第五話 死地に活路を
【三間坂絵美視点】
私がフラグを立てなければ…というか私の言葉がフラグだったとしてもそれをアマンダが言葉にするのは違くない!
多分、アマンダのギフト『言霊』でしょ。
だからフラグって口に出したからアイツが現れたのよきっと…と人のせいにできたらどれほど心が楽だろう。
魔王軍16神将、その響きからしておそらく魔王とやらに使える16人の幹部の1人。
名前をアンフィビアンと言うこの人と同じ姿をした存在。
「私が皆さんを守ります。ラーラ…きゃあ!」
「さっきから見てたがお前さんは歌で何かするギフト持ち勇者ってとこだろう。なら歌わせなければ何も問題は無いよな?」
また認識阻害の歌を歌おうとした琴坂さんが弾き飛ばされた。
「先ずは1人…いや勇者として召喚されたコイツらは抗う気持ちを抱くと共にステータスが上昇するんだったか…やれやれあの程度では死なんか」
何かをぶつぶつと呟く、アンフィビアンに。
「ファイヤーアローを喰らいなさい!」
アマンダの言葉で、炎の矢がアンフィビアン目掛けて無数に降り注ぐ。
「さっきも炎、今度も炎。お前さんは炎のギフト持ち勇者か。なら俺との相性は最悪だと思った方が良い。ウォーターレイン!」
アマンダの呼び出した炎の矢がアンフィビアンの呼び出した水に打ち消される。
「ルー。ラー。きゃあ!」
「だから歌わせねぇよお嬢さん」
一瞬の隙を突いて、歌おうとした琴坂さんに肉薄したアンフィビアンが蹴り上げて、妨害する。
「チッ。お前、回復の歌を使いやがったな。厄介な」
「ハァ。ハァ。喉を潰されても直ぐに治せるように予め…です。ゴホゴホ」
琴坂さんもアマンダもできることをしてるのに私は一体何をしているのよ!
「グリフォン!来なさい」
『主よ。承知した』
「で、こっちは召喚士のギフト持ち勇者か。バランスよく見えるが後衛ばかりなのが残念だな。後衛だけで、前衛特化の俺様に勝てると思ってねぇよな?で、お前がご主人様のために前衛に立つのか健気なグリフォンちゃんよぉ〜」
『主よ。役に立てず申し訳ない』
嘘!?
グリフォンが一撃で真っ二つだなんて!?
力量差がありすぎる。
「さて、前衛もいない後衛のお前らの最期の時だ」
スタスタスタと私たちの間を駆け抜け、アンフィビアンに肉薄する家事ノ宮さん。
「テメェ!さっきから黙って聞いてりゃ前衛に後衛だけじゃ勝てねぇだ?テメェはRPGの縛りもやったことないクソガキか何かか?RPGゲームの縛りの醍醐味はなぁ!防御力ペラペラの後衛だけでも頭を使って、攻略することだろうが!」
えっ?
家事ノ宮さん、キャラ変わってない?
さっきまで一言も発さず怯えてるように見えてたのだけれど。
口調もいつものおどおどした感じじゃ無いし。
「コイツはアタシが引き受けてやる!琴坂、テメェは、逃げの歌ばかりじゃなくて、バフ系の歌を歌え!アマンダ、隠し球あるんだろ?使え!コイツは、アタシをキレさせた。それにコイツが魔王軍の幹部とか言うんなら容赦する必要はねぇ!三間坂!テメェのグリフォンの生き様かっこいいじゃねぇか!アイツの死に報いてやれるのはテメェだけだ!いつまでも俯いてんじゃねぇ!このクソ野郎を倒すぞ」
私同様にアマンダも琴坂さんも家事ノ宮さんの圧に押されるように頷いた。
「ぐっコイツ。俺様と同じく前衛特化か?」
「テメェと一緒にすんなクソガキが」
何で、互角どころか押してるの?
相手、魔王軍の幹部だよね?
「ええい!鬱陶しい!我が眷属よ!此奴を喰らえ!」
「バーンアウト!」
「はっ?いやいや、お前前衛特化だろ?何で炎出してくれちゃってんの?」
「アァ?テメェ、何か勘違いしてるみたいだけどな。アタシはバリバリの後衛特化だよ!」
「嘘だろ?俺が後衛に力で押し負けてるってのかよ。ふざけんな!お前なんて溶けちまえ!アシッドレイン!」
「ウォーターバリア!」
「な!?魔法使いかよ!ふざけんな!俺様が後衛に負けるわけねぇ!負けるわけねぇんだよ!」
「家事ってのはな!洗濯に料理にお掃除とやる事が多いんだ!テメェと遊んでる暇なんてねぇんだよ!ファイヤーウインド!」
「な!?炎と風の複合魔法だと!?水で炎を消しても風の刃を受ける。クソが!ここで死ぬわけにはいかねぇからな。これぐらいにして退いてやるよ!次に会ったら覚悟しておけ!」
「逃すと思ってんのかオラァ!ウォーターボルト!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ。何つってな。あばよ」
「チッ、影に隠れやがったか。まぁ良い。テメェら、アタシの言った事全然できてねぇじゃねぇか!もう良い!アタシも疲れた。わ、私、い、一体、な、何を?」
家事ノ宮さんは、二重人格者だったのね…。
でも、家事ノ宮さんの別人格が覚醒してくれなかったらきっと私たちの人生はここで終わってた。
実際、家事ノ宮さんの別人格の言う通り、何もできずに見ているだけだったし。
というか家事ノ宮さんの別人格って何者?
魔王軍の幹部相手に一対一で撤退に追い込むとか。
「あぁ。そんな。丸藤校長に多良井教頭、地理田先生に胃火理先生、肝笠先生に汗山先生まで、みんなみんな死んじゃった。私が怯えて見てたせいで…ごめんなさい。うぅ」
「でも、貴方のお陰で私たちは助かったから」
「そ、そうなんですか?私は、何もできずに…あ!もしかして翠ちゃんが助けてくれたのかな」
「え、えぇ」
「翠ちゃん、ありがと。エヘヘ」
家事ノ宮さんの別人格の名前は翠と言うのね。
それにしても二重人格者は、別人格のことを自覚してる場合はほとんどないと聞くけど、家事ノ宮さんは、別人格の存在を理解してるのね。
今もあぁやって胸に手を当てて、まるでそこにいるかのように語りかけてるし。
まぁ、でも私たちのところに入ってきたカエルは何とか撃退できたし、今は少し休みたいかも。
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それでは、次回もお楽しみに〜




