がケルベロスだからどう見ても犬だし…まぁ異世界だしそういうものなんだろう。
まぁ、ローザが言うなら…。
『マイマスター、脚技と拳技のギフトをメアリー様に付与しますか?』
『YES』
『かしこまりました。メアリー様に脚技と拳技のギフトを付与しました』
どうやらそこに本人が居なくても液晶画面を操作するだけで付与できるようになったみたいだ。
うちのスタッフは全部登録してるからかな?
それとも僕のギフトも成長した?
「付与したよ」
「ここにメアリーは居りませんが、今ですか?」
「うん。なんか出来た」
「成程…坊ちゃまのギフトが成長して便利機能みたいなのが増えたのかもしれませんね」
「成程!」
確かに僕の大好きな鳥杉先生が関わっているRPGゲームもショートカットボタンみたいなのがあるもんね。
『マイマスター、肥料生成とスプリンクラー設置は丸美屋様に付与でお間違えありませんか?』
あ、そうか広い意味で考えたらギフトの声さんは、僕の心の同居人みたいなものだもんね。
僕の心を読んで先に提案してくれるなんて、できる子だ。
『エヘヘ。それほどでも』
あ、照れてるのがわかる…可愛い。
アニメも好きだったから機械音声じゃなくてアニメ声なのも良いんだよね。
「ローザ!肥料生成とスプリンクラーは丸美屋さんで良いよね?」
「えぇ、それが宜しいかと」
『じゃあ、お願い』
『かしこまりました。肥料生成とスプリンクラー設置のギフトを丸美屋様に付与しました』
これで、ますますガーデニングが捗って丸美屋さんも大喜びかな。
『マッピングは伝通様でお間違えありませんか?』
そうだった…確認するね。
「ローザ!マッピングはユウで良いよね?」
「成程…その手もありましたね。いざという時逃げるのなら伝通様のギフトの方が速い…伝通様に付与しましょう」
「了解」
『伝通様にマッピングのギフトを付与しました』
ここまで意思疎通ができるのは楽できて良いなぁ。
『ありがとうございます。糸生成のギフトは西方寺様でお間違えありませんか?』
あ!
それも確認してみるね。
「ローザ!糸生成は…」
「西方寺様、一択でしょう。この世界において、どれだけ衣服が重要か坊ちゃままらお分かりでしょう?」
「う、うん」
何で、そこだけ圧高めなのかな?
『ふふっ。女性というのは好きな殿方の前では身嗜みに気を遣うと良く聞きます。マイマスターの前で、はしたない格好はしたくないのでしょう』
成程…って会話までできるようになってる!
心の中でだけど。
『ゴホン。失礼しました。糸生成のギフトを西方寺様に付与しました。またのご利用をお待ちしております』
うん。
また、宜しくね。
「一通り、付与したよ。後…さっきローザはさ…先生たちのことをクズだって言ったけど亡くなってしまったらそんなの関係ないから皆んなと見送ってあげようと思う。こんな異世界で誰にも見送られないのは可哀想だから」
「つっ!確かに配慮の足りない言い方でした申し訳ありません坊ちゃま。直ぐに準備致しましょう。また埋めるのはリーツェン王国で宜しいでしょうか?」
「うん。みんなと一緒なら先に逝ってしまった不動君や油田先生も寂しくないだろうし」
「心得ました」
さーてと、フランク王国の人たちがこれからどうするのかも聞かないとだし、やることはまだたくさんあるよね…頑張ろっと。
ここまで、お読みくださりありがとうございます。
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それでは、次回もお楽しみに〜




