左の、右の
本題とズレたところから入る。左の、右の、とくればそりゃもう、黄泉のつがいだろうとのことで、漫画も読んでましたが動くのがまた迫力がこりゃ、という感じで、結構ホクホクアニメを見ております。
ここでまたズレますが、コーヒーね、あれは昔ちゃんとインスタントコーヒーを飲んでました。それが、ある時からドリップしか飲まなくなり、それから、この前主人が豆をガガガと削るコーヒーマシンを私に買い与えたものだから、とうとう、豆の削りたてのコーヒーしか美味しく思わなくなってしまった。
昔の自分から見たら、ナンッッテ贅沢!その代わり、お酒飲む量が減っているので許してください。<(_ _)>それで、経済は成り立っているはずだ。
で、そんな、コーヒーにまつわるコスト革命が、我が人生にささやかながらヒタヒタと押し寄せたその後に、もうちょっと目が肥えた部分があったにょ。
ここでやっと黄泉のつがいに戻るのですが、最近、アニメをせっせと見ていると、
むっちゃ、金かかっているアニメとかかってないアニメの差がわかるようになってしまった!セ、世知辛い世の中じゃー!
で、そんな中、黄泉のつがいは金かかってるだに。画面の豊富さが違うだに。漫画読んでっからすじ知ってっけど、動いている画面見てるだけで楽しいからホクホクだに。
ところがだ、今日話したいのは黄泉のつがいの話ではないのである。右のと左のについて話したいからタイトルにしたら、つい、つい止まらなくて、愛を語ってしまった。鋼レンの時から好きです。はい。
地震が起きたので、父に電話する。地元が揺れたのだ。
「揺れたヨォ」
高齢の父と無事を確かめ合う。じゃあねとさっさと切らないのが親への電話だ。私は口は悪いし、顔もたいしてよくないが、親には結構優しいのである。ただし、父と電話で話していると、話が続かない。
初デートのぎこちない二人、ばりに、実の親子なのに話が続かないのが父娘である。面と向かっているとまだマシなのであるが、電話というのはなんだか盛り上がらん。こりゃ信義に違うが、じゃあねとさっさと切るかと思いかけていると、
「NHKはさ、オールドメディアなのよ」
突然父が、インテリっぽく語りだす。なになに?と聞くと、こうだ。彼は最近、働くことはなく、なんと、男子齢八十にして厨房に立ったりしているのだが、とにかく暇なのだ。潰さなければならない暇で彼が何をしているのかというと、どうやらですな!美人で有名で頭がいいコメンテーターのユーチューブのニュース解説なんぞを見て、社会に関心を寄せているのだそうだ。
お、お父さん!なんでそこ、女性の人しかいないの?
そこにむっちゃ驚いた。娘。徹底しているというか、どうしてそんなに歳を取っても、女の人が好きなの?(ちなみに父の名誉のために言っておくが、彼は別に女好きと言っても、道を踏み外す冒険野郎ではない、と思う。私の知る限り)
まぁ、それはいい。それで、そういう美人で父の尊敬するコメンテーターの方々がNHKはオールドメディアだというそうだ。
「オールドメディアって何よ」
ちなみにここから話すことは父から聞いた又聞きなので、事実に誤りがあれば、それは私ではなく、我が父のせいなので、苦情はあちらに言っていただきたい。
父に言わせると、NHKはちょっと左で、そして、早苗さんよりではないというのだ。
「お父さん、早苗さん好きだねえ」
「同郷だからね」
父はNHKより早苗さんが好きらしい。父とおしゃべりをするために、私はせっせとNHKを見ているのだが、知らないうちに父は愛や関心をより早苗さんに傾け、いつの間にかNHKから疎遠になりつつあるのかもしれない。
早苗さんがこう言っていたのに、NHKったらという話をしばらくふむふむと聞く。
「ところで、誰が、NHKはちょっと左なんだって言ってるの?」
そこにまた、父の尊敬する美人で頭のいい女の人たちの名前が並び、最後に百田さんが出てきたので笑ってしまった。
自分的にはギャグで読み始めた、中国の漢民族に対する多大稀なるアンチ本、百田氏著、を現在読んでいて、あとちょっとで読み終わるのだ。意外と面白くって、やっぱこの人エンタだなと思ったのだが、だがいかんせん、漢民族を嫌いすぎる。民族で嫌っちゃいかんだろと思ってたところだ。
ところがだ、我が家の本棚には百田氏の海賊と呼ばれた男や永遠の0がある。親が読んでいるのだ。
「もしかして、好きなの?百田さん」
「僕は右なのよ」
ここで、右と左の話になった。NHKは父によるとちょっと左で、そして、父は父によるとちょっと右だ。
「でも、そんなすごい右じゃないよ」
自分はそんなすごい右ではないと言って、ハニカム父。そう、天皇陛下が好きで皇室カレンダーを飾っていたり、祝日には国旗を飾り、万歳するような人だ。日本が好きな人だ。
「僕は保守なのよ。⚪︎⚪︎(姉)も保守だ。⚪︎⚪︎(母)も保守だな、うん」
母は本当に右なのか?とちょっと思ったがまぁいい。みんな右の、らしい。
「ヤダァ、私だけ、左だー」
「なんだ、お前、左なのか?」
父は自分はちょっと右だと言ってはにかみ、読む新聞は産経新聞で、その中のこの記事が良かった、お前も読めと送ってくる記事を私が読み、若い頃はよく喧嘩してたけど、そういうことだったのか。
ちなみに父が はにかむ右だとしたら、私は、芯のない左だ。私に、これといった政治信条など、ない!でも、はにかむ右の父と話していて、よく喧嘩してたのは、私が左のだからである。
「なんで、私だけ、左なのー?」
家族で仲間はずれになってしまった。
「お前、本当に左なのか?」
家族だし、右に入れてしまえと父が画策する。
「いや、左だよ。中国長く住んでるし、こっち慣れちゃったし、なんか考え方染まってるし」
私が日本にいたら、朝日新聞、読みますかね?昔はよく父と喧嘩した。政治も歴史も全然わかってないくせに、口先だけは達者だったもので、理屈こねては芯のない左として突っかかっていった。
そんな我々も、今は、右の、左の、で、お互いが違ったとしても、なんか愉快なのだ。娘婿が中国人なのに、中国人の漢民族が大嫌いでたまらない百田さんの小説を本棚にいそいそと置いて、喜んで読んでいる我が父母。その矛盾にこれっぽっちも気づいてないだろう。
父が大好きすぎて、多分真似して右のになってる姉。父は右のだと言っているけど、本当に右なんか?と疑ってしまう謎な母。ちなみに母は歴史にも政治にもめっぽう強い。彼女の、政界を切る!的なコメントは大好きであるが、リスナーは多分私しかいない。ノリで、中国人と結婚し、なんだか中国にかぶれ、ってことは左の、になる自分。
こんなバラバラなのに、家族やってきたし。
昔はもっと尖ってた。理詰めで相手を追い詰めたし、融通の効かない人間だった。特に父とぶつかってたな。かっかする感情があって、相手にどうしても認めさせないととかられることがあって、歯止めが効かなかったことがある。
そういう自分の危うさとか、間違ってる感じとか、わかるようになってきて丸くなったものだ。無知で鋭いのは恐ろしい。自分がわかってないということを知るのと、無闇に突っ込んでいってはいけないと悟ることは大事なことである。
この点において、歳を取って良かったと思ってる。
早苗さんが好きで、テレビ画面の前でせっせと応援している父。歳を取ったが、ユーチューブ見て、一国民として政治に思い馳せる父。元気にしていてくれたらそれでいい。
それではな、右の。左のの私は、次はいつ帰るかな?
2026.04.22
汪海妹




