第十九話 戦場はダンジョン内とする!
【ラルク視点】
ピンポンパンポン。
これは、ダンジョン内線の音だ。
鳴らしたのは、もちろん僕。
『御来場の皆様にご案内いたします。ただいま、プロイセン王国に向けて、キャットニャンコ王国の猫獣人が侵攻してきていることを仲間の1人がギフトを使用して確認致しました。これに伴いまして、戦場をこのダンジョン内、洞窟にて迎え撃つのが得策と考えます。至急、プロイセン王国の非戦闘員の避難をビスマルクダンジョン内地下2階から5階のビスマルクホテルまでお願い致します。これは訓練ではありません。人命優先で速やかな行動をお願い致します』
ピンポンパンポン。
良し、これでプロイセン王国の人たちを救えると思う。
次は、ダンジョンを作成し続けることで新たに手に入れたスキルのダンジョンリメイクを使う。
これで、地下一階部分のお食事処イセカイを一時的に戦闘空間へと生まれ変わらせる。
「坊ちゃま、お見事です。後は猫宮様の護衛をどなたにされるかですが…ここは」
「ローザ様は、坊ちゃまの護衛をお願い致します。不埒な輩を叩き出すのは、坊ちゃま専属メイドの私の役目ですから」
「そういうことならこちらは私にお任せください。そちらは、メアリーにお任せしますよ」
普段は歪みあってるけど危機何迫る時は2人とも本当に頼りになる。
こういう事は、ドイツ貴族ラルク=フォン=ビスマルクに転生する前は、平和な国でのほほんと生きていた僕には荷が重いからね。
これぞ適材適所って奴さ。
【黛比呂視点】
「姫!今の旦那様の話、聞きやしたか?」
もうラルク君の事を旦那様だなんて…まだ早いわよ〜。
にしてもラルク君がダンジョン内を戦場に選ぶなんてね。
なんやかんやお得意様であるプロイセン王国の人達に情を持っちゃうところとかも素敵で好き!
ここは大人のお姉さんとして、私も人肌脱がないと!
「ほらほら皆んな!今からここに大勢のお客様が押し寄せてくるよ。お代は無しで、皆のケアをするのよ」
「ヘイ!姫の有難いお言葉を聞いたのぉおまんら!気張れや!」
【ホプキンス視点】
坊ちゃんは、一度受け入れちゃうと甘いからな。
プロイセン王国の連中を見捨てるって選択肢は無いとは思ってたが。
まさか守るために自らの拠点に引き込むとは。
こりゃ俺たちもうかうかしてらんねぇな。
「おいテメェら!坊ちゃんの内線は聞いたな?だったらキビキビ動け!冒険者はプロイセン王国の人員の避難誘導へ、俺たちは地下3階のビスマルクホテルの厨房に移動だ!間も無くここは戦場になるぞ!」
「ヘヘッ。今回は魔族の連中を斬り捨てられないのが残念でやすがアッシらの戦場は厨房でやすからねぇ」
「日本料理を美味い美味いって食べてくれるお客様のことは守らないとダメっすよ」
「坊ちゃまのことは、ローザ様に任せて私たちにできることをしましょう」
「麺料理たくさん作るでごわす」
全く、俺の部下たちは揃いも揃って落ち着いてるとは、頼りになるぜ。
「店長、帰ってきたら新米を給仕の手伝いに回して、私は猫獣人の迎撃に回ることをお許しください!」
「アンヌ、何言ってんだ!そんな許可俺に取る必要なんてねぇ!ただし、約束しろ。死ぬな。以上だ!」
「はっ!」
アンヌのやつはもうウチでは、欠かせない労働力だからな。
死なれちゃ困る。
んで、頭の良い坊ちゃんがここで迎え撃つと決めたからには十中八九、勝算があるってことだろ。
なら、俺にできるのはアンヌが無茶しないように帰る場所があるってことを言葉にして強く伝えるだけだ。
【プロイセン王視点】
さて、月に一度の家族サービスの日にまさか一国の王たるワシがビスマルクダンジョンのオーナーにキャットニャンコ王国の侵攻を知らされるとは。
「パパ!私とママのことは気にしないで、早く国の皆んなをここに避難させて!」
「えぇ、ルイーゼの言う通りアナタはアナタの為すべきことをなさってください。私も私の為すべきことをします」
「すまない。この埋め合わせは、必ずすると約束しよう。ヴィクトリア、ルイーゼとここに避難する民のことを頼む」
「わかりました。ゲオルクも気を付けて」
「うむ」
我が国の民のことを守ろうとしてくださったラルク殿には後日改めて礼をせねばなるまい。
「アンタが王様かい?乗って来な」
メイド服を着てるということは…ラルク殿の新しいメイドであろうか?
それにしては、子供?
「聞いてんのかい?一刻を争うんだろ。アンタも災難だな。せっかくの家族サービスの日に」
全く、勇者とやらは精神年齢ですら年相応では無いのか。
今は、ご厚意に甘えるとしよう。
「では、失礼する」
ふむ…ってなんじゃこりゃ!
見た目の10倍…いや100倍は広いぞ!
しかも、座るところがあって…外の景色も…一瞬では無いか!
「グズグズしてんじゃ無いよ!一刻を争うってのが理解できてんのかい?王様からとっとと説明して、この中に放り込んでいきな!全員が乗ったのを確認したらアタイが超特急で、ビスマルクダンジョンまで送り届けてやるよ!誰1人として、死なせないよ!」
全く、頼もしいおなごだ。
「内線電話で危機を知らせて、ここに待機してる赤い馬車に乗るように伝えよう!」
「おぅ!頼んだぜ!」
ワシは、直ぐに内線で危機を知らせたのだが…お前たちなんでそんなにウキウキなんじゃ!
皆、口々にビスマルクダンジョンに行けるらしいとか…楽しみ〜とか…一度行ってみたかったのよねとか。
確かに、外に出る以上は全く危険が無いとは言えない。
冒険者の心得のあるものが護衛として、ビスマルクダンジョンまで送り迎えすることも多い。
この際、もうプロイセン王国の中に開いて貰えば…いやいやあれだけ優秀な勇者たちを一国に留めておくのはこの大陸の損失と言える。
何れ、別れが訪れる時も来よう。
だが、今は一国の王として不甲斐ないがラルク殿の優しさに精一杯甘えるとしよう。
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それでは、次回もお楽しみに〜




