第四話 生き残るために
【???視点】
勇者召喚とやらで強制転移させられた人でこのフランク王国に残っているのは、私を入れて10人ぐらい。
皆、同僚で星小学校で教職に就いている同僚だ。
「ゲロゲロ!」
何なの?
この気持ち悪いカエルは?
いきなり、部屋に入って来て、誰かのペット?
「誰だね。この気持ち悪いカエルを持ち込んだのは、穢らわしい!」
ツルハゲじゃなくて丸藤校長がカエルに近寄って蹴ろうとしたが、カエルの反撃で丸藤校長を長い舌で絡め取り丸呑みした。
「ひっ!」
近くにいた校長の腰巾着の多良井教頭がその光景を見て、短く悲鳴を上げる。
かくいう私も驚いている。
あの小さい身体の何処でツルハゲを丸呑みしたの!?
「ゲップ。不味いがまぁ知性を得るにはちょうど良い虫けらだったぜ」
カエルが人型の姿になって、その手には鋭利な骨みたいなのを持っている。
さらにゲップで吐き出されたツルハゲは、限界そのままに干からびたミイラになっていた。
あの状態では、生きてるのは不可能だと思う。
こんな事なら、この地に召喚された主人を助けに行くと出ていった料理人の人たちに付いていくべきだったと後悔しても遅い。
続々とカエルの群れが侵入してきて、教頭の多良井も喰われた。
こんなところで死にたくない。
でも、どうすれば切り抜けられるの?
た、確か。
す、ステータスオープン。
名前 三間坂絵美
職業 星小学校の美術教師
ギフト スケッチ(描いた絵が実体化する)
生い立ち 面倒ごとに関わりたくない事なかれ主義で、生徒にも同僚にも深く関わる事はしない。1人の時間は、邪魔されない静かな場所で、絵を描くのが好き。美術の授業中は、留学生のラルク=フォン=ビスマルクの距離感にドギマギしている。尚、本人は深く関わらないのではなく、深く関わって傷付くのが嫌という臆病なだけである。
人の生い立ちを赤裸々に晒すなんて酷いと思う。
でも、こんなところで絵なんて。
でも、やるしかない。
これしかない。
カエルが苦手なのは、鳥!
鳥と言えば鷹!
鷹と言えばグリフォン!
描いてあげるわよ!
「アマンダ!貴方のギフトは何?」
でも、そのためには今いる人の中で時間稼ぎができる人が必要だ。
ここにいる人たちを信じる?
でも、信じないと打開できない。
協力してくれれば、私のギフトで無数のグリフォンを呼べる。
そう考えをまとめた私は、同僚のアマンダにギフトの提示を求めた。
「今からショウミー。燃え上がるファイヤーよ。目の前のフロッグデーモンを穿て!」
アマンダ・ウィリアムズは星小学校に勤める英語教師で、子供達に教える時も簡単な英単語を入れて話している。
ルー某さんの家系の人とかじゃないわよね?
でも、その威力は凄まじく。
教頭の多良井を喰ったカエルを焼き尽くした。
「やるじゃない!」
私は声に出して褒めていた。
でも、地理田を食い終わったカエルがムキムキの人形に変わり、その手には鋭利な骨。
「ゲフッ。人間を食うと知性が得られるという話は嘘じゃないようだな」
カエルたちは抵抗しない者から順番に食べ、女子児童をイヤラシイ目で見る養護教諭の肝笠、汗臭い匂いを漂わせる数学教師の汗山と既に5人も食べられ、校長を食べた人型のカエルこそ倒したものの、向こうは人型のカエルが4匹とこちらの隙を窺い食べようとしてくる小さいカエルが無数にいる。
多勢に無勢とはまさにこの状況のことだと思う。
「ラララ〜」
この綺麗な歌声は、音楽教師の琴坂唄だ。
でも、歌ったからといって。
「ん?まだここに女が居たよな?」
「あ?あぁ、居たはずだ」
「何処いった?」
人型のカエルが私たちの言葉を話して、辺りを探し始める。
「認識阻害の気持ちを込めて歌ってみました。今のうちにここから逃げ出しましょう」
これが彼女のギフトの力ってことね。
なら、今ならゆっくりと絵が描ける。
「逃げるったって、何処に逃げるって言うのよ!アレは悪魔の遣いなのよ。私たちは全員ここで死ぬんだわ。アハ。アハハ。アハハハ」
「大声を出したら気付かれ…」
咄嗟に口を閉じた琴坂先生は助かったが、狂ったように高笑いを上げた星小学校のお局こと学年主任の胃火理がカエルに喰われた。
これで向こうは人型カエルが1匹増えて5匹の人形カエルと無数の捕食ガエル。
こちらは、未だに一言すら発さず怯えている家庭教師の家事ノ宮得子を入れても4人。
私は全神経を集中して絵を描いた。
「出でよグリフォン!眼前のカエルを打ちのめしなさい!」
『承知した我が主よ』
私にだけ聞こえる渋い声で返事をしたグリフォンが無数のカエルを風圧で斬り刻み、5匹の人型カエルを獰猛な爪で引き裂いた。
「ヤッター!これで、私たち助かるわ!」
「だから、それフラグって言いますのよ!」
アマンダに言われたがあの気持ち悪いカエルたちが居なくなったんだから喜んで良いと思う。
「やれやれ。ここに残ってる勇者は、臆病風に吹かれて、何もできないって話じゃなかったか?」
グリフォンに切り刻まれた無数の捕食ガエルが集まり、人の形を形成した。
その姿は何処からどうみても私たちと同じ人の姿だ。
「人間?」
私は目の前の存在にそう呟いていた。
「ワーハッハッハッ。人間などと固有名詞で呼ばれるのは数100年ぶりだな。抗うことを決めたお前たちの勇気に免じて、死ぬ前にお前たちを殺す俺様の名を教えてやろう。魔王軍16神将が1人アンフィビアンだ。やれやれ、ハデスなどという偽名で馬鹿な皇子を丸め込んで、フランク王国の内部に穴を開けたまでは良かったが…これだから勇者とやらは困る」
魔王軍16神将ってことは…きっと偉い人だよね?
私の人生…ここで終わるんだ。
アマンダがフラグなんて言うから。
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それでは、次回もお楽しみに〜




