第九話 人間になりきれないカエル
【メアリー視点】
思ってたよりも全然厄介じゃねぇなコイツら。
「ケケッ」
人の姿してようがよ!
人の言葉を話せない時点で、テメェが魔物の類なのは分かりきってんだよ!
「オラァ!カエルの分際で人間様の道を塞いでんじゃねぇぞ!」
「メイドの姉ちゃん、性格変わりすぎてねぇか?」
「あ!大変申し訳ございません。坊ちゃまの障害を排除するのもメイドの務めですので、少し汚い言葉が出てしまいました」
「いや。アレがちょっとなのか?」
アタイのメイド服は緑の血で染まっている。
テメェらが人間だと思って近付いて行くからだろうが!
ケケッしか話さない人間が居ると思ってんのか?
良い加減に気付けよ!
にしてもコイツらが人を喰らって人の姿を真似るカエルとは…カメレオンの擬態見たいなものか?
ゴホン。
はぁ、最近坊ちゃま成分を充分に補給できていないせいか、欲求不満が態度に現れてしまっていますね。
本当にこれで坊ちゃまが喜ぶんでしょうね堅物眼鏡?
嘘だったらテメェのその顔、握り潰してやるから覚悟しろよ?
チッ!
イライラする。
「さっきから鬱陶しいんだよカエルども!」
味方は馬鹿ばかり…敵はカエルばかり…本当に鬱陶しいぜ!
ゴホン。
ですがこの冒険者の皆様が亡くなられたら坊ちゃまが悲しみますので…。
さてはあの堅物眼鏡…こうなることを予想してやがったんじゃねぇだろうな?
「なぁお前?」
「言うな。俺たちじゃ逆立ちしても素手で魔物を掴んで潰すなんて真似できねぇよ」
「だ、だよな。俺、もう絶対アミューズメントエリアで愚かな行為はしないことにする」
「あぁ、俺も。なんやかんや許してくれてたけどもうしない」
さっきから冒険者どもも何話してんだ?
「あの失礼ですが、貴方様方は御自身の仕事をお忘れなのですか?」
「いえ!す、すぐにと、とりあーじ?を行います!」
わかれば、とっととしろ!
まぁ、見て分かる通りこの一帯はミイラのように干からびてるし、見るまでもなく死体だろうよ。
ゴホン。
はぁ。
やはり、1日1回は坊ちゃまの匂いをクンクンして身悶えないとイライラが止まりませんね。
「よくも仲間を貴様は殺す!」
へぇ?
人語を完全に操る二足歩行のカエル?
リザードマンならぬフロッグマンとでも呼称しておきましょうか。
でも、この状態だと擬態の能力を失うのですから誰の目から見ても魔物であることは一目瞭然。
不完全な存在ですね貴方たちは。
骨で作った槍如きで私を殺せると?
舐められたものですね。
「な!?俺の槍が」
先ずは相手の武器を瓦を割るようにチョップを叩き込んで無力化っと。
で、間髪入れずにこめかみを掴んで握り潰す。
「あががががが。あぴゃぁぁぁ」
あーあ、アタイの服がまた緑の血塗れに…あ!
これが日本の某有名漫画の有名キャラクターの台詞にある『汚ねぇ花火だ』ってか。
というかコイツら柔らかすぎんだろ。
ちょっとこめかみ掴んで力を入れたら面白いように弾け飛ぶからな。
ゴホン。
はぁ。
いけませんね。
少しでも気を抜くと昔の血が騒いでしまいます。
私は、拳を使う武道では誰にも負けたことがありませんからね。
特にどこを殴れば効率的に人体が壊れるかなんて、手に取るようにわかります。
「クソババァァァァァァァァ」
誰がクソババアやねん!
アタイはまだピチピチの24歳や!
坊ちゃまとは一回りしか離れてへんで!
ゴホン。
はぁ。
坊ちゃまと共に関西の方に移り住んでるからでしょうか。
地方言葉が出てしまいました。
にしてもあの一際大きなカエル…デカすぎやろ!
全長10メートルはあるんとちゃうか!
しかも服着てへんがな!
まぁ、ええか。
服着てるカエルなんて居らんし…大事なところも丸見えやし…いやそもそも大事なところとか見当たらんかった気がするし…ってアタイは何言うてんねん!
アタイが好きなんは坊ちゃまだけや!
坊ちゃま以外の奴の大事なところとか全然興味ないわ!
だからアタイの目に映ってへんだけや。
「クソジジィィィィィィィ」
クソジジイちゃうわ!
というか咆哮が妙に具体的はどないやねん!
まるで自分の親と喧嘩してるように言うてるみたいやんけ!
ゴホン。
どうやら私も相当情緒不安定のようです。
これが終わったら1日だけ1日だけ坊ちゃまを抱き枕にすることを許してもらいましょう。
相当心身に来てるみたいですから。
それよりも今は、あの大きなカエルと戦っている人たちを援護しませんと。
1人は雷…あ!
あの人がホプキンス料理長がお世話になったフランク王国の王様ですね。
そして、お隣の女の人は…うーんここからだと何者か分かりませんね。
風を使って、王様を援護してるのは分かるのですが。
「もしかして、あの2人はフランク王国の生ける伝説雷神と風神か!」
雷神と風神?
「あぁ、間違いねぇ。この国の王であり雷神という異名を持つクローヴィス王とその妻で風神の異名を持つラーニャ王妃だ」
王と王妃が最前線で戦ってるんですか?
この国、大丈夫ですか?
いや、大丈夫じゃないから跡形もなく倒壊した建物だらけなのでしょう。
というかですよ。
あんな大きなカエル、街に現れるまでに迎撃しましょうよ!
やれやれ、あの2人がこの国の要人であるならば、守らねばなりませんね。
「正拳突き!えっ?」
ちょっと待ってください…図体がでかいだけで脆すぎですね。
はぁ。
緑の液体を顔面から浴びてしまいました。
それよりも何で、こんな脆いのに苦戦してるんですか貴方たちは!
【クロータル視点】
何だこの女?
俺の懐に飛び込んで来やがって…。
はぁぁぁぁぁぁ?????
なんで?
なんで?
なんで?
俺の鋼の肉体に風穴が空いてんだよ!?
イッテェ!
クソイッテェ!
血が止まらねぇ…。
距離を距離を取らねえと…。
待て!
俺はまだやれる!
なんでいきなり足元に帰還の転移魔法が?
俺は俺はまだやれますハデス様!
俺の姿が人に戻り、それを見た俺の両親の驚いた顔が俺の見た最後だ。
次に目を覚ました時には、ハデス様の目の前で穴の空いた腹を治療されていたからな。
クソクソクソ!
次こそは絶対にクソババアとクソジジイを葬り去ってやる。
それまで震えて眠るが良い。
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それでは、次回もお楽しみに〜




