第八話 魔王軍幹部
【アンフィビアン視点】
この俺様が後衛に撤退させられるだと…ふざけんな!
数百年前、魔王様と出会い弱い肉体の人間を捨てたこの俺様が弱い人間如き…それも後衛特化に押し切られるなど…絶対にない!
あの後衛特化とか偽りやがったクソ女は絶対に俺が殺す。
「フランク王国を壊滅させることはできやしたが肝心の勇者の抹殺は魔王軍16神将が1人アンフィビアンの旦那でも無理でやしたか」
チッ。
コイツは、俺たちよりも下の魔王軍32神将が1人で監視者イービスを名乗ってるが、その実態は魔王様の寵愛を一身に受けている宰相クルメ・ガンリキマルであることを知っている。
だが、このことを向こうは知らない。
だから、俺様もここでは格下に使う言葉で対応する。
「俺様たちよりも劣る位の貴様が何のようだイービス!」
「そう怒らないでくださいよアンフィビアンの旦那。元人間同士仲良くしましょうや」
俺様はテメェどころか救ってくださった魔王様も元人間であることを知ってるってんだよ!
だが、それは魔王軍の多くが知らないことだ。
そのことを知ってるなんて口走れば、俺様は忽ち粛清対象だろう。
俺様は救ってくださった魔王様の手足となり、やがて寵愛を受ける存在となりたいのだ。
ここで、足元を掬われるわけにはいかない。
「フン。で、その言い方はお前なら何か策があるという言い方だな?」
「いやいや、俺もついこの間ですがね。魔王様に頼まれやして、ちょいとプロイセン王国の方へ赴いておりまして。そこで、まぁアンデクセムの旦那の配下を取り戻す任務に失敗しやしてね。このままじゃ帰れないとフランク王国壊滅作戦に参加して汚名を注ごうかと」
魔眼使いの宰相が任務を失敗した?
この場が魔王様への報告の場なら任務失敗の責任を取らせ、俺様が引き継ぎ成功に導くところだ。
あくまで普段であればだがな。
俺様にも魔王様の寵愛を受けるチャンスが巡ってきたと喜ぶところだが…俺も半分は失敗したようなものだ。
魔王様に仇を為す厄介な召喚者どもはこの崩壊に巻き込まれて、行方不明。
勇者の血が流れているとされるフランク王や王妃もまだ殺せていない。
フランク王国は俺が心を乱して、大きなカエルに変えてやった新たな眷属がここまで破壊はしたが…魔王様の命令は掌握だ…これは破壊であり…魔王様の望む結果ではないのは明らかだ。
半分どころか完全に失敗だ。
だが、ここで俺が隙を見せるわけにはいかない。
「俺様ですら手こずらせる勇者どもだ。俺たちよりも格下のお前には荷が重すぎたのだろう」
「全く返す言葉もありやせん。あんなのに大量に群れられるのも困るので、ここに残った勇者の抹殺の手伝いに来やしたんでやすが」
「ならお前も見ての通り。こんな状況ではわからん」
【来瞳眼力丸視点】
そうしたのはテメェだろうが!
元々体の弱い可愛らしい男だったってのに、アイツの気まぐれで生かされて、魔王軍16神将にまで登り詰めた努力は認めてやるがよ。
フランク王国を掌握するどころか破壊してたら世話ねぇだろ!
お前のせいで、またアイツを危険視する人類が増えるだろうが!
きちんと考えて行動しやがれ脳筋馬鹿!
それと、お前が眷属にした制御不能で暴れ回る獣を何とかしろよ!
と色々ツッコミたいところだが…今はコイツの格下として、何とか修正を試みるしかない。
後は、勇者召喚で呼び出された奴らに群れられるのも困るし、殺せる奴は殺しておきてぇ。
ったくよ。
勇者召喚しかしないクソみたいな王国は潰れたってのに…なんだって今年は他の国まで追随してんだよ!
マジでふざけんな!
そんなにアイツを殺してぇのかよ?
元はテメェらが魔王の討伐のために呼び出して、魔王の呪いを受けた俺の幼馴染を…今度は次の魔王として殺すだ?
ふざけんな!
ぜってぇに俺は認めねぇ。
アイツは、転移者の皆様には罪はありませんから先ずは対話をなんていってやがったが今回の連中が女神から渡されたスキルはヤベェ。
悠長にしてたらこっちが殺される。
俺はアイツを守るために今回の転移者どもは皆殺しすると決めた。
それを…この脳筋の眷属が台無しにしやがって!
テメェらが一体どれだけのミスを犯したか知ってんのか!
あーイライラする!
平常心。
平常心。
「でやすね。で、アンフィビアンの旦那はこれからどうする気なんで?」
頼むから混沌させておいて逃げるなんていうんじゃねぇぞ?
【アンフィビアン視点】
どうすると言われてもな。
新しく眷属にした奴は、無尽蔵にカエルを呼び出されるが…知能が低く人間を食わないと役に立たない。
正直、後衛だと偽ったクソ女の腑を引き裂いてやりたいが…。
城がこの状況では、生きてるか死んでるかすらわからん。
魔王様からの命令も果たせそうにない。
ここは一刻も早く魔王様の元へと戻り、事の次第を報告するのが1番だ。
「無論、撤退する。フランク王国もこれでは暫く魔王様に牙を向けることもないだろう」
「そうでやすか…」
【来瞳眼力丸視点】
クソが!
ここでコイツを殺すのは簡単だが、そんなことすればアイツが悲しむ。
どいつもコイツも自分の尻も拭けないくせに面倒ごとだけ押し付けてんじゃねぇぞ!
この廃墟の中から生きてそうな勇者どもを探すのも厄介だしよ!
おまけにかつてこの地に召喚された勇者の血が流れてるとかいう王と王妃の相手までとなると…。
「オラァ!カエルの分際で、人間様の道を塞いでんじゃねぇぞ!」
この声は?
マジかよ?
あのメイドは確か…。
あのチートテイマーのガキの側にいたメイド女じゃねぇか!
素手で強化されたカエル人間ですら握り潰すとか…あのメイド女も絶対女神からやばい力授かってるだろ!
あーもうイライラするが命あっての物種だ。
ここは俺も撤収するぜ。
ここまで、お読みくださりありがとうございます。
少しでも続きが気になると思っていただけましたら評価・良いねしてくださいますと執筆活動の励みとなりますので、宜しくお願いします。
それでは、次回もお楽しみに〜




