第二十六話 アミューズメント?
【冒険者集団のリーダー(カリバー)視点】
風呂から出るとリーリルたち女性陣の賑やかな声が聞こえてくる。
「猫宮さん、これはどうやって遊ぶものなのですか?」
「これは、卓球って言うにゃ。この跳ねるピンポン玉を相手のコートに打ち合う遊びにゃ。ラリーを始める前にサービスってのがあって、そのサービスの時だけ自分のコートに一回バウンドさせて、相手のコートにバウンドさせないといけないにゃ。その後のラリーは打ち合いにゃ。相手のコート目掛けて、ズドンにゃ!少しやってみるにゃ」
「にっ!」
スコティッシュケルベロスが口で器用にラケットのようなものを咥えているだと!?
それにあの猫耳のお嬢ちゃんとスコティッシュケルベロスがピンポン玉を打ち返しているだと!?
しかも、た、楽しそうではないか。
いかんいかん!
また俺としたことが心を乱されていた。
アイツはガラスケースと睨めっこをして、何をしているんだ?
「クソッ!また取れなかった」
「少し取りやすいように位置を調整しましょうか?」
「いや!それだと何だか負けた気がするからこのまま再挑戦させてくれ!」
「はい。ですがその」
こっちではスーツ姿の女性と列を成した仲間たちだと!?
お前たちは何をそんなに、これは毒されているわけではない…ただの好奇心だ。
ほぉ、あのアームで商品をキャッチして、あのガラスの筒のようなものに到達させれば、アームが開いて、商品が落ちてくると。
これも向こうの企みを探るためだ。
「ワンプレイ銅貨1枚です。銅貨4枚で5回までプレイできますがどうされますか」
銅貨4枚支払えば、1回分お得なのか。
俺は金を支払い、プレイする。
良し、良いぞ!
今、掴んだだろうが!
このポンコツアームが!
本当に取れるのか?
まさか、これは俺たち冒険者から金を搾取するための罠なのでは?
「へっへーん、こっちの世界でまさかUFOキャッチャーができるなんて!ユイ、私も銅貨4枚を支払うわ」
ふっふっふ、俺のように銅貨を溶かせば良い。
な!?
何だアレは、ぬいぐるみの紐のようなところに引っ掛けて、まさかあんな方法が!?
俺は負けず嫌いだ。
この後、銅貨100枚ほど溶かして、ようやくぬいぐるみなるものをゲットできた。
それにしてもスコティッシュケルベロスもこうやってぬいぐるみとやらになるととてつもなく可愛らしいものだな。
特にこの手触りが最高だ。
良し、満足だ……って俺は何を楽しんでるんだ!
まずいまずい、このダンジョンは本当にまずい。
「うりゃぁ!」
「にっ!」
「とおりゃぁ!」
「にっ!」
向こうではアンヌがスコティッシュケルベロスを相手に卓球とやらで、というかあのスコティッシュケルベロス右に左に器用すぎるだろ!
「や、やるわね。でも、今回こそ私が勝つ!てぇりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
「にっ!?にぃ」
「大丈夫だよスコッティ、私の仇を討とうと頑張ってくれてありがと」
「約束通り、これでスコッティちゃんに触らせてもらうわよ」
いやアンヌ、何考えてんだ!?
あの、1匹で都市を壊滅させるほどの大災害を引き起こすと言われてるスコティッシュケルベロスだぞ。
「あ!フワフワで気持ちいい。今日一日、部屋に連れ帰って抱いて寝てもいい?」
「にぃ!?」
「嘘嘘、冗談だから。触らせてくれてありがと」
「にっ!」
う、羨ましすぎる。
俺は手の中にあるスコティッシュケルベロスをギュッと抱きしめていた。
それを見たアンヌがこっちに勢いよく駆けてくる。
「カリバー!その手に持ってるのどこで手に入れたの!早く教えなさい!直ぐに!今直ぐに!」
首を絞められてブンブンと苦しい。
「そ、そこの。UFOキャッチャー、とやらで」
息も絶え絶えになりながら俺が言い終わるとアンヌは直ぐにUFOキャッチャーとやらの列に並び始めた。
「次は、私の番です!アンヌ先輩とやって疲れてるスコッティちゃんなら勝てるはず!きっと!」
「にっ!」
「何で、さっきよりも強くなっているんですかぁ!ずるいです!私もスコッティちゃん、触りたいのに!」
確かに、アンヌとやり合ってた時よりもさらに俊敏にあのスコティッシュケルベロスも負けず嫌いなんだろうきっと……。
っていや、あのなんか君たち仲良くなりすぎじゃない?
ここ、ダンジョンだよ?
攻略すべきダンジョンだよ?
「俺がアンヌのためにスコティッシュケルベロスのぬいぐるみを取ってやるぜ!」
ランド、お前は下心がダダ漏れだな。
「いや、俺がアンヌのために取ってやるんだ!」
「いや、俺が」
「俺が!」
まぁ、アンヌは美人だしなモテるのはわかる。
向こうにも女性陣が並んでいるな。
「あの、このバウムクーヘンは、店で出ていたのと一緒ですか?」
「はい。私が作った土産用のですが一緒ですよ」
「えっ!貴方が作ったんですか!?」
「はい。そもそも坊ちゃまに私からお願いして、ここでお菓子を売らせて貰っていますから」
「うわぁ。お会いできて嬉しいです!」
「あの美味いデザートをこんな美人な人が作ってたなんてな。結婚してください!」
「謹んでお断りします」
「ガーン」
成程、ここで土産物を……確かにあのバウムクーヘンとやらは甘すぎず牛乳とバターの旨味が凝縮されていて、絶品だった。
それよりも俺が心惹かれているのは。
「ベイクドチーズケーキ?」
「はい。ケーキなので、あまり日持ちはしませんが濃厚なチーズの甘味が凝縮されていますよ」
「酒に合うか?」
「そうですね。こちらのベリー系の果実酒が合うと思います」
「酒も取り扱っているのか!?」
「はい。どうされますかこちらのセット、大銀貨1枚となっておりますが」
「買わせてもらおう」
俺はチーズには目がないのだ。
バウムクーヘンとやらであんなに美味しかったのだ。
このベイクドチーズケーキは一体どれぐらい美味しいんだろうか。
俺は、土産物屋も一緒になったアミューズメントエリアとやらをすっかり堪能してしまい、いつの間にかこんなダンジョンならあっても良いんじゃないかと思うようになっていた。
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